BMW 3シリーズ 試乗レポート(松下宏)

  • 筆者: 松下 宏
  • カメラマン:原田淳
BMW 3シリーズ 試乗レポート(松下宏)
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FR方式の軽快なフットワークはBMWならではの魅力

BMWの主力モデルとなるのが3シリーズ。日本でも輸入車としてとても良く売れているクルマで、スポーツモデルのM3まで含めて考えると、輸入車トップのゴルフを上回るほどの売れ行きを示したことがあるほどだ。フルモデルチェンジで登場した新型3シリーズは5代目に当たるモデルで、あらゆる面で従来のモデルを超えるクルマに仕上げられた。

取り敢えず登場したのはセダンだけで、ステーションワゴンのツーリングはこの秋のフランクフルトショーで発表される予定。プラットホームは先に発売された1シリーズとの共用で、今回のモデルのために新開発されたもの。搭載エンジンは直列4気筒2Lと直列6気筒が2.5Lと3Lの2機種。いずれもバルブトロニックが採用され、6気筒エンジンではマグネシウム合金の採用による軽量化が図られている。トランスミッションは全車に6速ATが組み合わされるほか、320iには6速MTの設定もある。

装備や仕様の面で大幅な充実化が図られたのが特徴で、安全装備では8つのSRSエアバッグや新世代のDSC(横滑り防止装置)、DTC(トラクションコントロールト)、タイヤ空気圧警報システムなどが全車に標準で装備されている。

320iに搭載されるのは直列4気筒エンジンで、今ではBMWならではの特徴ともなった6気筒エンジンではないが、吹き上がりのスムーズさや回したときのパワーフィール、中低速域のトルク感など、どれをとっても不満がない。箱根ターンパイクの急な上りでは、もう少しパワーが欲しいという気持ちになるシーンもあったが、そんな急坂を急いで駆け上がるようなシチュエーションはめったにない。むしろバランスの良さを強く感じさせるエンジンといえる。

330iに搭載される6気筒エンジンは、いかにもBMWらしい軽快な吹き上がりとパワーフィールがとても気持ち良い。今では乗用車用の直列6気筒エンジンを真剣に作っているのはBMWくらいのもので、BMWならではの6気筒のフィールが味わえる。190kWに達するパワーも十分なもので、330iでは1500kgを超えることになったボディを余裕で引っ張るだけの実力を持つ。

足回りの軽快さもBMWならではだ。FRの駆動方式を採用するとともに、ほぼ前後50:50の均等な重量配分によって、フットワークの軽快さが実現されている。前輪がストラット式、後輪が5リンク式になった足回りも余裕のキャパシティを持つ。 新型3シリーズでは全車ともランフラットタイヤを採用するが、ランフラットにありがちなゴツゴツ感はあまり感じない。320iの16インチタイヤはもちろんのこと、330iの17インチタイヤやオプションの18インチタイヤでも乗り心地はスポイルされていない。高架道路の継ぎ目が厳しい西湘バイパスを走らせた感じでは、最も良かったのが16インチタイヤだったが、普通の路面なら17~18インチタイヤでも不満は出ないと思う。

新型3シリーズのデザインはすっきりしていてエレガントさを感じさせるものになったと思う。最近のBMWは、相当にアクの強いデザインを採用するクルマが多く、必ずしも一般受けするものではなかったが、今回は量販モデルの3シリーズとあって、より幅広いユーザーを意識したデザインを採用したのだと思う。

キャラクターラインのエッジを立てて彫刻的なイメージを強めたボディサイドや、広い全幅と引き締まったキャビンによって安定感を表現したフロントビューなど、全体に好感の持てるものになっている。

インテリア回りのデザインは基本的BMWの文法に則って作られている。ワイドにデザインされたインストセンターをドライバー側にやや傾けてタイト感を演出したコクピットや横基調のラインを強調したインパネなどはいかにもBMWらしいものだ。

ボディサイズはひと回り多くなった。特に全幅の1815mmという数字はあまりに大きすぎると思う。BMWではトレッドの拡大幅は大きくないし、FR車で最小回転半径が小さいので取り回しに苦労することはないというが、これが3シリーズのサイズかと思うほどだ。

ボディが大きくなったことで、居住空間が拡大したり、安全性が高まるなどのメリットが得られているのだが、だとしてもタワーパーキングに入れないくらいの大きさは日本では考えものだ。

BMW3シリーズの良さはやはり走りの気持ち良さだろう。前に搭載されたエンジンで後輪を駆動するオーソドックスで自然なFR方式を採用することや、前後の重量配分をバランスして軽快なフットワークを実現したことなど、ほかのメーカーのクルマにはないBMWならではの特徴を備えている。これが大きな魅力である。

価格は320iがギリギリで400万円を切る399万円の設定。従来のモデルに比べると、ボディが大きくなって車格感が向上し、搭載エンジンの性能が向上して6速ATが組み合わされ、さらに快適装備や安全装備が充実したのにもかかわらず、価格的にはむしろ安くなっているのだから、BMWが相当に戦略的な価格を設定してきたのが良く分かる。

カーナビなどのオプションを装着すると500万円級の予算になるが、それでも大きく進化したプレミアムブランドの新型車を買う予算と考えれば、十分に納得できるものといえる。

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松下 宏
筆者松下 宏

自動車そのものはもとよりクルマに関連する経済的な話題に詳しい自動車評論家。新車、中古車を含めてユーザーサイドに立った的確な購入アドバイスを語ることで定評がある。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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