メルセデス・ベンツ S450試乗│新世代エンジンとなって復活した“直6”にエンジンの未来を感じた！(3/3)

ISGと直6の組み合わせほど感動を覚えたことはない

高速道路に乗って、走行モードをエコモードにしてある程度スピードが乗った状態でアクセルから足を離すと、エンジンはスッと回転を停止する。コースティング機構も与えられているのだ。

そしてアクセルに再び足を載せると、エンジンは再始動するわけだが、この再始動もほぼ判別不能。エンジンがかかる時の振動は皆無となっている。だからもちろん、交差点で止まってアイドリングストップして、さらに再発進する時も、あの振動は感じないのだ。

また、一般道でも高速道路でも、巡行状態からの再加速が実に気持ち良い。アクセルを踏み込んだ後の間髪入れずに生まれる加速の伸びやかさや、EVに匹敵する滑らかで力強く素早い感触は、新たな時代の加速と表現できる。

思わず「これはすごい」と唸ってしまうほど。なぜならここには、モーターと内燃機関の見事なハーモニーが展開されているからである。もちろんこれまでもハイブリッド等で感動を覚えたことは山ほどある。しかしながら、今回このISGと直6の組み合わせほど、加速の力強さや再始動の振動の少なさに、感動を覚えたことはない。

そしてこれは、今回ISGが48V電源システムで、比較的大きな出力のモーターを動かしているからこそだ、と結論づけることができる。また同時に電動スーパーチャージャーやツインスクロールターボなどを組み合わせたことで生まれた、加速や反応、伸びや吹けの気持ち良さも加わっているからに他ならないのである。

ISG機能付きの直6にエンジンの未来を感じた

しかしながら、実はS450の真骨頂はまだまだあった。そう、忘れてはならない直6エンジンの気持ち良さ、である。

一般道や高速で、今回のISG付き直6のドライバビリティの異次元の高さを味わった後に、再び東京へ鼻先を向けて高速に乗った。

そうしてスポーツモードにしてアクセルを踏み込むと、「コォ～ン」と綺麗なサウンドを響かせてエンジンが気持ちよく吹け上がっていく。そしてそこには先述したような、内燃機関だけでは決して実現できないツキの良さが加わって、最近では味わったことのないエンジンから快感がほとばしっていた。そしてこれまでのV8と同等以上の速さを、しっかりと実現していた。

だから試乗しているのはメルセデス・ベンツのSクラスなのだが、エンジンを、走りを味わう楽しさ・気持ち良さがそこにあったこともお伝えしておこう。様々に電化したり制御がなされたりしたとはいえ、やはり直列6気筒のフィーリングは味わい深いものがある、と改めて思えたのだ。

今回、ISG機能付きの直列6気筒エンジンを搭載したS450に乗ってみて、内燃機関に電化がもたらされ、巧みな制御が行われることで、エンジンの未来を感じた。

その意味では、モーターの良さと内燃機関の良さを実に見事に表現したのがこのISG機能付きの直列6気筒エンジン、型式名M256なのである。

[レポート：河口 まなぶ／Photo：茂呂 幸正]

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