レクサス RX 試乗レポート/渡辺陽一郎(3/3)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:オートックワン編集部
究極の選択! RX270にするか、それともRX350にするか
V型6気筒の3.5リッターエンジンは、1950kgの車両重量とのバランスが優れている。モーター駆動を伴うハイブリッドと違って、普通のエンジンだから馴染みやすい。排気量に余裕があるので、実用回転域の駆動力も十分だ。
そして最大トルクを4700回転で発揮させる設定とあって、高回転域の吹け上がりも良い。レクサスRXにスポーティな走りを求めるユーザーにとって、3.5リッターエンジンとFスポーツの組み合わせは最良だと思う。
積極的な走りも楽めるFスポーツの対極に位置するのが、直列4気筒2.7リッターエンジンを搭載するRX270(試乗車は"version L")だ。
RX270の駆動方式は前輪駆動の2WDのみで、4WDは設定されていない。V型6気筒が直列4気筒に変わり、排気量も800cc下まわるため、エンジンに関連した重量が60kg程度は軽くなる。
従ってコーナーリング時などの運転感覚は軽快。交差点を普通に曲がる時でも、車両の向きが素直に変わる。ボディ剛性が高まり、RX270の軽快感にも磨きが掛かった。
内外装の上質な高級SUVでありながら、ジーンズ感覚の気軽さが楽しい。クルマ好きにも受ける「スッピンの良さ」があるが、主力のグレードではないだろう。エンジンノイズは入念に抑えたが、登坂路に差し掛かってATがシフトダウンを行った時など、やはり直列4気筒であることを意識させる。
一般的なSUVなら問題はないが、「レクサス」のブランドイメージを念頭に置くと、RX270よりも、V6エンジンを積んだRX350、RX450hが相応しい。価格もさほど安くない。RX350の2WD仕様を45万円下まわるが、細かな装備の違いを差し引くと、実質的な差額は35万円前後だ。
RX270の価格も430万円に達するので、比率にすれば8%程度。それならばRX350を手に入れたい。本命は、走りも内装も上質で、レクサスブランドの価値をSUVにしっかりと落とし込んだRX350とRX450hになる。
レクサスRXのユーザーは男性ではなく女性中心!?
開発者は、「RXでは女性のお客様が圧倒的に多い。男性を増やすことも考えて、精悍なスピンドルグリルを採用した」と言う。RXのユーザーが女性中心!? 改めて尋ねると、北米を主体とした海外市場の話だった。
北米などではちょうど、ヴィッツやラクティスを使うように、レクサスRXで奥様が買い物に出かけるわけだ。とてもオシャレでカッコイイけれど、日本では難しい。全長が4770mm、全幅が1885mmでは、ボディが大きすぎる。
今回の報道試乗会でも、取りまわしには気を使った。ひとまわり小さなRAV4に近いサイズのモデルがあると良い。最近、ネットを飛び交うRXのコンパクト版の噂が本当なら、搭載するのはカムリと同じ2.5リッターのハイブリッドだろうか。そのサイズが登場するなら、日本の女性も気を使わず乗れ、さらにオシャレでカッコ良くなりそう。
もちろん、男性のクルマ好きにも朗報だ。特にハイブリッドは、今のところセダン、コンパクトカー、ミニバンが中心。手頃なサイズのハイブリッドSUVは、導入する価値が高い。
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