メルセデス・ベンツ SLRマクラーレン 海外試乗レポート(2/3)

  • 筆者: 河村 康彦
  • カメラマン:ダイムラー・クライスラー日本株式会社
メルセデス・ベンツ SLRマクラーレン 海外試乗レポート
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“あくまでもメルセデス・ラインナップに属する”スーパーカー

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『メルセデス・ベンツSLRマクラーレン・ロードスター』と、かくも長い名前を与えられたこのモデルがいわゆる“スーパーカー”に不可欠なオーラを発する事は、ドイツでの国際試乗会での撮影中、道行く人が自然と集まり、そして繁々とインテリアを覗いて行く光景からも明らかだった。

ドア開口部に隣接するリアフェンダー部に設けられたフラップを押し、例の“スイング・ウイング式”のドアを開いて後輪直前という位置にマウントされたシートへと腰を降ろす。この時点でスーパー・スポーツカー特有の太く高いサイドシルを跨ぐ必要があるものの、ルーフを開いた状態では「上からの着座」が可能なので、乗降性はクーペ・バージョンよりも遥かに優れる事になる。通常構造のものに比べれば25%は軽量というカーボンファイバー骨格を持つシートは、バケット・デザインながら自分の体格には少々サポート性が甘かった。が、それも実際にオーナーとなる人にとっては心配無用。シートに貼られるクッションはオーナーの体格に合わせて採寸され、そのデザインは事実上のオーダーメードになるというからだ。

インテリア各部に用いられる素材は、さすがに吟味に吟味を重ねたという上質さが実感出来るもの。特に、全面レザー張りのダッシュボードはスポーツカーらしいコクピット調デザインの中にも贅を尽くしたゴージャスさが演じられ、このクルマが一般の量産モデルとは一線を画したスペシャルメードのこだわりの作品である事を強くアピールする。

フロントスタイルドアオープンフロントビューリアビューサイドビュー
インパネ

ドア開口部に隣接するリアフェンダー部に設けられたフラップを押し、例の“スイング・ウイング式”のドアを開いて後輪直前という位置にマウントされたシートへと腰を降ろす。この時点でスーパー・スポーツカー特有の太く高いサイドシルを跨ぐ必要があるものの、ルーフを開いた状態では「上からの着座」が可能なので、乗降性はクーペ・バージョンよりも遥かに優れる事になる。通常構造のものに比べれば25%は軽量というカーボンファイバー骨格を持つシートは、バケット・デザインながら自分の体格には少々サポート性が甘かった。が、それも実際にオーナーとなる人にとっては心配無用。シートに貼られるクッションはオーナーの体格に合わせて採寸され、そのデザインは事実上のオーダーメードになるというからだ。

インテリア各部に用いられる素材は、さすがに吟味に吟味を重ねたという上質さが実感出来るもの。特に、全面レザー張りのダッシュボードはスポーツカーらしいコクピット調デザインの中にも贅を尽くしたゴージャスさが演じられ、このクルマが一般の量産モデルとは一線を画したスペシャルメードのこだわりの作品である事を強くアピールする。

5.4Lという排気量にスクリュー式のスーパーチャージャーを加えたAMG製V8エンジンと組み合わされるトランスミッションは、5速ATのみの設定。高いセンタートンネルの上に短く生えたATセレクターの操作ロジックをはじめ、ライトやワイパー、空調系スイッチ類のデザインが、いずれも既存のメルセデス・ベンツ車のそれに準じたものであるのは興味深い。通常この種の“スーパーカー”の操作系は、その非日常性を演じるために敢えてギミック性に富んだ、過去に例を見ない突飛なデザインとされるのが普通。が、このモデルのそれはまさにメルセデスの教科書通りというデザイン。このモデルも、「あくまでもメルセデス・ラインナップに属する1台」という主張が行われているのだ。

オープン・モデルでありながら空力処理に力が注がれたのは、さすがはF1コンストラクターズであるマクラーレンとのコラボレーションによる作品らしい点。オーバー300km/hでの空気の流れにも耐えるというソフトトップの構造は前述の通りだが、ルーフ・クローズ時に0.38という空気抵抗係数(Cd値)は、オープン時でも0.41とわずかに増加を示すのみだ。

ちなみに、可動式のリアスポイラーは95km/hのスピードに達すると自動的にまずは10°のアタック角で立ち上がり、高速でのブレーキング時にはさらに65°まで角度を増して、空気抵抗による減速と空力重心を後方に移動させる事によるスタビリティのアップを図るエア・ブレーキとしての役割も担う。もちろん、オリジナルのブレーキシステムのスペックも凄まじく、それは出力換算で2,000ps分にも相当するというもの。フロント8ピストン、リア4ピストンのキャリパーが生み出すパワーによって挟み込まれるカーボンファイバー・セラミックタイプのディスクローターは、最大で30万kmの使用に耐え、重量も通常タイプに対して60%も軽いという。

フロントシートセンターコンソールウインドディフレクターセンターコンソールラゲッジ

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河村 康彦
筆者河村 康彦

1960年東京生まれ。工学院大学機械工学科卒。モーターファン(三栄書房)の編集者を経て、1985年よりフリーランスのモータージャーナリストとして活動を開始し、現在に至る。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、インターナショナル・エンジン・オブ・ザ・イヤー選考委員 などを歴任。記事一覧を見る

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監修者MOTA編集部

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