トヨタ 新型RAV4試乗【前編】 雪上テストの巻|贅沢に3種類も用意された4WDシステムを徹底評価(2/2)

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贅沢に3種類も用意された4WDシステムと2種類のパワートレインを雪上で試乗

というわけで話は我々が士別に降り立った冒頭に戻る。

我々にお披露目されたのは、世界初搭載となる新四輪駆動システム「ダイナミックトルクベクタリングAWD」を含む、従来型四輪駆動「ダイナミックコントロール4WD」とハイブリッド四輪駆動の「E-four」という、3つの四輪駆動モデルであった(さらにこのときには試乗が叶わなかったが、カタログにはFFの2WDもラインナップされる)。

パワートレインは2つ。2.0リッターのNA(ノンターボ)エンジンにダイレクトシフトCVTの組み合わせのガソリンモデルと、2.5リッターガソリンエンジンにモーターを組み合わせたハイブリッドだ(ちなみにこちらも未試乗ながらハイブリッドモデルにも2WDが用意される)。

ダイナミックトルクベクタリングAWDは凝った仕組みだが味付けは極めてナチュラル

この日の士別は驚くほど暖かかった。すでに路面の雪はシャーベット状に溶け、クルマにはかなり厳しい状態である。特にどれも2トン近い車重のあるミッドサイズSUVにとっては、もはや意地悪と言っても過言じゃなかった。

しかし、この地で鍛え上げられた「ダイナミックトルクベクタリングAWD」は驚きの仕上がりであったことを、先に言っておこう。

一言で表現するなら、「こんなにドライバーを楽させてくれるなんて!」である。

「ダイナミックトルクベクタリングAWD」は、走行状況に合わせて前後トルク配分に加え、後輪のトルクを左右独立で制御するというもの。さらに4WDが不要な路面においては後輪に駆動を伝達させる駆動系を切り離して燃費向上を図る「ディスコネクト機構」を搭載する。

そう、これらひとつひとつを見ればそれぞれは世界初の技術ではないのだけど、これら全部を統合して制御するという技術が世界初なのだ。

なお、この四輪駆動技術を存分に享受するため、走行モードに「ROCK&DIRT」モードも追加されている。

ではその恐ろしい状態の雪道で、一体どうだったのか。ズバリ、ナチュラル。ミューの低い状態でもコーナー後半の押し出し感を実感出来るし、スリップは最小限に抑えられているのに、その介入に気づかないほど自然なアシストをしてくれる、そんな印象だ。雪道の状況は日が傾くに連れ刻々と変わっていく。一度溶解した雪がまた気温の低下(と諸先輩方の華麗なスライド)で固まり、一部アイスバーン状態にもなっていたが、そんなところでも制御が煩わしくなく、気づけばかなりの速度域でコーナーを制している、そんな感じ。

2.0リッターエンジンは決してパワフルではなく(ここもトルクを出すように改善されているというけれど、個人的にはもう少しパワフルさが欲しかったところ)、アクセルを踏めばそれなりにエンジン音も勇ましく車内に訪れてしまうとはいえ、安心だからこそ思わずさらにアクセルペダルを踏み足してしまう、って感じ。

従来型の四輪駆動「ダイナミックコントロール4WD」との違いは

従来型の四輪駆動も「ダイナミックコントロール4WD」という名で用意されているが、これに乗ると新型「ダイナミックトルクベクタリングAWD」の良さが本当によくわかる。

ダイナミックコントロール4WDでは、先に横滑り防止機能のVSCが介入し、ゴゴっと無理やりクルマを曲げていくような挙動が入るので、明らかに「あ、私今クルマに助けてもらったな」と実感させられてしまうのだけど、「ダイナミックトルクベクタリングAWD」ではそのゴゴ、がない。つまり、VSCの介入まで行かずとも、トルクベクタリングで上手に左右輪のミューをコントロールしてくれているのだ。

最大配分比は「ダイナミックトルクベクタリングAWD」で前後50:50、これは従来型のダイナミックコントロール4WDでも変わりはないけれど、「ダイナミックトルクベクタリングAWD」では左右にも100:0〜0:100までトルクを振り分ける。

