富士通テン、業界トップクラスの車載用“軽量”スピーカーを開発

音質はそのままに質量を従来比約30%削減

富士通テンの軽量スピーカー ネオジム磁石使用富士通テンの軽量スピーカー フェライト磁石使用

富士通テンは、音質を維持しながら質量を従来比約30%削減した、業界トップクラスの車載用軽量スピーカーを開発したと発表した。

今回開発したスピーカーは車両の多くに標準的に装着される口径16cmサイズのもので、ネオジム磁石を使用したタイプ(135g:同社従来品比約30%軽量化)と、フェライト磁石を使用したタイプ(190g:同社従来品比約35%軽量化)の2種類を開発。

既に国内の自動車メーカーに採用され、順次納入を開始している。現時点で納入が確定しているスピーカー数量を従来仕様で準備した場合と比較すると、約430トン/年の質量が削減可能である。

同社では今回開発した技術を16cm以外のサイズのスピーカーにも応用して国内外自動車メーカーへの提案活動を強化し、より多くの車両に搭載してもらうことで、車両の軽量化、地球環境保全に貢献していくとしている。

開発の背景

自動車が世界的に普及する一方で、地球温暖化や排ガスによる大気汚染が深刻な問題となっている。自動車業界ではハイブリッド車や電気自動車、燃料電池自動車の開発をはじめ、少ない燃料で長距離を走れる車の開発が急ピッチで進められており、燃費向上のために車両の軽量化にも取り組んでいる。車体やあらゆる部品において軽量化が検討されており、同社が開発する車載用スピーカーもそのひとつである。

課題

1995年頃に高い磁力を持つネオジム磁石を磁気回路に使用したスピーカーが自動車メーカーに採用され始め、それまで600g程度であった質量は200g程度にまで軽量化されたが、音質を維持しながらそれ以上の軽量化は難しく停滞していた。

また、ネオジム磁石は希少な資源で構成されており、コストが高価でさらに高騰するリスクを抱えていた。一方、従来から使用されていたフェライト磁石では、ネオジムに比べて磁力が弱いため、音質を維持したまま軽量化を図ることが困難とされていた。

開発した技術(ネオジムタイプ、フェライトタイプ共通)

スピーカーの質量のうち約80%を占める、フレームと磁気回路を見直した。

1)軽量スピーカーフレームの開発

<課題>

単純にフレームを薄肉軽量化すると強度が低下し、不要な共振が発生して音質が劣化

<主な方策>

強度解析シミュレーション技術を用いたフレーム形状の最適化により、薄肉化を図りながら振動を分散させる「振動分散型フレーム」を開発

・強度確保、音質向上:フレーム脚部を2本上下に配置するとともに、断面形状を変更

・軽量化:フレームの平均肉厚を極限(1.0mm)まで薄肉化

2)軽量磁気回路の開発

<課題>

マグネットの磁気を伝える役割をもつヨークを薄肉化すると、振動板を駆動するための磁束密度が低下し、これに伴い音圧が低下、音質も劣化。

<主な方策>

磁気回路シミュレーション技術を用いて磁気回路形状の最適化を図り、磁束密度を確保しながら体積を最小化できる形状を見出すことによりヨークの薄肉化を実現。これにより貫通穴を大型化することで、空気の流れを動きやすくして振動系の動きを良くする改善を図り低音域のレスポンスを向上。

・軽量化:プレート、ヨークの薄肉化/形状最適化

・軽量化、音質(低音域レスポンス)向上:ヨークの貫通穴大型化

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筆者
樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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