ニューヨークモーターショー2010 現地レポート(2/3)
- 筆者: 桃田 健史
最もメディアの注目を集めたスバル/トヨタは若者向けクーペを一新
トヨタは、北米の若者向けブランド「サイオン」で、2ドアクーペ「tC」のフルモデルチェンジを発表。
同車は2004年にデビューして、女性ユーザーも多いサイオン最大のヒット作だ。旧型では、「カルディア」のシャーシに「カムリ」の2.4リッター直4を搭載していたが、新型では「オーリス」と同様の新MCプラットフォームに「カムリ」「RAV4」の最新エンジン2.5リッター直4と6ATを搭載。
ボディスタイルは車幅が25mmだけ広げ、ボディ全体のドッシリ感を出したが、全長、全高、ホイールベースは旧型と同値とした。会場内には派手なボディを纏ったチューニングバージョンも展示された。
残念ながら「サイオンtC」は北米専用モデルで、日本発売の予定はない。
また、トヨタは「iQ」をサイオンブランドとして北米へ投入することを決定した。基本的なスペックは日本仕様と同じだ。
日産は、インフィニティブランドの最高峰、フルサイズSUVの「QX56」をフルモデルチェンジ。
米国デトロイトの日産テクニカルセンターで基本開発された同車。外観デザインは、先代のアメリカンゴージャスな雰囲気から、「FX45」や日産「ムラーノ」に通じるようなヨーロピアンエレガントへとイメージが変わった。
ホンダは、アキュラ「TSXワゴン」を発表。これは、日本の「アコードワゴン」と同じだ。
また、同社のブース中央には「CR-Z」が大々的に展示されていた。その周辺を「インサイト」「FCXクラリティ」など、ホンダの環境車ラインナップで固められていた。
エコ&スポーティという企業イメージを貫きたいホンダにとって、「CR-Z」は最重要車種なのである。
三菱はCUV(コンパクト・ユーティリティ・ビークル)の「アウトランダースポーツ」を発表。実はこれ、日本での「RVR」、欧州での「ASX」と同じ車だ。
各市場での独自マーケティングを試みるため、3つの名前が並存することになった。日本仕様との違いは、エンジンが2リッター化されたこと。フリーウェイ入り口での急加速が必須であるアメリカの道路事情で「2リッターはミニマムリクワイアメント(必要最低条件)だ」(米国三菱関係者)だという。
そして今回、日系メーカーのなかで、最もメディアの注目を集めていたのがスバルだ。
なんと「WRX STI」で4ドアセダンが復活したのだ。大型のリアウィングがやたらと目立つ。
同車の開発責任者で、富士重工・商品開発部・プロジェクトゼネラルマネージャーの森宏志氏は、
「(4ドア復活について)アメリカからの要望が強かった。5ドアはWRCでの戦闘力を考えて、量産車にも投入した。しかし、WRCワークス活動が(2008年シーズンで)終了したこともあり、量産車としての究極のスポーティを考えた上で4ドアボディの追加を決定した」と話す。
北米仕様として2.5リッター水平対向エンジンは、最高出力305hpで現状維持。しかし、
「これまで、ロールが大きい、アンダーステアが強い等の声がアメリカで多かった。そのため、車高を5mm下げ、サスペンションを大幅に改良し、かなりクイックなハンドリングになった」(森氏)という。
具体的には、スプリング、ショックアブソーバー、スタビライザーを見直した他、フロントのロワアームの接合部分をこれまでの樹脂製ブッシュから金属製のピロボール化した。またリアのブッシュも、より剛性の高い製品を新規設定した。
外観では、フロントグリル上部とヘッドライト上部に黒いラインを引いたようなデザインを投入し、キリリと引き締まった顔つきになった。
さらに「リアフェンダー後部とリアコンビライトとの間に、あえて段差を作り、ガッシリして大胆なイメージのリアビューを作った」(同社デザイン部門関係者)。
気になる日本への導入だが、「今回の発表を受けて、ウエブサイトなどでの反響などを調査して、日本仕様の可能性を模索したい」(同社関係者)という。
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