トヨタ 新型カローラハッチバック プロトタイプ試乗│トヨタの”顔”カローラの走りがモデルチェンジで大刷新した(2/2)
- 筆者: 山本 シンヤ
- カメラマン:和田 清志
独系のようなガチっとしたモノではなく、剛の中に柔(=しなやかさ)がある
まだナンバー無しのプロトタイプなので、試乗ステージはクローズドコースだ。とはいえ、いきなり富士スピードウェイ・ショートコースを走らせてしまうのは、新型カローラ開発陣の自信の表れなのだろうか?
今回は1.2リッターターボ(OPの電子制御ダンパー[AVS]付)、ハイブリッド(標準装備の新開発ダンパー)に試乗。どちらも上級グレードで18インチタイヤ(225/40R18)装着車である。
コースインして少しずつペースを上げていく。ステアフィールはもはや電動なのか油圧なのか解らないくらいスムーズかつ自然で繋がりもいいし、路面からの情報も必要なだけ的確に教えてくれる。アシストは比較的軽めだが、従来のカローラのようなフワフワとした軽さではなく芯がある軽さなのだ。
車体はシッカリ感が高いものの、いわゆるドイツ系のようなガチっとしたモノではなく、剛の中に柔(=しなやかさ)があるイメージだ。恐らく静的な剛性だけでなく、剛性バランスや力の流れまで考慮されているのだろう。この辺りもペナペナで不安さえ感じた従来モデルはもちろん、先代オーリスとも雲泥の差。
決して熱血系ではないが、スポーティさをさり気なく盛り込んだ走り
そんな体幹を鍛えた車体に組み合わされるサスペンションのセットも絶妙の塩梅だ。サーキットは路面環境が良すぎるため、あえてコーナーではわざと縁石に乗りながら走行をしてみたが、特に印象的だったのは新開発のショックアブソーバーのほうだった。足の動き、段差を乗り越える際のアタリ、ショックのいなし方などはトヨタ車最良のしなやかさだと思う。
ただ、快適性重視かと言うとそんな事はない。コーナリングはドイツ車のようなドシッとした感じではなくヒラリと身をこなす印象で、ロールを抑え込むのではなく上手にコントロール。個人的にはメーカーは異なるがスズキ スイフトの兄貴分と呼びたいくらいである(笑)。もちろん、最終的には安定方向だがそこまでの過程はコントロールの楽しさ/操る喜びが適度に備わっているのだ。
AVSも基本的な考え方は同じ方向性だが、味付けはよりスポーティな方向だ。ちなみにドライブモードはECO/コンフォート/ノーマル/スポーツ/スポーツ+と、個人的にはモードがちょっと多すぎな感もあるが、スポーツ+はEPS/AVS共にシッカリ感と安定感が増すセットアップで、「ノーマルでGRスポーツ!!」と呼んでいいくらい元気に走らせることが可能だった。
どちらも決して熱血系ではないが、スポーティさをさり気なく盛り込んだ走り……と言う意味では、初代のDNAをシッカリと継承しているのかもしれない。
ターボとハイブリッド、MTとCVT、それぞれの乗り味の違いを徹底比較する
パワートレイン毎の印象についても比較してみよう。1.2リッターターボはサイズを考えると余りあるパワーではないが、C-HRよりもレブリミットが引き上げられたことで回して楽しめるようになった。6速MTはカチッと言うよりもスーッとシフトが決まる柔らかいフィール。欧州仕様C-HR譲りの「iMT(インテリジェント・マニュアル・トランスミッション」は、ダウンシフト時のブリッピング機能や、スポーツ/スポーツ+選択時や半クラッチ時に自動で回転を上げてエンスト防止する発進アシストなどをプラス。「MTはシンプルでいい」と言う意見も解るが、個人的にはMTをより身近にさせると言う意味でも絶対にあったほうがいいと思う。
CVTは普通に乗る限りはかなりのレベルにまで来ているが、サーキットのような全開走行だと気になる部分もあるのも事実だ。ただ、マニュアルモードでパドル(10速)を使いながら走らせると結構スポーティに走れてしまうので、これはこれでアリだと思う。
一方、ハイブリッドはプリウスやC-HRよりも重さを感じさせないキビキビ系の乗り味が印象的だったが、驚いたのはブレーキのフィーリングで、回生協調ブレーキながら人間の感覚とマッチした自然でコントロールしやすい制御に進化していたのは嬉しいポイントである。また、静粛性にもかなりこだわっており、定常走行では「なるほど!!」と思える部分がある一方で、加速時にガソリン車よりハイブリッドのほうがノイジーに感じたのはちょっと気になった部分だ。これは量産仕様で改善されていることを期待したい。
現代版セリカGT-FOUR!?「カローラGRMN」登場にも期待
欧州にはある2リッター+モーターの組み合わせ、日本でも追って追加される!?
今回乗ってみて不思議に思ったのは、大きく刷新されたモデルでありながらも、気負いなくどこか昔から慣れ親しんでいたかのような安心感やフィット感があった点だ。誰でもどこでも気負いなく乗れるモデル……この辺りはカローラの伝統がシッカリと受け継がれている証拠かもしれない。
もちろん、欲を言えばシャシーの仕上がりに対しパワートレインに更なるプラスαが欲しいと感じたのも事実だ。
実は欧州向け(オーリス)には2.0リッターダイナミックフォースエンジン+モーターの組み合せが用意されているが、「なぜ日本仕様には導入しないのかと?」小西CEに聞くと、ニコニコしながら「やはり必要ですよね?」と答えるのみ。
現在トヨタのスポーツバージョンは「GR」が担うが、もしかしたらカローラハッチバックGR=2.0リッターダイナミックフォースエンジン+モーター仕様と言うことなのか!?
現代版”セリカGT-FOUR” 四駆+高性能ターボモデルでニュル24h参戦! にも大いに期待したい
更に言うと、ガソリン/ハイブリッド共にAWD仕様が用意されるが、このフロアパンと新型RAV4用の左右駆動力配分も最適制御可能な「ダイナミックトルクベクタリングAWD」、そして2015~2017年のニュル24時間で鍛えられてきた2リッターターボ(8AR-FTS)の高出力版を組み合わせれば、現代版セリカGT-FOURとなる「カローラGRMN」ができそうな気もするが……。
カローラハッチバックの素性の良さから、このような期待や妄想も膨らんでしまう。そして、世界の道が育ててきたカローラが世界の道を凝縮したニュルで鍛えられる姿、つまりニュル24時間への参戦も期待したいところである。
新型カローラもうひとつの目玉、未発表の”コネクテッド”技術にも興味津々
カローラハッチバックはデザインや走りなどの「クルマ本来の楽しさ」に加え、繋がる技術(=コネクテッド)にも注力しているが、こちらの内容は正式発表までのお楽しみ……だそうだ。
価格もまだ内緒のようだが、小西CEは「カローラらしい設定にするつもりです」と語っている。それらを踏まえるスターティングプライスは200万円前半なのか!?
これまでCセグメントのハッチバックはVW ゴルフが絶対的な王者と言われてきたが、個人的にはカローラハッチバックの登場でこのクラスの適正価格が変わるかもしれないと思っている。
[Text:山本シンヤ Photo:和田清志]
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