メルセデス・ベンツが新開発した直6エンジン+48Vハイブリッドシステム、いったいどこが凄いのか!?

  • 筆者: 国沢 光宏
  • カメラマン:メルセデス・ベンツ日本/オートックワン編集部

久々に新開発された直列6気筒エンジンとISG+48Vハイブリッドの組み合わせ

このところ存在感が薄くなっていたドイツの雄であるメルセデス・ベンツながら、久々に手応えのある骨太の技術を複数発表してきた。

なかでも「おおっ!」と引き込まれるのは、久し振りの直列6気筒エンジンに「ISG」(Integrated Starter-Generator:スターター兼ジェネレーター)という48Vの電装システムを組み合わせて来たこと。以下、解説したい。

まず、新開発された直列6気筒エンジン「M256」型について解説しよう。

前後方向に長い直列6気筒エンジンは、衝突安全性を確保しにくいということで(クラッシャブルゾーンを確保しにくくなる)ここ最近は急速に姿を消している。しかし電動化の進行により、エンジン前方のベルト駆動システムなど不要になり、全長を短くすることが可能になった。新しい直列6気筒エンジンの前後長はV型6気筒と大差ないというから驚く。

さらにV型6気筒よりエンジンの幅を狭く出来るため、エンジンルームを有効に使えるようになるというメリットも出てくる。

そもそも直列6気筒の方が振動的に有利だし、触媒を含む排気系の取り回しは簡単。なにしろV型6気筒だと上流の触媒が3気筒毎に1つになるため、暖気も直列6気筒より遅い(冷間時の排気ガスの浄化性能の立ち上がりが悪くなる)。コスト的にも例えばカムシャフトの数はシリンダーヘッドを2組必要とするV型6気筒だと2倍。重量だって直列6気筒が有利だ。

>>ISGと48Vハイブリッドシステムが搭載された新型Sクラス「S450」を画像でみる

48Vバッテリーはなにが凄い!?

もう一つの「スゴイね!」が48Vの電装システムを採用してきたこと。

60V以上だと感電に対する厳しい乗員保護設計をしなければならず、コスト高と重量増を招く。48Vなら普通の電装システムでOKなだけでなく、ハイブリッドシステムを稼働させられるだけのパワーも出せる。

実際、新型S450はエンジン直後に22馬力のモーター/発電機を搭載。アイドリングストップからの再始動や、加速時のパワーアシスト、回生などに使う。簡易型ハイブリッドながら、電池容量も1kWhとトヨタアクアなど本格的なハイブリッドより大きいリチウム電池を搭載してきた。これだけ大容量の電池を搭載していれば、パワーアシストや回生の効率を大幅に改善出来ることだろう。

電動スーパーチャージャーがターボラグを解消してくれる

さらに!

48Vという強い電力を活かし、電動式のスーパーチャージャーまで採用してきた。低い回転域から十分な過給圧を掛けられる上、パワーロスも機械式のスーパーチャージャーより少ない。

書き遅れたがエンジン本体は電動スーパーチャージャー付きの3リッター直噴ターボで、367馬力という強力な出力を出す。

ここで紹介した技術は、振動の無い高級感あるパワフルなエンジンと、燃費の良さの両立を狙ったもの。これらが搭載されるメルセデス・ベンツの新型Sクラス「S450」、果たして実用燃費がどのくらい良いのか、大いに楽しみである。

[Text:国沢 光宏/Photo:オートックワン編集部]

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国沢 光宏
筆者国沢 光宏

1958年生まれ。ベストカーガイド編集部員を経て自動車評論家に。空気を全く読まず言いたいことを言い、書きたいことを書くので自動車メーカーから嫌われている。現在所有しているクルマは日産 リーフやトヨタ MIRAIなど多数。趣味はラリーに出場すること。人気のない(本人談)Webサイトを運営中。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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