メルセデス・ベンツ 新型Aクラス試乗レポート|新機能”MBUX”を使ってみれば、近未来の音がする!

  • 筆者: 今井 優杏
  • カメラマン:メルセデス・ベンツ・日本

「Hey Mercedes!」これはもう、インフォテイメントシステムの”文明開化”だっ!

クロアチアで開催された新型Aクラスの国際試乗会に、現行型メルセデス・ベンツ Aクラスのオーナーであるモータージャーナリストの今井優杏さんが参加した。おもわず“ヤバイ”と唇をかみしめるほど衝撃を受けた試乗の印象(「メルセデス・ベンツ 新型Aクラス試乗レポート」リンク)に続き、第二弾の今回はもうひとつの目玉である”MBUX”について徹底解説する!

MBUXは単なるボイスコマンドに留まらず、日々ユーザーに寄り添って進化を遂げていくという驚愕のシステム。これはもう、インフォテイメントシステムの”文明開化”だ!? 今回も引き続き今井優杏さんのレポートで、MBUXのすべてを詳細にお届けする。

>>嫉妬まみれのメルセデス・ベンツ 新型Aクラス試乗・前編!

メルセデス・ベンツ MBUXとは

さて、いよいよ今回のAクラスの一番のトピックスであるマルチメディア・インフォテイメントシステム、”MBUX”についてお話ししよう。

MBUXは「Mercedes Benz User Experience」の頭文字。この機能の目玉は人工知能による学習機能を備えているという点だ。そう、かの“Siri”的なモノがAクラスに搭載されていると思って欲しい。

これにより、ユーザーとクルマのあいだにより高度なコミュニケーションが生まれ、クルマはどんどんオーナーの好みに成長していく、という注目の機能だ。プレス向けに発表された資料にはこうある。

『たとえば、火曜日の帰宅途中に母親によく電話するユーザーに対しては、火曜日になるとディスプレイに相手の電話番号をおすすめとして表示します。また、決まった時刻にラジオをニュース放送の曲に切り替える方には、この切り替えを提案します』

もちろん今回の限られた試乗時間のなかでは学習もなにも、こっちが慣れるだけで精一杯(汗)だったので、今後日本導入が最も楽しみな機能だ。

そのMBUXの操作&コミニュケーションの出入り口となるスクリーンはオンダッシュ型で、7インチディスプレイを横に2枚並べた横長のもの。これが標準装備バージョンとなる。さらに10インチディスプレイバージョンもオプションで用意されるが、こちらを選んでもMBUX拡張機能を追加できる。

試乗車には7インチ型が用意されたが、暑いくらいの晴天に恵まれたクロアチアにあって、照り返しなどで画面が見えにくかったようなことは皆無。ルームミラーに内蔵された照度センサーで常時モニターをセンサリングし、そのときの天候に最適な明るさを提供しているからだという。

ステアリングホイールの向こう側、メーター部分に当たるディスプレイ以外は指での操作、つまりタッチスクリーンにも対応していいるが、これまで通りコンソールボックス前に置かれたタッチパッドを備えるコマンドボタン類や、またステアリングホイール左右のタッチコントロールボタンでも操作が行える。

合言葉は「Hey,Mercedes!」

さらに、MBUXではボイスコントロールもかなり先進的だ。というか、これが今回Aクラスにおいて一番の目玉となる。

「Hey,Mercedes!」

フックとなるのがこのキーワード。

これでMBUXが起動し、目的地入力、電話通話、音楽選択、メッセージ入力、読み上げ、気象情報、クライメートコントロール、エアコン、各種ヒーター、照明など、様々なコマンドを声で行えるのだ。

自然言語処理もある程度可能

このMBUXのすごいところは、遠回しな表現にも対応するところだ。

例えばエアコンの温度を上げたい時、「Temperature to 24 degrees(温度24度)」と言っても、「I am cold(寒い)」と言っても認識する、ということ。

これまでのボイスコマンドは、使うユーザー側が決まったコマンドを言わなければ認識しない、ということがあったのだが、今回からはその返答にかなりの幅が持たされたということになる。実際に「19 degrees please」などとアレンジしつつ試してみたが、どれもきちんと認識した。

しかし、このボイスコントロール、試乗会時はもちろん英語にのみ対応したもので、日本語訛りの英語は認識してくれなかった。

資料によれば、このMBUXは非ネイティブスピーカーに対応する能力も向上しているそうなのだが、彼女に気に入られようと思うと、もう少し長いお付き合いが必要みたい。ちなみに、友人であるイスラエルのジャーナリスト、彼はかなり英語が堪能なのだけど、彼と一緒だったスペイン人がスペイン訛りの英語で話しかけても理解してくれなかったそうだ・・・キビシイ。

