カーデザイナー 児玉英雄 インタビュー(5/5)
- 筆者: 御堀 直嗣
- カメラマン:佐藤靖彦
自然体
児玉英雄に座右の銘をたずねると、即座に「自然体」の言葉が返ってきた。
【児玉英雄】自然体でいたいという、それだけですね。無理をしない。
児玉英雄は、いまなおドイツに住んでいる。そして、年に4回ほど日本に帰る。
【児玉英雄】22歳でドイツへ行きましたから、人生の2/3はドイツにいたことになるでしょうか。ですから、落ち着く場所と言えば、ドイツです。友人もいるし、自分のペースで生活できるところが楽です。
ただ、精神的なものは、日本人です。病院に入るなら、日本ですよね。ドイツの病院は食事が酷いし(笑)。外国に住んでいると、こういう場合、日本ではどうだろうと比較して考えることはあります。日本には優れたことがまだ一杯あるし、一方、もっとこうすればいいと思うこともあります。
物事が素早く遷り変っていく日本のハイパーな環境は面白い。ですから、いまのように行ったり来たりがちょうどいいバランスですね。
オペルの定年は、65歳なのですが、61歳で退社しました。いまでもデザインは好きですが、年寄りが出しゃばることはないかと思って。しかし機会があれば、腕を振るいたいですね。
また、雑誌に記事を書くなどジャーナリスティックなこともしていて、外国で経験したことなどを含め、クルマの魅力を伝えていけたらいいと思っています。 そして普段は、古いクルマにどっぷりつかっていますよ(笑)
自然体の言葉通りの人生である。その自然体の言葉の内には、自分に正直であることが貫かれていると思う。子どものころに目指したカーデザイナーとなり、さらに今日の悠悠自適な日々もある。
自分に正直に、自然体で生きる快さを全身にまとった素敵な紳士、それが児玉英雄という稀代のカーデザイナーの姿である。END
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