トヨタ ウィッシュ 実燃費レビュー【総評編】(2/2)
- 筆者: 金子 浩久
- カメラマン:オートックワン編集部
走りは良い、唯一の不満はやはり3列目シート
あそこに、誰を、どんなシチュエーションで乗せれば、満足してもらえるのか。3列目が本当に必要で、あのレベルで納得できるシチュエーションなんて、本当にあるのだろうか。
3列目のシートを設ける代わりに、そのコストを2列目シートに振り分けてしっかり作ってもらい、スペースを荷室にするべきだ。
3人家族で、スバル レガシィ アウトバックに乗っているYさんと僕の共通した結論だ。
“無いよりは、あった方が便利かもしれない”という物欲しげな、いい換えれば貧乏臭い(貧乏ではない)発想は、そろそろ時代遅れになってきている。
21世紀の日本は十分に豊かなのだから、適材適所、日常に満足できるクルマこそがふさわしい。日常に満足できるとは、いつ使うかわからないような3列目よりも、いつも使う2列目や1列目を大事にする姿勢のことだ。
「いつか着るから」と、冬が過ぎて春が来て、夏が来ても分厚いコートを毎日脇に抱えているようなものだ。ウィッシュの3列目シートは、真夏の分厚いコートなのだ。
先代ウィッシュは、同種のホンダ ストリームの直ぐ後に発表された。「サイズやデザイン、内容が似過ぎじゃないか」と揶揄されたこともあったが、新型ではデザインの方向性をズラしてきたようだ。
そのストリームは、2009年6月のマイナーチェンジで2列5人乗りの「RST」をラインナップに加えた。やはり、3列シートを必要としない人を無視できないということなのだろう。
「だったら、2列5人乗りでいいじゃないか」2列5人乗りで構わないのだったら、それはYさんの乗っているレガシィのようなステーションワゴンのことではないか。
トヨタにだって、アベンシスというよくできたステーションワゴンがある。7人乗せたいのだったら、それなりの空間とシートを持つ、大きなミニバンがふさわしい。3列7人は中途半端そのもの。
やはり、どうしても話はそこに戻って来てしまう。500km走って、その考えが変わることはなかった。走りっぷりの良さはそのままに、ウィッシュ版「RST」が早く出ないだろうか。
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