マツダ 「i-ACTIV AWD」オールラインナップ試乗レポート/渡辺陽一郎(3/3)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:島村栄二
既存機能を活かし、新たに何ができるのか?
ちなみに今のクルマはセンサーやメカニズムが高度化したので、「既存の機能を活用して新しい何ができるのか」が開発の重要なテーマになった。
典型的な例は、自動ブレーキを作動できる衝突回避の支援機能とセットになった追従可能なクルーズコントロールだろう。前方のクルマを認識するミリ波レーダーなどを活用して、追従走行も可能にした。
安全装備のセンサーとしてカメラが装着され、燃費向上のために電動パワーステアリングが付いていれば、車線に沿ってステアリング操作の支援を行える。スズキハスラーの4WDは、横滑り防止装置の応用で、滑りやすい急斜面をペダル操作をせずに安定して下れるヒルディセントコントロールを装着した。ハスラーの4WDの価格は、この機能を含めて12万6360円と安い。いずれも「ムダなく使わないともったいない」というクルマ造りだ。
ユーザーの老化を抑えるクルマ造り
マツダのAWD車の雪上における運転感覚は、舗装路上の感覚とピッタリ合っていた。ドライバーの操作が車両の動きに忠実に反映され、一体感も得やすい。ボディから足まわり、エンジン、さらにAWDまで、すべてをひとつの方針に沿って入念に煮詰めた結果だ。
車両が正確に動くと、ラフな運転をすればギクシャクするから、ドライバーは自然にていねいな操作をするようになる。となれば安全性が高まり、燃料消費量も抑えられる。これが今のマツダ車の特徴だ。インテリジェント・ドライブ・マスターと呼ばれる運転の診断機能も、よくあるエコドライブの支援にとどまらず、ハンドルやブレーキ操作まで検知して総合的な評価を行う。今のマツダの考え方を反映させている。
今回の試乗会で話をしたある開発者は、「お客様の老化を抑えるクルマ造りをしたい」と語っていた。ていねいな運転を行うことで、クルマが滑らかに動けば、ドライバーの知覚も衰えにくいわけだ。
筋の通った気持ちの良いクルマ造りだが、ひとつの方針を決めて商品を造り込んで行くと、どの車種も同じような持ち味になるのは仕方ないだろう。2015年2月24日に掲載した「マツダ CX-3[プロトモデル]雪上試乗レポート」でも述べたが、車種ごとの個性は演出しにくい。
今回の試乗会に出席していたAWDの開発者は、「2WDよりも燃費の優れた4WDをめざす」と語った。4WDは2WDに比べてボディが重く、抵抗も多い。だから燃費が悪化するのは当たり前とされてきたが、雨天や雪道では、2WDに比べて駆動輪の空転によるパワーロスが少ない。そこを突き詰めて「スリップ・ゼロ」を実現させれば、「2WDよりも燃費の優れた4WD」はあり得るわけだ。
だとすれば前言撤回で、ビアンテのような高重心のミニバンで、正確性の高い走りを実現することも可能かも知れない。
「仕方ない」という常識に捕らわれず、クルマ造りのすべてにおいて、チャレンジを重ねているのが今のマツダだ。それに引き替え、私は常識と諦めに縛られていた…。反省…。勉強になりました。
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