しかし、もちろん来日(日本導入)の際には彼女、きっちり日本語に対応するんだそうで、はたしてどんなバイリンガルっぷりを見せてくれるのか、超絶楽しみだ。

AIと生活する時代がすぐそばに来ている

それにしても「Hey Mercedes!」・・・これ、けっこう恥ずかしくないですか・・・。

私、「Hey Siri!」も無理なんですけど・・・。

横に彼氏が乗ってて、いきなり「Hey Mercedes!」って言われたら、だいぶびっくりすると思いませんか。どうなんだろう。この辺はテクノロジーに原始人が慣れていかなければいけない部分なのかもしれない。

さらにMBUXは流行語を覚えたり、時代による言葉の用法を理解したりもするそうなのだが前回冒頭に使った「ヤバイ」はもちろんのこと、「マジ卍(まんじ)!」とか「全然大丈夫!」みたいなことも理解するってことですよね?・・・ううむ、試してみたい、とっても。

メルセデス・ベンツが魅せる一日の長

余談は置いといて、このMBUXが他の言語支援機能と大きく異なる点は、インターネットに接続しない状態でも応答できる、というところにある。車載コンピュータとサーバーの両方でデータを評価し、それぞれが応答を送り、システムはどちらの応答がより的確かを判断して答えるというハイブリッド方式を採用しているのだそうだ。さすが、道無き道を行くかもしれない車載システム。たしかに、ドイツなどでは一旦街をでたら、電波すら捕まえられない地域も多い。

それから、これは実際に使っていて驚いた機能に、拡張現実感というものがある。

これはフロントカメラで撮影した周辺状況の映像にナビゲーション情報を付加して表示される、というものなのだが、これがまるでSF映画かミッションインポッシブルか007か。ナビに映し出された目の前の景色に、字幕のようにタイムラグなく番地や駅の名前、また通りの名前や進行方への矢印が表示されるのだ。

なんたる先進感!そして視覚的にとてもわかりやすい!

正直、今すでにナビの代わりにGoogle Mapを使っている世界中の人々に対して、ある程度オプション価格を取ってでも車載のHDDナビを売りたいのならば、優位性のためにこれくらいのギミックは必要なのかもしれない。

う~ん、すごい時代になりました。

新型Aクラスの安全装備はSクラス並み

さらに、注目の運転支援技術もSクラスのそれを採用している。どれもこれもを書くとそれだけでまたえらいことになりそうなので、個人的にありがたい機能だけをピックアップすれば、全車速追従型(0km/h~210km/h)のクルーズコントロールの精度で、130km/h以下であれば車線表示がはっきりとみえない、もしくは車線表示がなくてもカーブ時まで作動する(「アクティブディスタンスアシスト・ディストロニック&アクティブステアリングアシスト」)。

また、減速の幅は選択している走行モードに応じて変わる、というのも助かる。

MBUXと連動した機能としては、「アクティブスピードリミットアシスト」というものがある。門型式標識や道路工事区間の標識もカメラで認識するほか、ナビに登録されている制限速度を検知し、先述のアクティブディスタンスアシスト・ディストロニックで車速を適宜調整してくれるというものだ。

もちろんこれはドライバーが意図的に車速を変更することもできる、キャンセル可能な機能なのだが、ヨーロッパでは郊外道路90km/h、市街地に入った瞬間50km/hで、1km/hでも越したら即オービス!なんて厳しい制裁が当たり前なので、事実心底助かる機能だと思う。

ともかく、さすがメルセデス。やることが大胆で独創に満ち、そして早い!

とにかくやる、とにかく始めるという決定・決断にまず感激を覚えた。

世界のベンチマークが送り込んでくるこのAクラス。繰り返しになるが日本導入は年内ギリギリ~来年になるかもしれない。しかし、首を長くして待ちたいと思う。

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今井 優杏
筆者今井 優杏

自動車ジャーナリストとして、新車や乗用車に関する記事を自動車専門誌、WEBメディア、一般ファッション誌などに寄稿しながら、サーキットやイベント会場ではモータースポーツMCとしてマイクを握り、自動車/ モータースポーツの楽しさ・素晴らしさを伝える活動を精力的に行う。近年、大型自動二輪免許を取得後、自動二輪雑誌に寄稿するなど活動の場を自動二輪にも拡げている。AJAJ・日本自動車ジャーナリスト協会会員。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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