レクサス GS 海外試乗レポート(3/3)

  • 筆者: 河村 康彦
  • カメラマン:トヨタ自動車株式会社
レクサス GS 海外試乗レポート
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より上質かつより上品になった走りのテイスト

走りのテイストは基本的にはジェントルな上質さを演じつつも、イザというシーンではパワフルにしてダイナミック。

変速時のステップ比が小さく抑えられる6速ATとそのスムーズさでは定評の4.3L V8エンジンとのコンビネーションは、およそ1.7トンという重量のGSのボディをほんの6秒プラスで100km/hのスピードまで加速させ、最高速度はリミッターの作動する250kmをマークする能力を備えると言う。ちなみに新型GSの場合、「欧州市場には投入予定がないので・・・」という理由から今回はテストドライブが叶わなかった3.5リッターの新開発V6エンジンを搭載するGS350の方が、「よりスポーティなバージョン」(三好チーフ・エンジニア)という扱いになるとの事。欧州仕様では283hpという最高出力表示のGS430に対し、300psを軽々と越えると言われるそちらのモデルの動力性能がどれほどのものかも多いに楽しみだ。

245/40というファットな18インチのシューズを履きつつも、ばね下の動きが軽やかで振動のダンピングにも優れた爽やかな乗り味を提供してくれるのも、このクルマの走りの魅力の一部分。ただし、同仕様であるはずの複数台のテスト車を乗り比べると、そのステアリング・フィールや微舵操作に対する正確性などにやや個体差が感じられた点は報告の必要がありそうだ。

例えば、“良”のクルマではオートルート(高速道路)のワインディング区間をしっかりと狙ったラインをトレースしながら高い安心度でクリア出来るのに対し、“並”のクルマでは100km/hを大きく越える速度になるとそのあたりにやや不安感が伴い始める、という具合。

GS430の場合、速度感応式のVGRS(ギア比可変ステアリング・システム)を標準装備とするものの、それはあくまでもやはり標準採用のVDIM(運動性能統合制御システム)の機能の一部に含まれるという印象。理論上ではステアリングのロック to ロック値を2.7~3.2回転の間で可変化させる事になってはいるが、一部の最新BMW車が用いる“アクティブ・ステアリング”のように、低速域でのレシオが極端に早まるような感覚は無く、知らなければ“それ”とは誰も気付かないであろう自然な仕上がりであった事も付け加えておこう。

日本では、ターボ付きモデルがイメージリーダー的扱いをされてきたのが歴代のアリスト。それに比べると、より上質かつより上品になったこのクルマの走りのテイスト――特に加速のフィーリング――には、あるいは一沫の刺激性の物足りなさを感じるという声も起こり得るかも知れない。が、GSというのはもはやアリストの後継モデルとしてよりも、これから日本で始まる“レクサス神話”の第一章を受け持つモデル、と考えれば、やはりこうした走りのキャラクターの変化も受け入れるべき事柄なのだろう。

それにしても、これから姿を現す事になるGS350、そしてその後に続くISシリーズなどの展開もいよいよ楽しみ。これから、様々な驚きと感動を与えてくれる事を期待したい“日本のレクサス”である。

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河村 康彦
筆者河村 康彦

1960年東京生まれ。工学院大学機械工学科卒。モーターファン(三栄書房)の編集者を経て、1985年よりフリーランスのモータージャーナリストとして活動を開始し、現在に至る。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、インターナショナル・エンジン・オブ・ザ・イヤー選考委員 などを歴任。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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