ベタープレイス・アジア・パシフィック代表 藤井清孝氏インタビュー(1/3)

  • 筆者: 藤島 知子
  • カメラマン:オートックワン編集部
ベタープレイス・アジア・パシフィック代表 藤井清孝氏インタビュー
藤島知子さんとベタープレイス 藤井社長 ベタープレイス・ジャパン代表取締役社長 藤井清孝氏 ベタープレイス・ジャパン代表取締役社長 藤井清孝氏 ベタープレイス・ジャパン代表取締役社長 藤井清孝氏 藤島知子さんとベタープレイス 藤井社長 ベタープレイス テスト車両 ベタープレイス 電池交換イメージ 画像ギャラリーはこちら

環境問題や石油資源の枯渇が叫ばれているいま、2007年に市販化されたプリウスやインサイトといったハイブリッドカーが12年のときを経て、エコなクルマのアイコンとして広く一般的に認知されるようになり、ようやく月販の新車登録台数1位の称号を得るところまでこぎつけた。

しかし、こうしてエコカーが注目されているのを横目に各メーカーが先進技術を投入し、時代の先端を担っているエコカーは電気自動車(EV)。

電気を使ってモーターで走るEVは排出ガスを出さず、環境負荷ゼロというメリットが得られるものの、現段階では充電施設や航続距離などの課題が多い。

自動車の新たな領域を担う次世代のハードウェアは、いざ普及となると手探り状態で臨んでいるのが実状であり、その動向に注目が集まっている。

そこで今回は、米・カリフォルニア州を拠点に、世界各国で電気自動車の交換型バッテリーで交通インフラ事業の展開に着手している、ベタープレイス・ジャパン 代表取締役社長の藤井清孝氏に、EV普及に向けての課題についてお話を伺う貴重な機会を得た。

ベタープレイス創業の経緯

ベタープレイス・ジャパン代表取締役社長 藤井清孝氏

藤島「電気を使って走る電気自動車(EV)は、ガソリンを使わずに走れるメリットがありますが、ベタープレイス社は石油資源枯渇をどう捉えているのですか?」

藤井社長「いきなり難しい質問だね(笑)。エコカーっていうと、電気自動車とハイブリッドカーは同じような感覚で受けとめられがちだけど、ハイブリッドカーがガソリンエンジンで走るクルマの60%くらいの環境負荷だとすれば、EVはエンジン車の4分の1くらい。実際の効果はまったく違うものです。」

藤島「EVは世界的にみたほうが、ニーズが高い国が多いそうですね。」

藤井社長「私たちは、石油資源があと何年もつかという危機感からこのプロジェクトを始めたわけではないんです。『もっと効率のいいクルマに乗りましょう、もっと排ガスがキレイなクルマに乗りましょう』という日本においては、EVは省エネ運動の延長だと思われがち。しかし、世界規模の話となると、アメリカでは原油を購入するために払ったお金がアラブに流れ、そのお金がテロに回っていると考えられている。自分の国の富を使って自分たちを攻撃するとなれば、ガソリン購入を嫌がりますよね。現在、国家規模でEV事業を展開しようとしているイスラエルの場合も同等の理由が挙げられるでしょう。

EV普及が必要なのは、そうした地政学的なことや安全保障という意味で大きな問題が潜んでいます。クルマ産業全体でみても、原油代がちょっと上がっただけで、現場では一円一銭単位でコストを削減しているなかで、何年分、何十年分も積み重ねてきた利益が吹き飛んでしまうことになる。普通のビジネスをやっている感覚からすると、あり得ない理屈なんですよね。自分と関係のないところで変動する為替と違って、原油というものは価格をコントロールすることができる。でも、電気化すればコストの大きな部分をマネージメントできるようになるんですよ。」

藤島「戦争と聞くと、日本に住んでいる私たちにとって現実とはかけ離れた世界に思えますが、生死を左右する話となれば切実な問題となるのですね。」

藤井社長「でも、日本の自動車メーカーにとっても北米や中国は大きなマーケット。両国が電気化を図ってきているから、黙っていられないでしょうね。」

藤島「そもそも、藤井さんが日本でこうしたビジネスを始めようとしたキッカケは何だったのですか?」

藤井社長「日本はクルマや電池の技術に信頼性があるし、国民の環境意識も高いのですが、バッテリー交換や充電施設などのインフラも含めたシステムをやろうとしている企業はそうありません。こうした現状では、日本はEV化が出遅れてしまうのではないかと思ってスタートさせました。」

藤島「日本のEV技術は進んでいるハズなのに、世界と比べるとインフラ整備を含めて、普及がなかなか進んでいかない。実状とのギャップが大きい気がします。」

藤井社長「現在はハイブリッドカーもあるし、排ガス規制が厳しくなっても、これまでのガソリン車のテクノロジーを使って改良していく方法がある。でも、EVのように、これまでと全く違うことをやるとなれば話は別。組織的な体制や精神構造において新しい感覚になっていないから、これまで成功してきたことを自己否定しながらやるとなると、難しいことも多い。その点、EVに向けてこれからスタートできる新しい会社だと柔軟性があって、物事は進んでいきやすいと思います。

アメリカや中国がEV化に積極的に取り組んでいるにもかかわらず、日本がなかなか進んでいかない理由は、皮肉にも過去に成功している体験があることが影響しているのでしょう。大きな会社が成功していると、全く新しいことは一見、格下に見えてしまうことがある。ハイブリッドカーが技術的に進化しているし、EVってまだ本流じゃないという意識があるのかもしれませんね。」

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藤島 知子
筆者藤島 知子

通称「藤トモ」。スーパー耐久のレースクイーンを経験後、軽自動車レースに参戦したことがきっかけで様々なレースに参戦。レースで培った技術と女性ならではの視点が魅力の女性モータージャーナリスト。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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