ハイブリッド用4WDシステム「E-four」にも注目

ハイブリッド四駆の「E-four」が進化している点についても注目したい。

すでにプリウスなどにも搭載されている「E-four」だけど、これもプリウスのモノとは別次元にまで鍛えられている。4世代目にまで進化した「E-four」では後輪側に設置されたモーターは大型化され、トルクは30%向上され、きちんと後輪を押し出すように改良されているのだ。さらに前後トルク配分は100:0から最大20:80にまで分配されるのだが、速度が出たらリアにトルクが配分されるようになっているので、実はかなりスポーティな性格を併せ持つ。なので、シャーベット状態の峠路では、リアが流れるエキサイティングな走行をも楽しめるのが面白い。むろん、これはテストコース内の試乗だから通常よりも高い速度域での感想だけど、モーターの瞬発的な加速があるからこそ、いわゆる“ハイブリッド”の大人しいイメージからはかけ離れたがっつりスポーツドライブをもたらしてくれた。

つまり制御自体はかなり“曲げる”イメージ。ちょっとの操舵でも鼻先をグイグイを入らせてくれる感じだから(これも速度域が上がれば後輪にトルクが行く恩恵)、意外にも雪道上級者を喜ばせそうな仕上がりだと感じた。

【まとめ】新型RAV4の3つの4WDはそれぞれが上質な仕上がりだった

なによりも、どのシステムのものにも言えるのが、総じて上質なカッチリ感を実現していること、クルマとしての高い運動性能を誇っていたことだ。

それぞれの駆動システムやパワートレインの個性はあれ、操舵に関わるハンドルとペダルのリンクが高い次元で叶えられていて、工業製品としての完成度の高さがピカイチだったことに驚いてしまった。こんな悪路に持ち込んでなお、すでに高級車の香りすら漂うくらい。

後編の公道&ダート試乗レポートにも乞うご期待!

そろそろ字数が尽きたから雪道の試乗記はこの辺にして。

記念すべきトヨタ RAV4復活試乗祭りはなんと、ドライのダートや公道上でも日を改めて開催された。いよいよ行楽シーズンの本格到来。

こちらはインテリア・エクステリアの使用感と合わせて別記事でお届けするから、是非ご期待いただきたい。

【後編】トヨタ 新型RAV4オフロード&公道試乗レポートはこちら

[筆者:今井 優杏/撮影:トヨタ自動車]

【公式動画】トヨタ 新型RAV4 雪上試乗

トヨタ 新型RAV4 主要スペック

トヨタ 新型RAV4 主要スペック
XAdventureHYBRID X

メーカー希望小売価格
(消費税込)

2,835,000円

3,137,400円

3,450,600円

WLTCモード燃費

15.2km/L

20.6km/L

WLTCモード燃費
(市街地モード)

11.5km/L

18.1km/L

WLTCモード燃費
(郊外モード)

15.5km/L

15.3km/L

22.4km/L

WLTCモード燃費
(高速道路モード)

17.4km/L

17.5km/L

20.7km/L

全長

4,600mm

4,610mm

4,600mm

全幅

1,855mm

1,865mm

1,855mm

全高

1,685mm

1,690mm

1,685mm

ホイールベース

2690mm

乗車定員

5名

車両重量(車重)

1,570kg

1,630kg

1,670kg

エンジン種類

直列4気筒

駆動方式


ダイナミック
トルクコントロール
4WD


ダイナミック
トルクベクタリング
AWD

E-Four

排気量

1,986cc

2,487cc

エンジン最高出力

126kW(171PS)/6,600rpm

131kW(178PS)/5,700rpm

エンジン最大トルク

207N・m(21.1kg・m)/4,800rpm

221N・m(22.5kg・m)/3,600~5,200rpm

フロントモーター
最高出力

-

88kW(120PS)

フロントモーター
最大トルク

-

202N・m(20.6kg・m)

リアモーター
最高出力

-

40kW(54PS)

リアモーター
最大トルク

-

121N・m(12.3kg・m)

トランスミッション

Direct Shift-CVT

電気式無段変速機

燃料

無鉛レギュラーガソリン

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トヨタ/RAV4
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新車価格:
293.8万円563.3万円
中古価格:
69.9万円650万円
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今井 優杏
筆者今井 優杏

自動車ジャーナリストとして、新車や乗用車に関する記事を自動車専門誌、WEBメディア、一般ファッション誌などに寄稿しながら、サーキットやイベント会場ではモータースポーツMCとしてマイクを握り、自動車/ モータースポーツの楽しさ・素晴らしさを伝える活動を精力的に行う。近年、大型自動二輪免許を取得後、自動二輪雑誌に寄稿するなど活動の場を自動二輪にも拡げている。AJAJ・日本自動車ジャーナリスト協会会員。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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