メルセデス・ベンツ 新型Aクラス試乗レポート|現行型オーナーが“ヤバイ”と唇をかみしめるほど見事な仕上がり

  • 筆者: 今井 優杏
  • カメラマン:メルセデス・ベンツ・日本

Aクラスオーナー・今井優杏、新型Aクラスの“ヤバさ”を語る

メルセデス・ベンツのハッチバックモデル、Aクラスが、2018年フルモデルチェンジを迎える。

現行型A180オーナーである私がこのニュースに過敏になっているのは、これを受けて愛車の査定価格が大幅に下がってしまうのを恐れている、という至ってケチな理由から、ではない。

デザインはじめ、次のAクラスがなにやらもんのすんごいことになるらしい、という風の噂を聞きまくっていたからだ。とくにナビゲーションシステムを含むインフォテイメントの進化は年始にラスベガスで開催されたCESでも公開され、大きな話題を集めていたし。

そのラブコール(?)が届いたのか、今回、全世界ローンチを前に、クロアチアで開催された国際試乗会に参加が叶った。で、乗ってきた。

・・・いけない。これはいけない。ウダウダ前説している場合じゃない、字数がとてもじゃないけど足りない。というわけで、今回は「クルマ編」「インフォテイメント編」の2部に分けてお送りしたいと思う。

さて、次のAクラスはズバリ、この一言に尽きる。

「ヤバイ」。

ごめんなさいふざけました。でも、嘘は言ってない。以下、その「ヤバイ」部分を、一切のおチャラけなしで淡々と書くから、ちゃんと付いてきて欲しい。OK?

>>ホントにAクラス?新型がカッコよすぎて惚れる画像ギャラリーはこちら

「ぶっちゃけコレが欲しいわ」

まずはオーバービューから。

今回のモデルチェンジにおいて、新型Aクラスはほんの少し大きくなる。4,419×1,796×1,440~1,445(全長×全幅×全高。全高はモデルにより異なる※欧州値)。

ボディ形状は現行型を踏襲しているが、ボンネットはより薄くフラットになり、ライト周りの意匠が大きく変化した。

このAクラスから、メルセデス・ベンツのデザインはまた新しいフェーズに向かうことが発表されたから、今後この吊り目フェイスが全モデルに展開されるかもしれない。

次に、冒頭にも述べたド級テクノロジーを誇るインフォテイメントからではなく。すべてのクルマ好きが気になるであろう、“クルマ”としての刷新から書いていこう。

新型Aクラスには全モデルに新型エンジンが搭載される。ガソリンエンジン2種、ディーゼルエンジン1種の計3種だ。これらとの組み合わせによってはトランスミッションも新型になるか、またはブラッシュアップされている。

注目は、現行型の1.6リッターターボよりもさらにダウンサイジングされた、1,332cc(1.4リッターというにはあまりに小さい!けど、以下便宜上1.4リッターということにしておく)4気筒ターボガソリンエンジンだ。

それがM282型で、これには同じく新開発のデュアルクラッチ7G-DCTと組み合わされた場合、同社4気筒エンジンとして初の気筒休止システムが搭載される。1,250〜3,800rpmの低負荷時において2番と3番シリンダーの吸排気バルブを閉じたままにする。この休止によって残りの2気筒の負荷域を高くすることで効率化を図る。

もう一つのガソリンエンジンはM260型で、こちらは2.0リッター4気筒ターボエンジンだ。これは先代Aクラスにも搭載されていたエンジンを6%以上増強したものだが、燃費や損失の軽減、また環境負荷低減に関しても様々なブラッシュアップが行われている。このM260型に組み合わされるのもやはり、改良型である7G-DCT。もっとも熟成されている組み合わせと言ってもいいかもしれない。

さらに日本導入には期待が持てないが、本国にはディーゼルエンジンもある。これも新開発ユニットで、4気筒の1.5リッターターボ。アドブルーテクノロジーを搭載していて、最高出力は85kW、EUの「RDE」=実走行排出試験を含む新しい排ガス規制である「ユーロ6d-TEMP」にも準拠したものだ。コレに組み合わせるのも新開発のデュアルクラッチ、7G-DCTである。…ぶっちゃけコレが欲しいわ、というのはお口にチャック。魅力的な商品であることは間違いない。ただ、何度も言うけど日本導入はかなり望みが薄いので諦めた方がいいと思う。

これらエンジンのラインナップを受けて、試乗会で我々に公開されたモデルは3種。

・ガソリン1.4リッターターボ+7G-DCTの「A200」

・ガソリン2.0リッターターボ+7G-DCTの「A250」

・ディーゼル1.5リッターターボ+7G-DCTの「A180d」

しかし、日本導入モデルとは完全に一致しない可能性が高い。

何故ならば、欧州での発売は近く予定されているが、日本導入時期は未定で、超早くて2018年内~遅ければ2019年にずれ込む、ともアナウンスされているからだ。

この試乗会のプレゼンデーションでは先述の3モデル以外にすでに新エンジンのラインナップや駆動方式の追加があることが仄めかされていたから、それが間に合って追加されることも考えられるし、さらに出力違いのモデルが出てくる可能性もあるので、日本のファンはさらにラインナップが増強された、豊富な選択肢でAクラスを選択することができるようになるかもしれない。期待したい。

嫉妬まみれの新型Aクラス試乗・前編!

