ホンダ グレイス ~岡崎五朗のクルマでいきたい(ahead)~
- 筆者:
デザインと質感に拘った5ナンバーHVセダン
グレイスは、フィット ハイブリッドの基本コンポーネントをベースに作られた5ナンバーサイズのハイブリッドセダンだ。
最近のホンダ製5ナンバーサイズセダンといえば、いかにも安物感の強かったフィット アリアや、プリウスに歯が立たなかったインサイトを思い起こす。さすがに表だっては言っていないが、グレイスが、過去の失敗作から学んで開発されたクルマであるのは間違いない。
そのことが顕著に表れているのが、流麗なデザインと質感にこだわったインテリアだ。ハッチバックにトランクを付けたような色気のないデザインだったフィット アリアとは違い、美しい弧を描くルーフラインとCピラーの形状などはなかなか魅力的。
値段が値段だけにそれほど贅沢な素材は使えないが、インテリアにも、メタル調の塗装やステッチ風の造形など、許されるコストの範囲内で見た目品質を可能な限り高めようとした努力の形跡を多く見つけられる。驚くほど広い後席膝元スペースや、1クラス上の座り心地をもつリアシートも魅力だ。
低速域で上下に揺すられる硬めの乗り心地と、ザラついた路面での大きめのタイヤノイズを除けば、走行性能に特に不満はない。フィットよりは静かで快適だ。
とはいえ、僕はこのグレイスというクルマ、あまりホンダらしいとは思っていない。いや、いまのホンダを象徴していると言った方がいいのかもしれないが。
端的に言ってしまえば、モデル末期のプリウスに対し、5ナンバーサイズであることだけが売りのクルマを今だしてどうするのか?ということである。
そりゃ、カローラ ハイブリッドと比べればずっと洗練されているし魅力的だが、ハイブリッドセダンの本丸はあくまでプリウス。そのプリウスの開発陣をあっと驚かせるぐらいのサプライズをホンダには期待したいのだ。トヨタの後追いをするのではなく、トヨタに真似されることこそがホンダの存在意義なのだから。
ホンダ グレイス
取り回しやすいコンパクトボディーでありながら、アッパーミドルセダンのような広くて高い質感の室内空間を実現。リアシートは上級セダン同等の作りがなされ、足元はアコード ハイブリッドにも匹敵するスペースをとった。燃費はハイブリッドセダンNo.1となる34.4km/L(JC08 モード)を記録している。
ホンダ グレイス HYBRID LX(FF)主要諸元
全長 × 全幅 × 全高(mm):4,440×1,695×1,475 / 車両重量:1,180kg / 定員:5人 / エンジン:水冷直列4気筒横置 / 総排気量:1,496cc 【エンジン】最高出力:81kW(110ps)/6,000rpm / 最大トルク:134Nm(13.7kgm)/5,000rpm 【モーター】最高出力:22kW(29.5ps)/1,313-2,000rpm / 最大トルク:160Nm(16.3kgm)/0-1,313rpm / JC08モード燃費:34.4㎞ /L / 駆動方式:FF
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