もはやエコカーじゃない!? 新型ミライは世界で戦える高級車に(3/3)

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路面状況関係なし! とにかく乗り心地がイイ

乗り心地も結構いいんじゃないか? と思った。サーキットは路面が滑らかなので一般道とは異なるかも知れないが、意地悪く縁石にタイヤを引っ掛けてみたりカマボコ状になってる部分に乗り上げてみたりもしたけれど、車体と脚が衝撃を上手く吸収して、ドライバーズシートにいるときも、リヤシートに座ってるときでさえ、不快感のようなものに悩まされることはなかった。

加速もなかなかのものだ。速度の伸びも悪くない。燃料電池で174ps、モーターで182ps。発進時には駆動用バッテリーのみ、クルージングのときには燃料電池のみでモーターを駆動するこの仕組みも、必要なときには双方から電力が送られてモーターを力強く駆動する。

爆発的に速いとまではいわないが、ドライバーがスポーティな走らせ方をしたいときにガッカリさせられるようなことはなく、充分にモーター駆動のクルマならではの気持ちのいいフィールを味わうことができる。望外に満足感は高かったのだ。

東京大阪間も余裕で往復可! 走りながら空気をキレイにする機能も

水素のタンクは先代から1本増えて3本となり、搭載量は4.6kgから5.6kgに。燃費そのものも各部の改善で10%ほど向上してることもあって、1回フル充填しての航続距離は、従来のJC08モードで約650kmという数値からWLTCモードで約850kmと大幅に長くなっている。

エアクリーナーの中の特殊なフィルターで二酸化硫黄や二酸化窒素、アンモニアなどの有害な化学物質やPM2.5レベルまでのダストを補足して排出する、走るほどに空気を綺麗にしていく“マイナスエミッション”の考え方もいいな、と思う。

クルマに備え付けのコンセントやDC外部給電システムを使った外部への電力供給だって可能だ。もちろん最新式のADASだって備わってる。

そうしたECOカーであるFCVとしての長所をしっかりと伸ばしたり広げたりながら、新しいミライは1台のセダンとして魅力的なクルマに仕上げられている。堂々とそうお伝えすることはできるし、素直にそう感じてもいるのだ。

生産体制を大幅テコ入れで本気で水素シフトに

とはいえ、この原稿をしたためてる2020年10月30日の時点で、稼動している水素ステーションが全国で70軒ほどしかないという現実があるのも確かだ。

にも関わらずトヨタは、これまでの頑張っても年間3000台が限界だった生産能力を30000台までに増やす計画だという。初代ミライは当初は年間700台で、ひと頃は納車まで3年待ち。徐々に3000台まで増やしてきたが、生産と供給が限界を越えていた。

それをリスク覚悟で一気に10倍まで増やそうとする意図はどこにあるのかといえば、水素で走るクルマの台数の分母を増やしていくことで全体的な水素の消費量を増やし、水素ステーションの数や分布などのインフラ整備をうながしていきたい、という点。ミライのみならず、FCVの可能性を広げていくため、なのだ。

トヨタはミライというクルマで、FCVの未来をも作っていこうとしてるのである。クルマ作りも環境作りも本気、なのだ。

【筆者:嶋田 智之/撮影:島村 栄二】

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嶋田 智之
筆者嶋田 智之

本人いわく「ヤミ鍋系」のエンスー自動車雑誌、『Tipo』の編集長を長く務め、スーパーカー専門誌『ROSSO』の総編集長を担当した後、フリーランスとして独立。2011年からクルマとヒトに照準を絞った「モノ書き兼エディター」として活動中。自動車イベントではトークのゲストとして声が掛かることも多い。世界各国のスポーツカーやヒストリックカー、新旧スーパーカー、世界に数台の歴史的な名車や1000PSオーバーのチューニングカーなどを筆頭に、ステアリングを握ったクルマの種類は業界でもトップクラス。過去の経歴から速いクルマばかりを好むと見られがちだが、その実はステアリングと4つのタイヤさえあるならどんなクルマでも楽しめてしまう自動車博愛主義者でもある。1964年生まれ。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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