約150万円も値上がりしたメルセデス・ベンツ 新型Cクラスの価格は妥当なのか!? 実際に乗って実力を検証してみた

  • 筆者: 竹花 寿実
  • カメラマン:佐藤 正己
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ドイツ本国で発表されてから遅れること8ヶ月、日本にやっと上陸を果たしたメルセデス・ベンツ 新型Cクラス。見た目は2020年に発売された新型Sクラスに似た仕上がりであり、先進安全装備や内装デザインに至るまでまさにプチSクラスというデキなのだった。大幅に質感が向上した新型Cクラスだが、スタート価格は654万円〜と先代のベースグレードであるC180は489万円であったことから約150万円も価格が上昇しているのだ。一体新型Cクラスの値上がりは妥当なのか!?

目次[開く][閉じる]
  1. 先代Cクラスは世界で250万台以上発売! 大ヒットモデルがフルモデルチェンジへ
  2. 新型CクラスはまさにプチSクラス! 内外装デザインや質感は大幅レベルアップ
  3. 乗り心地は少々硬め! 1.5リッターターボエンジンながら大排気量エンジン並みの走り
  4. 新型Cクラスは街中こそ最高! オプションのリアアスクルは絶対選ぶべき
  5. 新型Cクラスの完成度は若年層狙い!? バリエーション追加を切望
  6. 価格上昇は内容を考えれば妥当! 買うならディーゼルに試乗してからがオススメ

先代Cクラスは世界で250万台以上発売! 大ヒットモデルがフルモデルチェンジへ

2021年2月23日にオンラインでワールドプレミアとなってから約8カ月。ようやく新型メルセデス・ベンツ 新型Cクラス(W206)の走りを日本で体験する事ができた。

先代モデルは、セダンとステーションワゴンだけで、世界で約250万台も販売。日本にも約10万台が上陸した、プレミアムDセグメントを代表するモデルだ。それだけに新型にも大きな期待を抱いて、試乗ステージの箱根へ向かった。

>>メルセデス・ベンツ 新型Cクラス登場! Sクラス譲りの装備が好印象も高価格に「手が出せない」の声【みんなの声を聞いてみた】

新型CクラスはまさにプチSクラス! 内外装デザインや質感は大幅レベルアップ

新型Cクラスは、新型Sクラスにも採用されているMRA−2(モジュラー・リアホイールドライブ・アーキテクチャー2)というプラットフォームを採用。ADASやARナビゲーション、MBUXなどエレクトロニクスや、リア・アクスルステアリングなどシャシー技術、そして全車電動化されたパワートレインなど、メルセデスの最新技術が惜しげなく盛り込まれている。

デザインも、エクステリア、インテリアともに、新型Sクラスに通じる最新のメルセデス・デザインで纏められている。だがCクラスではボンネットフードにパワードームが与えられ、ショートオーバーハング&ロングホイールベースのプロポーションも、よりダイナミックなものとなっている。

ボディサイズは全長4785mm、全幅1820mm、全高1435mmで、先代より80mm長く、10mm幅広くなっている。2865mmのホイールベースは先代から25mm延長された。

Sクラスとの最大の違いはセンターモニターにあり! 新型Cクラスはドライバー側にオフセット

また、ドライバー正面には本国仕様ではオプションの12.3インチコクピットディスプレイを標準装備。センターコンソールから立ち上がる、こちらも本国ではオプションの11.9インチのセンターディスプレイは、Sクラスでは真正面を向いているが、Cクラスではドライバー側に6度傾けられている。

つまり、新型Cクラスは、簡潔に言えば「ドライバーズカー的なキャラクターを際立たせたプチSクラス」といったモデルである。

実際にステアリングを握ってみても、まさにプチSクラスといった印象である。インテリアデザインはCクラス専用だが、デザインテイストはSクラスに通じる部分があり、シート調整パネルもSクラスと共通。機能装備もARヘッドアップディスプレイこそ備わらないが、Sクラスと比較してもほぼ遜色ない。MBUXは最新世代で、指紋と声による生体認証機能も搭載している。

>>巨大ボディの新型Sクラスは意外と小回り性能バツグン!? 注目のARナビと個人認証機能を1日試してみた

乗り心地は少々硬め! 1.5リッターターボエンジンながら大排気量エンジン並みの走り

快適性も確実にレベルアップしている。今回の試乗車は、新開発の1.5リッター直4ガソリンターボに48V駆動のISG(インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター)を組み合わせた、マイルドハイブリッドのC200アバンギャルドのAMGラインという仕様である。フロントが225/45R18、リアは245/40R18サイズのピレリ・チントゥラートP7というグリーンパフォーマンスタイヤを装着。

