アストンマーティン ヴァンキッシュ 試乗レポート/桂 伸一(1/2)

アストンマーティン ヴァンキッシュ 試乗レポート/桂 伸一
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歴史の重さを感じさせる別世界

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しばし”別世界”に行って来た・・・。

嘗てはイギリス貴族のスポーツカーとも言われたアストンマーティンが送り出す最高峰、ヴァンキッシュの試乗会にである。

「アストンマーティン」は1913年に誕生する。イギリス、バッキンガムシャー・ニューポートパグネル。アストンマーティンの創設者ライオネル・マーティンが自らのミドルネームと、所縁のアストン・クリントンの地名を組み合せて命名。

そこから現在、ニューポートパグネルにあるのがアストンマーティン・ワークス。ここは新型はもちろん、往年のファンから慕われるヘリテージセンターもある。そのファクトリーに一歩足を踏み入れると“宝”の山山山!!

ポール・マッカートニーが所有したDB6。映画 最新作「007 スカイフォール」劇中車のDB5。日本からオーダーを受けて新車状態にレストアされたDB5他、ロイヤルウエディングのDB6ボランテもここから送り出された。往年のレーシングマシンであるDB3SやDB2など歴史の重さをずしりと感じる。

独創的なエンジンサウンドに、“血湧き肉踊る”

アストン・マーティン

さて本題。

2002年「007 ダイ・アナザー・デイ」に登場した先代のヴァンキッシュは07年まで製造された。以来、「007 カジノロワイヤル」でデビューしたDBSが旗頭を担って来たが、5年ぶりにその座を新型ヴァンキッシュに明け渡す。

アストン・マーティン

先代よりも流麗に、抑揚感のあるスタイリングにまずは魅了される。ボディはオールカーボンファイバー製。その狙いは強度と剛性、捻りは25%、曲げ15%引き上げられたうえで軽量化も実現した。

エンジンをフロントに、ミッションをリアにマウントするオールアルミ製の特徴的なシャーシ、VH(ヴァーティカルホリゾンタル)プラットフォームも第4世代へと進化。DBSよりも室内と特に荷室は60%広がった。

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エンジンはクランクケース以外新設になり、V12としては過去最高の出力573ps/63.2kgmを発生。速さを数値で示すと0-100km/h加速4.1秒。最高速度は295km/h!!

アストンマーティン・ワークスの前にずらり並んだヴァンキッシュの中から割り当てられたのは、何故か左ハンドルのその名も『スカイフォール・シルバー』。

クリスタルに埋め込まれたチップを持つ長方形のキーを、センターコンソール上部に押込むことで電源ONと同時に6L V12気筒エンジンは盛大な“ひと吠え”とともに点火する。

道幅は狭いが日本と同様の左側通行の道路を「ヴァッキンガムシャー2012」のルートブックに沿って駆る。交差点では右から来るほうが優先など、微妙に違う交通規則に注意しながらアクセルを踏み込んで行く。

12気筒が爆発し、活動する鼓動、共鳴するサウンドは何ものにも例えられない深みと重奏の音色が独創的だ。これまでの最高峰であるDBSと比べて、低回転域では音質に変化はないが、より迫力の音量が響くようになった。アクセルをひと踏みすると、さらに中~高回転域ではより甲高いV12サウンドに変化!!“血湧き肉踊る”感覚だ。

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桂 伸一
筆者桂 伸一

1982年より雑誌「OPTION」誌編集部員からレーシングドライバーに転身!!92~93年はR32 GT-RでN1(現スーパー)耐久シリーズチャンピオン。近年はドイツ・ニュルブルクリンクで開催される24時間レースに、アストンマーティン・ワークスカーのドライバーとして参戦。2度の優勝を飾る。日本ジャーナリスト協会(AJAJ)会員、日本カーオブザイヤー(COTY)選考委員、ワールドカーアワード(W-COTY)選考委員。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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