メルセデス・ベンツ SLRマクラーレン 海外試乗レポート(1/3)

  • 筆者: 河村 康彦
  • カメラマン:ダイムラー・クライスラー日本株式会社
メルセデス・ベンツ SLRマクラーレン 海外試乗レポート
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メルセデス・ベンツとマクラーレンの“夢の競演”によって誕生

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メルセデス・ベンツが『SLR』という記号を世に問うのは、実は今回が初めてではない。初代のメルセデス・ベンツ300SLでの経験と1950年代のF1マシンであるW196Rの技術の融合によって生み出された『300SLR』が「1950年代に最も成功をしたレーシング・モデル」として、誕生から半世紀を経た今になってもその名を世界に残しているからだ。一方でそうした『SLR』の文字が、メルセデスとモータースポーツとの関係を語る上で忘れる事の出来ない暗い影を投げ掛けるのを知る人も多いだろう。1955年のル・マン24時間レースで、他車と接触した300SLRが観客席へと突入。そのアクシデントは結果的に80人を越える死者をもたらす大惨事となり、その後メルセデスはモータースポーツへの参加を長い期間に渡って休止せざるを得なくなったという例の出来事がそれだ。

こうして、何ともヒストリカルな様々な話題をルーツに持ちながら、再び生産車とレーシング・マシンのテクノロジーの融合を図って現代へと生み出されたのが、2003年にクーペ・バージョンがリリースされた『メルセデス・ベンツSLRマクラーレン』。世界の誰もが憧れるメルセデス・ベンツと、そのF1コンストラクターであるマクラーレンという“夢の競演”によって誕生したこのモデル――それはもちろん、メルセデスがこれまで送り出した数々のモデルの中にあっても、とびきり贅沢なスーパー・スポーツカーという位置づけを与えられたものでもある。

2003年のデビュー時から発売されてきたクーペ・バージョンは、その生産をすでに一旦終了。ここに紹介するのは2007年の9月から発売されるそのオープン・バージョンで、もちろんこちらもクーペと同様、F1マシンの生産拠点でもある英国にあるマクラーレンの工場で生産が行われる事になる。

オープンのルーフシステムは、このところの量販オープン・モデルで人気のリトラクタブル式ハードトップではなく、シンプルでオーソドックスなソフトトップ方式を敢えて採用。そこには「スポーツカーに用いるオープン・ルーフは、構造が簡単で軽量なソフトトップに限る」というメッセージも含まれるのかも知れないが、同時にこのモデルならでは極めて短いリアリッド部分に折り畳んだハードトップを収納するのはさすがに困難という、より現実的な理由も少なからず存在をするはずだ。

エンブレム

そうは言っても、最高速度は330km/hをオーバーというモデルであるだけに、ソフトトップの造りもそうした超高速に耐えるべくチューニングを行ったもの。超高速で空気の壁を切り裂く際に発生する負圧に対しても「バルーニング」現象が起きない構造とすると同時に、トップ生地にも光線の具合で複数の色を発色させる特殊素材を採用。安全上の理由からその開閉動作は静止状態でないと行えないものの動作時間はわずかに10秒と素早いから、これならば信号待ちでの“変身作業”も余裕であるだろう。

F1マシンと同様のカーボン・モノコックによるボディ骨格構造や、600psを遥かに越える最高出力を叩き出す専用チューンを施されたAMG製エンジンの搭載など、そこに採用される様々なメカニズムももちろん一般の量産車では採用の困難な贅を尽くしたもの。となれば、そのお値段が飛び切りの高価さとなるのもまた自明。実際、オープン・バージョンであるこの『メルセデス・ベンツSLRマクラーレン・ロードスター』の日本での販売価格は実に7,000万円!! 各種ハードウェアのスーパーなスペックだけではなく、こうしてその価格面でも他に類を見ないカリスマ性を見せつけるのがこのモデルという事になる。

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河村 康彦
筆者河村 康彦

1960年東京生まれ。工学院大学機械工学科卒。モーターファン(三栄書房)の編集者を経て、1985年よりフリーランスのモータージャーナリストとして活動を開始し、現在に至る。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、インターナショナル・エンジン・オブ・ザ・イヤー選考委員 などを歴任。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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