三菱 ランサーエボリューションX 試乗レポート

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ランエボX 突き進む頂点への進化

ランサーエボリューションは三菱自動車が国際ラリー選手権(WRC)に勝つために造られたモデルだ。初代は92年にデビューしている。

当時から4ドアセダンのランサーをベースにチューニングされたエンジンとサスペンションを備え、2Lクラスでは最高レベルの動力性能が自慢だった。2Lクラスで最強マシンというコンセプトは、今回のエボリューションX(テン)になっても変わっていない。

最近のランエボのもうひとつの特徴は走行性能の向上を目指して、先進のハイテク技術をこれでもかという程に投入していること。これはエボリューションⅨからの開発方針だ。もちろん最新のエボXにはツインクラッチのセミAT(SST)や車両運動統合制御システム(S-AWC)などが実用化されている。その走りは本当に素晴らしい。誰もがスーパードライバーになったようなドライビングを楽しむことができるのだ。

らしさを感じさせるチューンアップ・デザイン

ランエボXのスタイリングだが、基本的には9月デビューのギャラン・フォルティスだ。フォルティスは欧米ではランサーとして販売されている。ランエボはインターナショナルモデルなのでギャランではなく、ランサーの名称を通しているのだ。

もちろんエボリューションモデルなのでボディ各部はチューンされている。大きくなったフロントグリル、ワイドなフロントとリアのフェンダー、ボンネットはアルミになり軽量化されている。

インテリアも基本形はギャラン・フォルティスだが、例えばスピードメーターとタコメーターの位置は左右反対になっている。見やすい左側のメーターがスピードからタコメーターに代わっている。

シートはフロントがレカロ社製のバケットタイプ。メーカーオプションでレザーコンビネーションタイプも装備できる。このレカロシートはサイドエアバッグにも対応しており、安全面でも気配りされているのだ。

新搭載のSSTとS-AWCがおりなす、新次元走行に注目

2Lターボエンジンは280馬力。ミッションは6速セミATと5速MTが選べる。 5速MTはクラッチペダルの反発力が強めで、シフトもやや重め。スポーツセダンの雰囲気は十分だ。実際に走行しても、あり余るトルクを抑えての公道走行はかなり苦痛だ。

一方、SSTは6速のDレンジでは7000回転まで一気に上昇し、シフトアップする。しかし、このシフトアップなどはセンターコンソールの SSTの制御スイッチを操作することでシフトタイミングなどを代えることができる。ノーマルは街中、スポーツはワインディング、スーパースポーツモードはサーキット向きのシフトタイミングになる。

サスペンションなどの足回り、駆動系はS-AWCがコントロールしてくれる。その走りは雨で濡れたサーキットでも安定したコーナリングを実現させていることでわかる。ブレンボの4輪ディスクブレーキの効きもとてもよかった。

12月発売の“GSR”SSTバージョンをチェックすべし

ランエボXのグレードはGSRとRSの2グレード。RSはコンペティション参加用のベース車両だから、一般ユーザーはGSRになる。

ミッションは6速ツインクラッチセミATのSSTと、5速マニュアル。これは、SSTのほうが扱いやすく、しかも走りを楽しめる。ただし、発売は12月から。

次にサスペンションだが、これもハイパフォーマンスパッケージというオプションを選択したい。理由はノーマルのエボXのショックは日本製。パッケージはビルシュタイン製のものを装着している。この2つのアブゾーバーの差は大きい。断然、ビルシュタイン製を装着したほうがいい。

車両価格はGSRの5MTで349万5450円。SSTは375万600円になる。さらに、生産台数も今年度中は、4000台に設定されている。おそらく年度末の3月までには完売してしまうはず。本当に欲しいなら、いまからSSTバージョンを予約しておくことだ。

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石川 真禧照
筆者石川 真禧照

1947年東京都生まれ。1970年日刊自動車新聞社入社。翌年同社退社後、フリーの自動車評論家となる。1982年「I.W.OFFICE」を設立し、自動車を中心としたメディア活動を開始。「自動車生活探検家」として、『GORO』『DIME』(小学館)、『HOT DOG PRESS』(講談社)、『カーセンサー』(リクルート)など多数のメディアで活躍、現在に至る。日本モータースポーツ記者会会員。日本自動車ジャーナリスト協会副会長。記事一覧を見る

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