試乗では、A200とA250をセレクトした。

どちらも乗り出してすぐに、ため息が出るほどの仕上がりだ。注目のインフォテイメントのことではなく、先に走行性能のことを書いたのは、つまりそう言う理由からだ。走りがめちゃめちゃイイんである。まごうかたなきファイン・ジェントルマン=“メルセデス・ベンツ”になった。

私の愛車でもある現行型のAクラスの走行性能(とくに前期型)は、よく言えば個性的、悪く言えば未熟。Bクラスはちょっと特殊な車種だから置いといて、そうすると直接ひとつ上になるクラスはCということになるのだが、このCクラスとの格差は歴然としていて、その溝はまるで日本海溝並みに深かった。後期型は随分よくなったけれど、それでも完璧ではなかった。しかし、新型はもう、こう言い切っていい。走りもCクラスレベルを達成!

プラットフォームも新開発となる新型Aクラスだが、このうっとりするような走行フィールはサスペンション形式にも因る。

フロントはマクファーソン式なのだが、リアには4リンク式サスペンションのバリエーションが用意されたのだ。これがもう、フレキシブルで滑らかで、まさにこのクラスでは考えられないほどのうっとり系フィールを生み出す。ガッチガチに固められていた私の現行…じゃなくて前期型だからもうすでに型落ちの(涙)A180とは大違い。唇噛み締めたいくらい悔しい。

この4リンクのサスだが、通常はA250や四輪駆動など、パワフルなモデルに用意されたものではあるのだが、今回の試乗会では我々に用意されたすべてのモデルにこの4リンク式サスペンションが装備されていた(通常であればA200やA180dにはトーションビーム式が装備される)。

クロアチアは比較的道路が綺麗なのだが、一部工事区間もあったため、このマルチリンクがおおいに威力を発揮してくれた。運転席はもとより、助手席・後部座席の居住性は大幅に向上している。

さて、この前マクファーソン/後ろ4リンクのサスペンションに加え、上級エンジンを備えるA250は特にCクラス的だ。試乗車は導入記念モデルとなる「Edition1」。スポーツ性を訴求する「AMGライン」という装備グレードをベースにし、19インチホイール+通常よりも15mm低いタイプのコンフォートサスペンションを備える。マットグレーに黄色のポイントカラーが内外装のあちこちに上品に差し込まれていて、見た目にもリッチだ。

2.0リッターターボのエンジンは最大出力224hpを5,500rpmで、最大トルク350Nmを1800rpmという低いところから生み出すパワフルなもの。

さらに、このエンジンが生む余裕のおかげでアクセルをのべつまくなし踏み倒さなくても良いため、一般道はもちろん、高速道路走行中でも静粛性がきっちりと保たれ、ここにも高級感を感じ取ることができる。

しかし、新開発ダウンサイジングエンジンのA200も負けちゃいないのだ。

わずか1,332cc+ターボ、どんなもんかと思ったら、めちゃくちゃパワフル!踏み始めからスカスカ感は微塵もなく、そしてターボの効きもナチュラルで違和感ゼロだ。静粛性の部分ではA250に敵わないが、それでも現行型と比較すれば劇的ビフォー・アフターである。お口あんぐりレベルである。

今回、可変ダンパーの「アクティブダンピングコントロール」アリ/ ナシを両方A200で試せたが、アリは魔法の絨毯に乗っているかのようなフラットさでかつてないゆったり感を楽しめるし、ナシはダイレクトな減衰でスポーティーかつオンザレール感覚満載のコーナリングが楽しい。どちらも完成度の面ではかなり高い。廉価版のトーションビームがどのような仕上がりになっているのかは導入を待つしかなさそうだ。

さて、次回はいよいよ注目のマルチメディア・インフォテイメントシステム、MBUXについてお話ししたい。ご期待ください。

[Text:今井優杏]

>>次回:新型Aクラス試乗レポート後編|MBUXとは

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今井 優杏
筆者今井 優杏

自動車ジャーナリストとして、新車や乗用車に関する記事を自動車専門誌、WEBメディア、一般ファッション誌などに寄稿しながら、サーキットやイベント会場ではモータースポーツMCとしてマイクを握り、自動車/ モータースポーツの楽しさ・素晴らしさを伝える活動を精力的に行う。近年、大型自動二輪免許を取得後、自動二輪雑誌に寄稿するなど活動の場を自動二輪にも拡げている。AJAJ・日本自動車ジャーナリスト協会会員。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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