モーターショーのあり方とは/日下部保雄のコラム
- 筆者: 日下部 保雄
いよいよ東京モーターショー2009が迫ってきた!
昨年起こったリーマンショックから始まった経済危機で、軒並み世界のモーターショーが影響を受けた。09年、年明けのデトロイトを皮切りに出展を見合わせるメーカーが相次いだ。
このデトロイトで対照的だったのは欧州メーカーと日本メーカーの対応だ。欧州メーカーはこんな時だからこそと、応援メッセージを送ったが、日本メーカーは極端にひっそくした。日産は出展中止をいち早く決め、トヨタも大切なプリウスを大々的にはプレゼンしなかったと聞く。いかに自動車メーカーが資本の流出入の大きい企業だということが伺える。
ちなみにモーターショーにかかるコストは軽く億を超える数字になるといわれる。ジュネーブ、フランクフルトも出展者は参加を見送るなど、少なくとも規模は縮小した。唯一元気だったのは上海モーターショー。ダイハツは出展を見合わせたが、中国史上過去最大規模のモーターショーに成長した。
我々の日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)もプレスツアーを組んで取材に行ったが、中国は世界最大の自動車市場になることを確信した。
そして若干の出展中止はあったものの比較的状況が戻ってきた先日のフランクフルトの次はいよいよ東京。しかし東京の惨状は目を覆うばかりだ。出展はロータスとBMWアルピナは残るものの、ほぼ国産メーカーのみの参加と言っていい状態。
欧州メーカーで参加を表明していたポルシェ、フェラーリ、マセラッティも次々と参加を取り止め、最近ではヒュンダイも参加中止を決定した。ほぼドメスティックショーと言っていい。
そもそも日本メーカーがデトロイトでの出展中止の口火を切ったとは言うものの、その影響は実に大きく、寂しいものになってしまった。しっぺ返しを食らったとは思いたくないが、それだけ日本市場は海外メーカーにとって魅力のない市場になりつつあるということの表れだ。
私はそれでも東京モーターショーに期待している。真剣に東京モーターショーのあり方を考える時こそ、何ができるかも試される時だ。今まで国際ショーの名の下に浮かれていたのかもしれない。
日本メーカーの技術力は世界一級だ。
実際出展はなくとも海外メーカーのエンジニアは東京を楽しみにしている人も少なくはない(このご時世で来日できるかどうかは不明だが)。そして日本メーカーがこれから進むべき道をこのモーターショーから垣間見ることが出来る我々は幸せだと思う。なぜなら世界のモーターショーのどこでも見ることが出来ない日本メーカーのコンセプトカーや技術展示があるからだ。
フェラーリやポルシェなどの海外メーカーがない分、今年のモーターショーは会場がコンパクトになり、さらにじっくり見ることが出来る。こんなチャンスは滅多にない。
AJAJでは、我々モータージャーナリストが会場を案内するプレスツアーも行なう予定だ。清水和夫君や河口学君の行なう参加者を巻き込んでの井戸端会議も10月24日と11月3日に企画している。プレスツアーも色々な個性を持つジャーナリストがメーカーの立場から離れた視点で解説していく。さてさてどうなることやら・・・。
ちなみに私は10月24日の午後と26、28日とプレスツアーを担当する。チャンスがあれば是非お会いしましょう!
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