まさかの「ハリアー化」!? 新型RAV4がスタイリッシュ路線を進む理由とは
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:小林 岳夫/島村 栄二/茂呂 幸正/トヨタ自動車/テスラモーターズジャパン
トヨタのベストセラーSUV、新型RAV4が2025年末にも発売されます。
先行公開されたそのデザインは、従来のワイルドなイメージから一転、都会的な洗練さをまとい、兄弟車であるハリアーとの境界線が曖昧になるのではないかという声も。一体なぜ、新型RAV4はこの大胆な変貌を遂げたのでしょうか。
そして、この「ハリアー化」とも言える新たな戦略が、ますますヒートアップするSUV市場に何をもたらすのか、その真相に迫ります。
RAV4はアウトドア志向から都会派にイメチェン!?
SUV市場は今、かつてないほどの人気を集めています。1994年に初代が登場したトヨタ RAV4は、コンパクトなサイズと4WD性能でこの市場を切り開いた先駆者でした。
しかし、その後のRAV4は北米市場を意識してボディを拡大し、国内では都会的なデザインで人気を博した初代ハリアーとのキャラクターの差異もあって、販売が低迷。2016年には国内販売を終えることになります。
RAV4の国内復活とハリアーとの差別化
この流れを大きく変えたのが、2019年に国内販売を復活させた現行RAV4です。
パワーユニットやプラットフォームはハリアーと基本的に共通としながらも、RAV4はアウトドア志向を強く打ち出すことで、ハリアーの「都会派」とは対照的なキャラクターを確立し、明確な差別化に成功しました。これにより、異なる顧客層を獲得し、国内での人気を回復させたのです。
しかし、今回先行公開された新型RAV4の主力グレードとして登場した「コア」は、これまでのRAV4のアウトドア志向とは一線を画す、都会的な雰囲気をまとっています。
まるでトヨタ ハリアーやトヨタ クラウンエステートのような洗練された印象です。ではなぜ新型RAV4はハリアーなどとキャラクターが重複するにもかかわらず、主力グレードに都会派の「コア」を位置づけたのでしょうか。
新グレード「コア」が担う役割は「SUV市場の多様化」への対応
新型RAV4の主力グレードとして「コア」を位置づけ、都会派デザインに舵を切った理由を解説します。
その背景となるのはグローバル市場におけるRAV4の状況と、SUV市場のトレンドの変化にあります。
グローバル市場におけるRAV4の状況
RAV4はこれまで、世界中で絶大な人気を誇り、2021年には年間120万台近くを販売し、世界のベストセラーカーに君臨していました。
しかし、2023年には電気自動車のテスラ モデルYに世界販売台数No.1の座を奪われるなど、安泰とは言えない状況に直面しています。
激化するSUV市場の競争で勝ち残るためには、新たな価値観を取り入れ、より幅広いユーザーニーズに応える必要が生じているのです。
現在のSUV市場は都会派も求められている
かつてのSUVはワゴン風が多かったですが、RAV4のヒットを受けてアウトドア志向のモデルが増加しました。しかし、現在のSUV市場はさらに多様化しており、マツダ CX-5や日産 エクストレイルのような都市での使い勝手や洗練されたデザインを求める声も高まっています。
このように新型RAV4の主力グレードとして「コア」を設定した理由は、現在のSUV市場における多様なニーズに応えるための戦略と言えるでしょう。
新型RAV4で多様グレード展開をする理由とは?
新型RAV4では都会的なデザインの「コア」、現行RAV4に近いアウトドア志向の「アドベンチャー」、スポーティな走りが楽しめる「GRスポーツ」の3つのグレードが用意されます。
「コア」グレードの都会的なデザインは、ハリアーやクラウンエステートに代表される、都市での使いやすさやスタイリッシュさを重視する層にアピールします。
主力グレードであるため、ハイブリッドとPHEVの両方のパワーユニットを選択でき、幅広いユーザーに対応します。
一方、「アドベンチャー」グレードは悪路走破性を重視し、従来のRAV4にあったアウトドアテイストを求める層をカバーします。
さらに、「GRスポーツ」グレードは舗装路でのスポーティな運転感覚を追求し、走りにこだわるユーザーに応える新たな選択肢となります。
このように、新型RAV4は3つの異なるキャラクターを持つグレードを展開することで、幅広いユーザー層の獲得を目指しているのです。
これは、トヨタがアルファードとヴェルファイア、ノアとヴォクシー、そしてクラウンシリーズで展開しているような「一つの車種で多様なバリエーションを展開し、販売力と競争力を高める」戦略と合致します。
新グレードの登場で新型RAV4の販売台数はハリアーの互角となる可能性も
現行RAV4の国内販売台数は、ハリアーの約半数に留まっています。2024年度の月平均で見ると、RAV4は約2487台に対し、ハリアーは約5307台でした。
しかし、新型RAV4が「コア」「アドベンチャー」「GRスポーツ」という多様なグレード構成で登場すれば、国内市場においてもその存在感をさらに高め、ハリアーと互角の立場で販売台数を伸ばしていく可能性を秘めていると言えるでしょう。
新型RAV4の「コア」デザインは、単にハリアーに寄せたわけではなく、激化するSUV市場においてRAV4がより幅広いユーザーに選ばれるための、戦略的な一歩と言えるでしょう。
現行型RAV4を購入するならディーラー相談はお早めに
新型RAV4の発売に向けたカウントダウンはすでに始まっており、販売店では「2025年の末頃に発売されるだろう」「価格などの詳細は10月から11月には分かるはず」との声も聞かれます。
また、現行型の受注は7月上旬には締め切られる見込みとのことです。現行型の購入を検討している人は、できるだけ早いうちにディーラーに購入の相談をしておくことをおすすめします。
【筆者:渡辺 陽一郎 カメラマン:小林 岳夫/島村 栄二/茂呂 幸正/トヨタ自動車/テスラモーターズジャパン】
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