メルセデス・ベンツ Cクラス クーペ 海外試乗レポート/西川淳(4/4)
- 筆者: 西川 淳
- カメラマン:メルセデス・ベンツ日本
日本導入は今秋から開始予定
ザ・ドリフトマシンというべきC63AMGクーペを除けば、ベストチョイスは180だと思う。エンジン性能は控えめでいかにもメルセデスらしい。それが、小粋なクーペというキャラによく似合っていると思う。気分よく使い切ってしまえる、ほどよいパワーフィール。サウンドもなかなか。耳に心地よく響く快活なエグゾーストノートだ。
ハンドリングや乗り心地も良好だった。ノーズの動きが軽やかで、手応えもナチュラル。安心して身を任せていられる。18インチのタイヤも見事に履きこなしていた。
そこに十二分のパワーを与えたグレードが250だと思ってもらえばいい。試乗車はDHP仕様だったが、おそらくスポーツシャシーで十分。ノーズの軽さでは180とほとんど変わらず、最初のひと踏みが力強いぶん、よりスポーティな扱いが可能。予算に余裕があればコチラ。
350で特筆すべきは官能性だろう。エンジンを回して楽しむというパワーフィールは、さすがに4発とはまるで違う次元。乗り心地も重厚である。ただし、フロントヘビーな感は否めない。お尻がかなり軽く思えて、タイトベントが続く峠道では、だんだんと操るタイミングが遅れてしまう。350を買う予算があれば、ボクなら迷わずEクーペの4気筒を狙う。
最後にAMG。最初に「ドリフトマシン」と書いたが、サーキット試乗では全てのコーナーでお尻を気持ちよく振り出す演出の面白さがあった。新たにスピードシフト7MCTを組み合わせたから、変速も存分に楽しめる。お金持ちのドリフト&サーキット遊びに、これ以上スリリングでエキサイティングなクルマはほかにない。
日本導入は今秋から。まずは250、ひょっとして180、そしてAMG、最後に350という順番か。アウディTTのようなライフスタイルクーペではないので、爆発的なヒットは期待できそうにないが、クルマ好きの心を射止めるに十分スポーティなポテンシャルのある、実は乗って楽しいクーペであるということを、報告しておきたい。
この記事にコメントする