メルセデス・ベンツ S450試乗│新世代エンジンとなって復活した“直6”にエンジンの未来を感じた!(2/3)
- 筆者: 河口 まなぶ
- カメラマン:茂呂 幸正
もともと静かなSクラスから、さらに振動等が省かれた
では、これって実際に乗ってみてどんな感じなのか? いわゆるマイルド・ハイブリッドでしょ、と思いつつ、S450の運転席に収まる。そしてスターターボタンを押すと…あれ? かからない? いや、いわゆる一般的なエンジン始動につきものの、振動がすっかり抑えられているのだ。
さらにエンジンが始動しても、アイドリングの回転数が500回転と低く保たれているのも特徴のひとつ。だからもともと静かなSクラスから、さらに振動等が省かれたので、スターターを押しても微動だにしない、という感覚だ。
この辺りは、同じ名称のISGを用いていたスズキのSエネチャージとは全く異なる。あちらはいわゆるセルスターターで始動するのだから。
まるでハイブリッドやEVのようにスッと抵抗なく動き出す
さて早速目的地へ、とアクセルをわずかに踏み込んだ瞬間に衝撃は走った。
アクセルを踏むと即座に、クルマが動き出したのだ。それっと当たり前でしょ? と思った方も多いだろうが、よく思い出して欲しい。内燃機関のクルマは発進時にアクセルを踏むと「グッ」と車体が動き出す一瞬の“タメ”の後にタイヤが転がり始める。
しかしS450は、まるでハイブリッドやEVのようにスッと抵抗なく動き出すのだ。S450は車両重量も決して軽くないわけで、試しに一緒に連れ出したS560で出だしを比較してみたら、さらに大きなエンジンを搭載してパワーもトルクもあるS560の発進では、やはり「グッ」と車体が動き出す一瞬の“タメ”があってタイヤが転がるのが良くわかる。だから比べるとS560の方がダルさがあるように感じるのだ。
モーター/電動スーパーチャージャー/ツインスクロールターボという黄金のリレー
さらにスピードが上がっていく様子を見ていると、エンジンの回転が吹け上がる気持ち良さを感じるものの、それ以上に滑らかな力が湧き上がっていくのを感じる。
最初はモーターがアシストをして、エンジンが苦手とする低回転をカバーする。そして回転が上がってくると今度は、さらに中回転域までを、電動のスーパーチャージャーがアシストしてエンジンがより効率の良い回転域へと到達させる。そして今度はツインスクロールターボチャージャーが以降を受け継ぎ…といった感じで、モーター/電動スーパーチャージャー/ツインスクロールターボという黄金のリレーが展開されるのだ。
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