レクサス RX 試乗レポート/渡辺陽一郎(2/3)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:オートックワン編集部
ハイブリッドモデル「RX450h」の強力な加速力は相変わらず健在
従来型との違いを端的に感じたのは、コーナーに進入すべくハンドルを切った時だ。
従来型の反応も悪くなかったが、SUVにありがちな曖昧さを伴っていた。それが現行型になると、小さな舵角から、ハンドルの回し方に応じて正確に向きを変える。高重心のSUVとあって機敏な動きではないが、曖昧さが払拭されて車両の動きを探りながら走る必要はなくなった。
その一方で、後輪の接地性も向上している。コーナーリングの最中に、危険を回避するためにアクセルを戻し、さらにブレーキを踏む操作を行っても、後輪の横滑りが生じにくい。
従来型であれば、後輪が少し不安定になり、横滑り防止装置のVSCが軽く作動する状況でも、現行型なら平穏に速度を下げられる。感覚的にいえば、全高が1690mmから1600mmくらいに下がった印象。挙動の方向性は従来型と同じだが、正確に曲がり、確実に減速できるようになったので、ドライバーの安心感が高まった。
ハイブリッドの動力性能は従来型を踏襲。V6エンジンとモーターの駆動力を合算したシステム最高出力は299馬力になる。モーターの支援が強力で加速感も力強い。
無段変速とあって、直線的に車速を高める。高速道路で追い越し車線に乗り入れた時など、車両重量が2130kgに達する重量級のボディながら、軽くアクセルを踏み増すだけで必要な加速力が得られる。
意外だったのはエンジン音。音量は大きくないが、アクセルを踏み込むと、けっこう威勢良く感じられる。特に発進してモーター駆動のみで走行し、アクセルを少し踏み増してエンジンが始動すると、その音が乗員に明確に伝わる。乗り心地は上質だ。
今回の試乗車はすべて19インチタイヤ(ブリヂストン・デューラーH/L33)を装着していたが、RX450h・バージョンL・エアサスペンション・4WD仕様は、硬さを感じさせず少々荒れた路面でも常に快適性を保った。サスペンションの豊かな伸縮性も感じられ、SUV特有のゆったりした乗り心地を好むユーザーにも受けるだろう。
今回新たに設定された「Fスポーツ」なら峠でも十分楽しめる!
次に試したのは、V型6気筒3.5リッターのノーマルエンジンを搭載するRX350・Fスポーツ。今回のマイナーチェンジで新たに設定されたグレードだ。
乗り心地は少し硬めの印象。路面上の大きめのデコボコを通過した時の動きは気になったが、粗さは感じない。
「Fスポーツ」を名乗る以上、相応に機敏な運転感覚に仕上げる必要もあり、妥当なレベルと感じた。ほかのグレードと異なる点は、かなり良く曲がること。高重心のSUVでありながら、峠道をスポーティに走っても旋回軌跡を拡大させにくい。コーナーの先が内側に回り込んでいる場面でも、ハンドルを切り込めば車両がしっかりと内側を向く。
レクサスRXは峠道を飛ばして走るクルマではないが、そういった運転の仕方にも対応できる。ただし、ドライバーには抑制する心掛けも必要だろう。運転を楽しみすぎると、同乗者にとっては、視線の高さから予測される車両の動きと、実際の挙動にズレが生じてくるらしい。
背の高いSUVが、相応にボディを傾かせながら、確実に回り込む。ドライバーにとっては楽しいが、同乗者の気分を害さないよう注意したい。編集部のTさん、ごめんなさい。
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