メルセデス・ベンツ E63AMG 海外試乗レポート/大谷達也(3/3)
- 筆者: 大谷 達也
- カメラマン:メルセデス・ベンツ日本
これが本当の超高性能多用途車!日本導入は年内の予定
それでは待望のサーキット走行に移ろう。今回は5周限り、しかも先導車付きという制約があったが、それでもサーキットでは公道で味わえないスピードを試すことができる。やや緊張しながら、私はE63AMGに乗り込んだ。
走ったことのある人ならおわかりだろうが、公道に比べるとサーキットはとにかく道幅が広く感じられる。しかも、当たり前だけれど一方通行なので、道幅の範囲内だったらどこを走ってもいい。最初のうちは戸惑うし、これだけ広いから多少パワーがあってもむしろ遅いと感じてしまう。それがサーキットというものだ。
でも、E63AMGで走るポールリカールは違った。F1テストでも使われるくらいだから、並みのサーキットよりずっと広いのだが、その広さをあまり意識させないくらい、E63AMGは強大なパワーを生み出してくれる。
少し慣れてきたところで、左、右と切り返すシケイン(低速コーナー)でドンとアクセルを踏み込んだら、ズズッと後輪が滑り始めた。もっとも、このときは横滑り防止装置のESPをスポーツモードにしてあったので、タイヤが空転してもスピンすることはない。コンピューターが自動的にクルマの向きを修正してくれたのである。
E63 AMGの実力を引き出すにはあまりに時間が短かったが、それでも、あまりあるパワーと目の覚めるようなレスポンスの鋭さには目を見張らされた。
いっぽうで、狭い道も苦にしない扱いやすさ、それに快適な乗り心地も備えている。E63AMGは、これ1台ですべてをこなせる“超高性能多用途車”だ。
しかも、E63 AMGにはステーションワゴンも用意される。こちらを選べば、Eクラス・ワゴンの、あの広大な荷室が手に入るのである。細かく見ていくと、セダンより微妙に乗り心地が荒れているとか、ほんの少しだけ排気音が大きいなどの傾向はあるものの、ワゴンを選べばE63AMGの多用途性がさらに広がるのは間違いない。どちらを選べばいいか、思わず迷ってしまうことだろう。
日本導入は2011年内の予定。価格は現行型のE63AMGとほとんど変わらないと予想される。
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