人とくるまのテクノロジー展-日本自動車産業界の未来-/桃田健史(2/2)
- 筆者:
- カメラマン:桃田健史
未だ不透明な各社の次世代車開発
他に注目されたのは、世界初展示となった、いすゞの「エルフ・プラグインハイブリッド」だ。
これは、2005年に発売(累計販売台数約1000台)した「エルフ・ハイブリッド」の発展型だ。二次電池は日立製の円筒型リチウムイオン二次電池で96個を直結。100Vと200V対応の別々の充電用コードを搭載する。
同車は「プリウス・プラグインハイブリッド」のようにEVモード走行はなく、二次電池はモーターアシスト量を増やして燃費を稼ぐ役割に徹するのが特徴だ。
「短距離で細かく充電するのが燃費に効く。コンビニ集配でそれぞれの店舗で短時間充電することを想定した」(同社商品企画関係者)。
また海外勢では、英国ロータス社の1.2リッターガソリンエンジン(発電機)のシリーズハイブリッドユニットに注目が集まった。
これは今年3月のジュネーブショーで出展された、ロータス「414Eハイブリッド」と、マレーシア国営自動車メーカー「プロトン」が伊イタルデザインのジウジアーロ氏にデザイン依頼したEV「EMAS」にも搭載されたものだ。
今回の取材を通じて感じたのは、日本車の近未来は「不透明だ」ということだ。各メーカーそれぞれの次世代車開発計画にズレがあり、その調整を行政側が「仕切りきれていない」という印象を持った。
世界市場に目を向ければ、中国やアメリカ、さらにはEU(欧州)は政府が強く介入する次世代車開発計画を進めようとしている。
対する日本は「我らは技術大国」などと現状にあぐらをかいてはいられない状況だ。
弱肉強食時代を生き抜くために、日本自動車産業界にはさらなる緊張感が必要だ。
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