乗り心地はやや固めながら十二分に快適で、特に高速道路でとてもフラットで上質な乗り心地が味わえる。ロングホイールベース化の恩恵や、ボディ&シャシーの進化がはっきりと感じられた。キャビンのノイズレベルも、先代より明らかに低くなっている。

変速ショックは最小限に! モーターの制御が超自然

街中での走りもとても快適だ。新開発のM254型1.5リッター直4ターボは、最高出力204PS/5800~6100rpm、最大トルク300Nm/1800~4000rpmで、先代のM264型から20PSと20Nmも性能向上。しかも先代は最大トルク発生回転数が3000~4000rpmだったが、新型は1800rpmという低回転から最大トルクを発生するので、これだけでもかなり乗りやすくなっているはずである。

しかも新型は、20PSと200Nmを発揮するISGが組み合わされている。これは13PSと38Nmというスペックだった先代C200のBSG(ベルト・ドリブン・スターター・ジェネレーター)から大きな飛躍だ。

電気モーターだけで200Nmものトルクを発生するとなると、もはや“マイルドハイブリッド”というレベルではない。

実際、発進時からC200はとてもスムーズだ。加速中や9速ATの変速時のトルクの切れ目も、このISGが巧みにアシストし、非常に滑らかで力強い加速フィールを実現している。スペックを知らなければ、市街地走行ならトルクフルな2リッターターボを搭載していると思ってしまうかもしれない。

個人的にはもう少し動き出しに軽さが感じられると一層好ましいと感じたが、それは多くを望みすぎというものか。

新型Cクラスは街中こそ最高! オプションのリアアスクルは絶対選ぶべき

ワインディングロードでは、さすがに速度が上がると、ISGのアシストは弱くなるので、エンジンが頑張り始める。すると派手にエグゾーストノートを響かせるわりにはパワー感が弱く、1.5リッターターボである事を実感させられる。

ダイナミックセレクトで「スポーツ」や「スポーツ+」を選択すれば、低めのギアをキープするので、それなりに元気の良い走りが楽しめるが、このC200は、街乗りでこそ良さが光るモデルだと感じた。

ただし、ハンドリングは十分にスポーティだ。AMGラインを選ぶと装着されるスポーツサスペンションや、60km/h以下では前輪と逆位相に、それ以上では同位相に後輪が最大2.5度切れる、オプションのリア・アクスルステアリングのおかげで、俊敏で正確なハンドリングと高いスタビリティを実現。

ハイスピードコーナーでも高い安心感と共に自信を持ってステアリングを切り込んでいける。少々荒れた路面でも18インチタイヤがバタつくようなこともなく、シャシーのポテンシャルの高さが感じられた。

新型Cクラスの完成度は若年層狙い!? バリエーション追加を切望

新型Cクラスはとてもスポーティな高級セダンに仕上がっているという印象である。もちろんプレミアムDセグメント・セダンとして、文句のない出来映えである。

しかし個人的には、Cクラスはスポーティネスよりも、もう少し上質感が際立っていてほしいとも思う。新型は本国仕様にもかつてのエレガンスが用意されていないので、メルセデスとしてはスポーティなイメージをプッシュして、若い世代の顧客を獲得したいのだろうが、やはり酸いも甘いもかみ分けた大人に似合う仕様があっても良いと思う。

じつは筆者は、7月にスイス・チューリッヒでPHEVのC300eセダンに試乗しているのだが、個人的には今回のC200の方が、乗り味は良いと感じた。

C300eは、最大100kmもEV走行ができるだけあり、車両後部に大きなバッテリーを搭載しているのだが、それが理由なのか乗り心地がやや硬く、重厚な乗り味という印象だった。対してC200は走りは軽快でとてもカジュアルな感覚である。

価格上昇は内容を考えれば妥当! 買うならディーゼルに試乗してからがオススメ

問題はセダンで654万円~という価格だ。確かにクルマとしての完成度は高いし、装備内容を見ても最先端のインフォテインメントシステムやコネクティビティ、安全運転支援システム、デジタルライト、リア・アクスルステアリング(オプション)など、ハイテク装備が満載だが、もはや手頃な価格とは言えない。日本とドイツの経済格差がはっきりと感じられるようになってしまった。

それでも新型Cクラスは内容に対してリーズナブルである事は間違いない。手に入れれば間違いなく満足できるだろう。ただ買うのはディーゼルのC220dをチェックしてからでも良いかもしれない。

【筆者:竹花 寿実】

メルセデス・ベンツ/Cクラス
メルセデス・ベンツ Cクラスカタログを見る
新車価格:
599万円995万円
中古価格:
38万円748万円

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筆者竹花 寿実
樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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