垂涎の“スーパーカー”フェラーリBBや空冷ポルシェ964などが集結【オートモビルカウンシル 2018】

価格高騰中のネオクラ空冷ポルシェなどドイツ・イタリア車も多数出展

2018年8月3日~5日に開催された「オートモビルカウンシル2018」は、各メーカーが長年にわたって受け継いできたフィロソフィー(哲学)と、生み出されてきたクルマたちの魅力を伝えてくれる。

そこで欠かせないのが海外や国産車のヘリテージカーの輸入・販売・整備を行っているガレージ、専門店、クラブだ。中でも華があるイタリア車、そして人気が高いドイツ車はヘリテージカーイベントの代表格で、今回のオートモビルカウンシルにも多数のショップが出展していた。

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スーパーカー世代に刺さるフェラーリBBと後継のテスタロッサに興奮

静岡エリア唯一のフェラーリ正規ディーラーでもある「Auto Speciale」は、4台のフェラーリを並べた。

どのモデルも珠玉の一台だが、やはり注目はスーパーカー世代なら誰しもが知る「BB」とその後継「テスタロッサ」だろう。BBは1973年に「365GT4BB」として登場。1976年には排気量を5リッターに拡大して「512BB」に進化した。

展示されていた「512BBi」はさらに1981年に燃料供給をボッシュ製のインジェクションに変えたモデルで、最高出力は340psだ。

いっぽう、テスタロッサの迫力あるスタイルのインパクトも、登場してから34年がたった今なお薄れることがない。

「ガレージ伊太利屋クラシケ」はレストア前のランチアを展示

イタリア車の輸入を1976年から行う、日本におけるイタリア車ショップのパイオニア「ガレージ伊太利屋」。同社が行うヘリテージカー向けトータルサービス「ガレーヂ伊太利屋クラシケ」は、今年もアルファロメオ、ランチア、フィアットを中心に6台のイタリア車を展示した。

ガレーヂ伊太利屋クラシケでは熟練した専門スタッフがレストアを行うことでも知られており、今回はレストア前の「ランチア フラミニア クーペピニンファリーナ」(1967年)を展示して注目を浴びた。

フラミニアは先進技術と高品質、スポーティで知られるランチアが1950~60年代にかけて生産していたフラッグシップモデルで、4ドア/2ドアともにピニンファリーナによる美しいデザインを持っていたほか、トゥーリング、ザガートなど名門カロッツェリアも様々なボディを載せた名車を生み出している。

レストアベースの車体の上にはオーダーで選べる革シートの見本帳が置かれ、レストアを依頼する時の選択の楽しみを垣間見られる演出がなされていた。

超希少!フィアット 850スパイダーをベースにしたクーペも登場

広島県のヘリテージカーショップ「ワールドヴィンテージカーズ」は1950~60年代のアルファロメオとフィアットを6台持ち込んだ。

日本では希少な初期フェイスの「アウトビアンキA112アバルト」(1973年)やアルファロメオのヘリテージカーの代表格「ジュリア 1300TI」(1973)、ヌオーヴァ・フィアット500をベースとした「アウトビアンキ ビアンキーナ」(1964)など、古のイタリア車はどれも魅力的だ。

その中で「これは!」と思ったのが「フィアット 850スポルト レーサー ベルリネッタ」(1969)。フィアット850は本来リアエンジンの実用車で、そのバリエーションであるオープンボディのスパイダーとファストバックボディのクーペは日本にも多数上陸している。

しかしこの「850スポルト レーサー ベルリネッタ」は、スパイダーをベースにした小粋なクーペモデルで、生産台数がわずか2000台ほどと言われる希少車だ。ASI(イタリアクラッシックカー協会)認定車を示すプレートも誇らしい。ちなみにベルリネッタとはクーペを表すイタリア語だ。

人気上昇中の空冷911、そして見事に再現された904などポルシェも多数展示

スポーツカーメーカーの代名詞として名高いポルシェ。無論、ヘリテージカーのイベントでも人気が高い。静岡県浜松市にあるポルシェのスペシャルショップ「ショップナインプロダクション」は、911を3台と昨今じわじわ人気が上がりつつある直4の後輪駆動モデルから「944 S2 カブリオレ」(1991年)の合計4台を展示した。

911は2台の964(911カレラ2/1991年、911カレラ2カブリオレ/1991年)と最後の空冷モデル993(911カレラS)で、964のスリークでコンパクトなボディが今となっては新鮮に感じられた。

横浜市で主に戦後のヘリテージカーを扱う「ヴィンテージ湘南」は、かつての日本グランプリでスカイラインGTとデッドヒートを繰り広げ、一瞬スカイラインに抜かれたことでスカイライン神話を生むきっかけを作った名レーシングカー「ポルシェ904」を展示……かと思いきや、なんとこれはレプリカモデルの「REIZ 904 GTS」。

そのプロポーションは完璧の一言で、レプリカモデルとは全く思えない完成度だ。現代の基準を満たす堅牢なシャーシの上に載せられるボディはFRPで作られる。実車の脇にはその状態の展示も置かれて来場者の関心を引いていた。

手が届きそうなヘリテージカーとして、ちょっと古いVWゴルフやシロッコも大人気

フォルクスワーゲン ゴルフIIの専門店として知られる神奈川県相模原市の「スピニングガレージ」もオートモビルカウンシルの常連だ。膨大な数のゴルフIIをストックし、なんと車両価格1万円の在庫を持つなど、予算に合わせたクルマを提案してくれるのも嬉しい。

今回は美しい状態に整備された、ゴルフIの姿をよくとどめた年式のゴルフIカブリオ(1988年)、2台のゴルフII(アーバンエリート/1991年、CLi/1990年)、そして2代目シロッコの4台を展示。手が届かない価格帯の車両と違い、ゴルフという親しみやすさと購入しやすい価格からオートモビルカウンシルでは人気が高い展示である。

同社恒例?の「希少車枠」は、昨年はゴルフIIをRV(今ならSUVと呼ぶべきか)風にアレンジした「ゴルフ カントリー」だったが、今年は「シロッコ GTX−16V」(1988年)がやってきてびっくり。シロッコはフォルクスワーゲンの中でもスペシャリティカーに属するが、そこはさすがフォルクスワーゲン、実用性も高さも備えていた。展示車のGTX-16VはゴルフGTIと同じ1.8リッターDOHC16バルブエンジンを搭載したホットモデルだ。内外装コンディションの良さは目を見張るほど。価格も119.8万円!思わず本気で購入を検討しそうになった。

[レポート:遠藤イヅル/Photo:和田清志]

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遠藤 イヅル
筆者遠藤 イヅル

1971年生まれ。カーデザイン専門学校を卒業後、メーカー系レース部門にデザイナーとして在籍。その後会社員デザイナーとして働き、イラストレーター/ライターへ。とくに、本国では売れたのに日本ではほとんど見ることの出来ない実用車に興奮する。20年で所有した17台のうち、フランス車は11台。おふらんすかぶれ。おまけにディープな鉄ちゃん。記事一覧を見る

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