1.5Lエンジン+6MTで走りが楽しく、ファミリーユースもできちゃう!「トヨタ ヤリス」【I Love コンパクトカー】(2/2)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:和田 清志
一番の特徴は上質になった運転感覚
ヤリスの一番のセールスポイントは、プラットフォームの刷新に基づく優れた操舵感と走行安定性だ。コンパクトカーとしては、操舵に対する反応を正確に仕上げた。ステアリングシステムの支持剛性が高く、小さな操舵角から、車両が正確に向きを変える。従来型のヴィッツを含めて、コンパクトカーはコストを重視して開発されるから操舵感が曖昧になりやすいが、ヤリスはそこを改めた。
ヤリスでは運転感覚が上質になり、高速域における進路の微調節もしやすいので、運転の楽しさと安全性をバランス良く向上させている。峠道を走る時の安心感が高い。カーブに進入した時に旋回軌跡を拡大させにくく、適度にスポーティな走りを味わえる。下り坂のカーブでは、後輪がしっかりと接地しているから不安定な挙動に陥りにくい。
ヤリスは全高を1500mmに設定したから重心の高さを意識させず、2WDの車両重量は直列3気筒1.5リッターのノーマルエンジンが1000kg前後、ハイブリッドでも1060kg前後と軽い。これも運転の楽しさと安定性を高める要素になった。
1.5リッターエンジンでは6MTも用意
このようなヤリスの性格も踏まえて、1.5リッターのノーマルエンジン車には、CVT(無段変速AT)と併せて6速MT(マニュアルトランスミッション)も用意した。6速MTはマツダ 2やスズキ スイフトスポーツも採用するが、コンパクトカーで選べる車種は数少ない。しかもヤリスは、1.5リッターのX/G/Zの3グレードすべてにCVTと6速MTを設定した。
1.5リッターエンジンの動力性能は、最高出力が120馬力(6600回転)、最大トルクは14.8kg-m(4800~5200回転)。実用回転域の駆動力を相応に確保しながら、4500回転を超えた領域の吹き上がりも活発だ。6速MTは、シフトストローク(シフトレバーが前後左右に動く範囲)が適度に詰められて操作性も良い。吹き上がりの優れた1.5リッターエンジンと相まって、機敏な走りを楽しめる。パワーが適度だから、6速MTを駆使して、エンジン性能をフルに引き出して走れることも大切な楽しさだ。
加速が滑らかで、ノイズも小さいハイブリッド
一方、ハイブリッドはモーターの駆動力に余裕があり、アクセルペダルを軽く踏み増した時など、エンジンの駆動力を上手に補う。加速が滑らかで、アクセル開度は抑えられるため、ノーマルエンジンに比べると3気筒特有のノイズも小さい。
乗り心地は、時速40km以下では全般的に硬く、速度が高まると快適になる。装着されるタイヤによっても変わるので注意したい。最も硬いのは14インチ(175/70R14)だ。燃費を重視して転がり抵抗を抑え、指定空気圧も前輪が250kPa、後輪は240kPaに達する。乗り心地が少々粗く、路上のデコボコを直接的に伝えやすい。
15インチ(185/60R15)は、ヤリスの中では柔軟だ。指定空気圧も前輪が230kPa、後輪は220kPaで、14インチに比べて最適化されている。
16インチ(185/55R16)は、少し硬めに感じるが、引き締まり感が伴って粗さは抑えた。指定空気圧を220kPa・210kPaに下げたことも良い影響を与えている。
ファミリーユースができて走りも楽しめる、ヤリスのおすすめグレードは!?
クルマ好きのユーザーにとって最も楽しめる組み合わせは、1.5リッターエンジンを搭載するZの6速MT(187万1000円)を選び、オプションの16インチアルミホイール&タイヤ(オプション価格は8万2500円)、安全装備のブラインドスポットモニター+リヤクロストラフィックオートブレーキ(10万100円)、パノラミックビューモニター(3万3000円)を加えるものだ。
予算に応じてGの6速MT(170万1000円)も検討する。17万円の差額で省かれる装備は、3灯式フルLEDヘッドランプ(Gにも8万2500円でオプション設定)、運転席と助手席のシートヒーター、本革巻きステアリングホイール、エアコンのナノイー機能などだ。シート生地や内装の装飾も異なる。またGのメーカーオプションに、16インチアルミホイール&タイヤは用意されずZ専用になる。
Gに3灯式フルLEDヘッドランプを装着するなら、約9万円を上乗せして、Zを選んだ方が満足度は高い。ZとGの価格差は前述の17万円でも、プラスされる装備を価格に換算すると19万円に相当する。
このほかヤリスは衝突被害軽減ブレーキも進歩的で、右左折時に直進車や横断歩道上の歩行者を検知できる。全車速追従型ではないが、車間距離を自動制御可能なレーダークルーズコントロールを6速MTにも採用した。
大切な家族を同乗させ、なおかつ運転の楽しさも満喫したい。そのようなユーザーにとって、ヤリスの6速MTは、価格の割安感まで含めて推奨度の高い車種になっている。
[筆者:渡辺 陽一郎/撮影:和田 清志]
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