マツダの「ディーゼル」、独自路線で業界の非常識を常識に変えた(2/2)

マツダの「ディーゼル」、独自路線で業界の非常識を常識に変えた
SKYACTIV-D 2.2 SKYACTIV-D 2.2 ディーゼルエンジン マツダ CX-5 マツダ CX-5 商用ディーゼル車イメージ画像 SKYACTIVを初採用した先代デミオ マツダ CX-5 マツダ CX-5 マツダ CX-5 マツダ CX-5 シャーシ SKYACTIV シャーシ 画像ギャラリーはこちら

ディーゼル不正問題は、人為的問題でディーゼルが悪いのではない

マツダ CX-5

今回の騒動は違法なソフトウェアを使った人為的な問題であり、ディーゼルが悪いのではない。むしろディーゼルにはガソリンエンジンにはない、ディーゼルならではの魅力がある。

今回のディーゼル問題を機に技術進化を止めてしまうと、将来のガソリンエンジンも怪しくなる。ガソリンエンジンには三元触媒という強い味方が存在するが、この触媒が機能するのは理論空燃比(1対14.7)までだ。それ以上薄くなるとNOxは処理できなくなる。このようにディーゼルのクリーン化技術は未来のガソリンエンジンに役立つのだ。

ところで、マツダのスカイアクティブはエンジンだけでなく、トランスミッションやシャシー、パッケージデザインなどの技術にも貫かれるコンセプトだ。

初めにスカイアクティブが導入されたのはデミオだが、エンジンだけの採用で、いうなれば“セミスカイ”だった。スカイアクティブのすべてを盛り込んだ“フルスカイ”はSUV「CX-5」が第一号だ。

CX-5のような車格のディーゼルモデルは四駆を組み合わせてこそ真価を発揮する。特にアウトドア好きにはオススメだ。

車を買い替えただけでライフスタイルが一変

マツダ CX-5マツダ CX-5

鎌倉に住んでいる妻の友人は4WDのミニバンを所有し、愛犬2頭とともに家族4人で箱根あたりまでドライブを楽しんでいた。遠出は苦手で、行動範囲は100kmくらいだった。

ところがCX-5のディーゼル4WDに出合い、長距離ドライブの楽しさに目覚めてしまった。広島までドライブしたり、東北の被災地を訪問したり、行動範囲が一気に広がったのである。

ディーゼルなら長距離運転も疲れないし、燃料代も安い。車を買い替えただけで、そのご家族のライフスタイルは一変したのである。

もちろん、ディーゼルが不向きな例もある。ご主人がディーゼル車購入を決断したのだが、普段は奥さんが近所に買い物に行く程度。

ディーゼルの強みを発揮できる使い方がなかなかできなかったためにPM(粒子状物質)がたまり、車内に異臭がするようになった。ときどき高速道路でパージすれば解消できるのだが、街乗り中心の奥さんのライフスタイルには合わなかった。

結局、そのご家族はディーゼルを手放したそうだ。

値引きや装備だけで車を決めるのではなく、自分のライフスタイルを見つめ直し、どんなパワートレーンや駆動方式が適しているのか、じっくりと考えて選んでほしい。

[Text:清水和夫]

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清水 和夫
筆者清水 和夫

1954年生まれ。1972年のラリーデビュー以来、国内外の耐久レースで活躍する一方、モータージャーナリストとして、自動車の運動理論・安全技術・環境技術などを中心に多方面のメディアで執筆し、TV番組のコメンテーターやシンポジウムのモデレーターとして多数の出演経験を持つ。近年注目の集まる次世代自動車には独自の視点を展開し自動車国際産業論に精通する。一方、スポーツカーや安全運転のインストラクター業もこなす異色な活動を行っている。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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