ゴーン氏三菱自会長就任で国内販売どうなる?世界販売はTOP3でも日本は日産5位、三菱最下位…(1/2)

ゴーン氏三菱自会長就任で国内販売どうなる?世界販売はTOP3でも日本は日産5位、三菱最下位…
【緊急会見】三菱自の取締役会長に選出されたカルロス・ゴーン氏と、三菱自社長の益子修氏 日産ゴーンCEO 三菱自の取締役会長に選出されたカルロス・ゴーン氏と、三菱自社長の益子修氏 三菱自社長の益子修氏 三菱自の取締役会長に選出されたカルロス・ゴーン氏と、三菱自社長の益子修氏 三菱自動車工業株式会社 本社ショールーム(田町) 三菱自の燃費不正問題を受け、報道陣向けに交通研の自動車認証審査部が「惰行法」のデモを行った。 三菱の問題となっている軽自動車、eKワゴン 日産ゴーンCEO 日産ゴーンCEO 記者会見場に入ってくる、日産ゴーン社長と三菱自の益子会長 画像ギャラリーはこちら

日産のトップに立つゴーン氏がナゼ三菱の会長に就任するのか

三菱自の取締役会長に選出されたカルロス・ゴーン氏と、三菱自社長の益子修氏

日産自動車の社長兼最高執行責任者に就任しているカルロス・ゴーン氏が、三菱自動車の取締役会長候補に選出された。三菱の会長にカルロス・ゴーン氏が就任するのは、ほぼ確実と見て良い。

一方、三菱の社長は従来と同じく益子修氏が務める。今は会長兼社長だが、会長職のみをカルロス・ゴーン氏に譲ることになる。

すでに予定されていた通り、2016年10月20日に日産が三菱の発行済み株式の34%を取得した。その払込みを済ませて、日産が三菱の筆頭株主になった。

筆頭株主の日産が三菱に役員を送り込むのは理解できるが、日産のトップに立つカルロス・ゴーン氏が三菱の取締役会長を兼任するのは異例だ。なぜカルロス・ゴーン氏が三菱の会長に就任するのか。

記者会見でカルロス・ゴーン氏は、三菱の取締役会からの要請に基づいて三菱の会長に就任する趣旨の発言を数回に渡り行った。

日産を瀕死状態から再生させたゴーン氏の手腕に期待

三菱自社長の益子修氏

一方、三菱の益子修社長は、先般の燃費偽装問題の責任を取り、解決のメドが付いた時点で社長を辞任する意向を示していたという。それを引き止めたのもカルロス・ゴーン氏で、今後も経営を担ってもらいたいと伝えた。

つまり三菱はカルロス・ゴーン氏に会長の就任を求め、カルロス・ゴーン氏は益子修氏の留任を希望したわけだ。

ではカルロス・ゴーン氏が三菱自動車で何をするかだが、三菱と日産の提携が円滑に進むように取締役の統括を行い、益子修氏にアドバイスや支援をするとのことだ。またカルロス・ゴーン氏によれば、益子修氏の留任は、三菱が別の会社になるのではなく、今まで通りの三菱自動車であり続けることを示しているという。これは三菱の社員に対する配慮でもあるようだ。

カルロス・ゴーン氏が「三菱の透明性を担保する」という趣旨の発言をしたことも印象に残った。今まで三菱は複数回にわたってリコール隠しなどを行い、先ごろの燃費偽装問題に発展している。「透明性」が重視されるのは当然で、カルロス・ゴーン氏がそこを担保するわけだ。

記者会見を聞いて感じたのは、辛辣にいえば、三菱がもはや行き場を失って社長の候補者についても人材不足に陥っていることだ。

一般的に企業が大きな問題を抱えて業績不振になると、役員人事を刷新して再生に乗り出す。しかし今の三菱は度重なる不祥事の後でもあり、有効な手立てがない。そこで日産の再生で実績のあるカルロス・ゴーン氏が乗り出し、三菱の社長は今までの経過に詳しい益子修氏が務める構図だ。

カルロス・ゴーン氏は「三菱を再生させるのはあくまでも益子修社長」としているが、相当に踏み込んだアドバイスや支援をすることになるだろう。カルロス・ゴーン氏は、日産が瀕死の状態から再生した成功体験が背景にあるとも語った。いわば前例があるから「日産が業績不振に陥った1999年に比べるとリラックスしている」のだという。

その一方でカルロス・ゴーン氏は筆頭株主の立場も強調する。「株主の利益を守る」ことが重要課題だという。当たり前のことだが、リストラが行われたりする可能性は否定できないだろう。

世界販売は1000万台に達し世界トップ3に

日産ゴーンCEO

提携に基づく相乗効果は、当然のことながらいろいろと語られた。ルノー/日産に三菱が加わることで、2016年度の世界販売台数は1000万台に達して、世界トップ3のメーカーになる。提携すれば部品などの共同購買、工場の共用、車両プラットフォームの共通化などによってコストを幅広く抑えられる。海外の自動車ローンなど、三菱が日産の金融会社を活用することも挙げていた。

そして三菱は業績不振とされながら、インドネシア、タイ、シンガポールといったアセアン地域では販売が堅調だ。2015年における三菱車の国内販売台数は10万2010台だが、世界生産台数は121万8853台で(つまり国内比率は8%)、アジアでは50万台近い生産を行う。2017年春にはインドネシアの新工場も稼働を開始する予定だ。

このインドネシア工場で生産するMPV(多目的車/3列シートのSUV)は、日産にもOEM車として供給される。ルノー/日産にとって、三菱のアセアン市場を活用できるメリットは大きい。

また三菱にはアウトランダーPHEVがあり、この技術をルノー/日産に転用すれば、プラグインハイブリッドを割安に開発できる話もあった。複数のメーカーが手を組めば、PHEVに限らず開発や生産のコストを分散して効率を高めることが可能で、提携を行う大きな目的でもある。

その結果、日産と三菱の提携効果は、2017年度は三菱が250億円で日産が240億円、2018年度は三菱が400億円で日産は600億円を見込んでいるという。

ただし相乗効果の話に出てくるのは、いずれも海外ばかりだ。三菱が日産の傘下に入り、カルロス・ゴーン氏が三菱の会長に就任することは、日本のユーザーにどのような影響を与えるのか。

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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