新設計のパターンでサーキット走行がもっと楽しく&もっと早く走れるタイヤに|ブリヂストン ポテンザRE-71RS試乗
- 筆者: 中谷 明彦
- カメラマン:大西 靖
ブリヂストンが東京オートサロン2020にて発表したラジアルタイヤ史上最速と謳うポテンザ RE-71RS。考えうるすべての路面において、高いグリップ力が最大のキモというが果たして……。今回のチェッカーはかつてブリヂストンの開発に携わった中谷明彦がサーキットで試す!
ポテンザは40年以上の歴史あるスポーツタイヤ
ポテンザシリーズが初めて世に出たのは1979年。もう40年以上も前のことになる。RE47から始まり1984年にRE71へと進化。ポルシェやフェラーリ車の純正装着タイヤとして指定を得るなど、一気に世界のトップブランドへと飛躍していった。
筆者は当時全日本F3000のドライバーとしてブリヂストンタイヤと契約していたため、RE71の開発ドライバーとしてお手伝いさせていただいたこともあった。
そんな経緯から最新のポテンザがいかなる進化を果たしているのかにも興味があったのだ。
ちなみに2014年に登場したポテンザRE-71Rの試乗レポートはコチラをチェック↓。進化のポイントなどをおさらいしよう!
グリップ力向上! だが舵角角度は大きめ……
テスト試乗はトヨタ86のライトチューニング車両に旧RE71Rを装着して5ラップ走行。ピットインして最新のRE71RSに履き替えて5ラップ計測するという方式で行われた。
タイヤコンパウンドに変更なし
サーキット走行での鉄則はファーストラップでベストタイムが刻まれる特性を最大限引き出すことと、ラップ経過によるタイムダウンの特性を見極めることだ。RE71Rは1周目に42秒194のベストタイムを記録。最終5ラップ目には42秒444とコンマ3秒弱のタイム低下を記録した。
旧型比でタイムアップを記録したものの、懸念点も……
次にRE71RSに履き替える。タイヤコンパウンドは大きく替えられていないと言うが、グリップ感は大きく強まっていて暖まりもいい。
タイヤプロファイルをタイヤ外側のショルダー部に摩耗済み状態に近い状態に丸くラウンドさせているため、一見履き潰したようなプロファイル形状が外見的な特徴だ。そのためCP(コーナリングパワー)特性はマイルドになり、ステアリング操舵角は平均して大きめとなって舵角抵抗が増えてしまっている印象を受ける。サーキット走行ではクイックCP特性が有用なケースが多く、舵角を与え続ける走法はあまり歓迎できない。
ラップタイムは1周目にベストの41秒816を記録し、サーキット性能の確実な向上を確認できた。またラップ毎のタイム変化は微小で5ラップ目には42秒278となったが、全体的には旧モデルを平均して上回る結果を引き出すことができた。
接地面特性などを大研究!
ブロック剛性や接地面特性など細かな部分を煮詰め、性能を高める作業を積み重ねた結果、確実な性能向上を果たせたようで、実車試験部の主幹研究員である本田真哉氏も自信を見せていた。
ちなみに本田氏は筆者が主宰するドライビング理論アカデミーである「中谷塾」の優秀な卒業生であり、塾生がこのような場面で活躍してくれていることが喜ばしく、誇らしくもあった。
【筆者:中谷 明彦/撮影:大西 靖】
この記事にコメントする