マツダ 「i-ACTIV AWD」オールラインナップ試乗レポート/渡辺陽一郎(2/3)

マツダ 「i-ACTIV AWD」オールラインナップ試乗レポート/渡辺陽一郎
マツダ CX-5(公道雪上試乗) マツダ CX-5(公道雪上試乗) マツダ CX-5(公道雪上試乗) マツダ CX-5(公道雪上試乗) マツダ CX-5(公道雪上試乗) マツダ CX-5(公道雪上試乗) マツダ デミオ(公道雪上試乗) マツダ デミオ(公道雪上試乗) マツダ デミオ(公道雪上試乗) マツダ デミオ(公道雪上試乗) マツダ デミオ(公道雪上試乗) 画像ギャラリーはこちら

予兆制御

マツダ デミオ(公道雪上試乗)マツダ CX-5(公道雪上試乗)

ではどのように「ズルッ」を抑えたのか。ここから話は、走りのフェティシズムの世界へ入っていく。路面の情報を察知する「予兆制御」を綿密に行った。

具体的には、車両に装着されたさまざまなセンサーをフルに使って、路面の情報を読み取る。前後輪の回転差はもちろん、前後加速度から分かる路面の勾配、ステアリングモーターの作動による路面摩擦反力、外気温度、さらにワイパースイッチまでがセンサーの役割を果たす。

これによって雨天なのか雪道なのか、平坦路なのか登り坂なのか、といった車両の置かれた状況を正確に察知する。

その一方で、アクセル開度、ブレーキ油圧、ステアリングの舵角などにより、ドライバーがどのような運転をしたいのかも推測する。

以上の「路面状況+ドライバーの意思」の判断に基づいて、予兆(これから何が起こるのか)を見極め、電子制御カップリング内部の多板クラッチ制御を行う仕組みだ。

センサーをフル活用し、路面状況を正確に把握

マツダ アクセラセダン(登坂路試乗)

今回の試乗では、雪道の一般道路のほかに、雪上のテストコースにおける登坂路、ジグザグに走るスラローム路、簡単なジムカーナ風の旋回路、峠道風のハンドリング路を試した。

綿密な制御が最も分かりやすかったのは、15%の勾配を持つ登坂路で、ハンドルを切った状態で発進した時だ。一般的な4WDなら空転を生じた後で登坂を開始する場面だが、試乗車のアクセラセダンAWDは、トラクションコントロールと横滑り防止装置をカットした状態でも、空転を生じることなく安定して発進した。

マツダ CX-3(スラローム試乗)

試しに停止状態から一気にアクセルペダルを深く踏み込むと、トラクションコントロールをカットしているために空転を生じたが、4輪すべてが均等に空転した。車両が雪道であることを認識して、前後の駆動系を直結状態にしていたからだ。

このような雪道の登坂では、前後の駆動系を直結させるのが理想だが、カーブを曲がりにくくなる。ハンドルを切った状態では、前後輪の旋回軌跡が異なるから、前後輪の回転数を調節できないと、タイヤにブレーキが掛かったような状態(タイトコーナーブレーキング現象)に陥ってしまう。

マツダ アクセラスポーツ(旋回路試乗)

だからジムニーやFJクルーザーのような直結状態にしかならないパートタイム4WDは、舗装路では2WDで走る。路面が滑りやすく、前後輪の回転差を吸収できる(誤魔化せる)悪路や雪道のみ、4WDで走るわけだ。

そうなると悪条件における4WDの制御では、タイトコーナーブレーキング現象を回避しつつ、可能な限り前後の駆動系を直結状態に近づけることが重要になる。そのためには路面状況を限りなく正確に把握する必要があり、マツダのAWDではセンサーをフル活用した。

価格上昇を抑えて高い効果を得られる

マツダ アテンザワゴン(ハンドリング路試乗)マツダ アテンザワゴン(ハンドリング路試乗)

表現を変えれば、マツダほど「予兆制御」を綿密に行っていない4WDの場合、ハンドルを切った状態ではタイトコーナーブレーキング現象を懸念する。だから直結状態にはなりにくく、雪道発進では不可避的にスリップが生じるわけだ。

ただし直結状態に近づけることで、不都合が生じることもある。先に述べたタイトコーナーブレーキング現象のほか、速度を高めて旋回する時も、状況によっては旋回軌跡が拡大しやすくなってしまう。

この点は旋回路で、アクセラスポーツAWDの試乗車によって試すことができた。アクセルを踏み込んで曲がれば後輪にも強い駆動力が加わるが、ブレーキングしながらコーナーにアプローチすると、2WDに近い状態で(多板クラッチの締結力を弱めて)車両を内側に回り込ませる。やはり走行状態に応じて綿密な駆動力配分を行っていた。

旋回路では前輪駆動の2WDとの乗り比べも行ったが、当然ながら違いは大きい。2WDではアクセル操作によって車両の挙動をコントロールする自由度はあるが、走行安定性は4WDが圧倒的に勝る。

マツダ アクセラセダン(登坂路試乗)

とはいえ、駆動力をかけずに下りコーナーを回るような場面では、挙動は他メーカーの4WD車とほぼ同じだ。楽観的に速度を高めるのは危険だが、スタッドレスタイヤを履いて平坦路や登り坂を普通に運転している時には、雪道であることをほとんど意識させなかった。

このAWDのメリットには、価格上昇を抑えて高い効果を得られることも挙げられる。デミオの場合、AWDと2WDの価格差は19万4400円。既存のセンサーやメカニズムを活用して高い制御を行ったから、常識的な価格に収まる。

この記事の画像ギャラリーはこちら

  すべての画像を見る >

愛車の売却を、もっと楽に!もっと高く!

  • 一括査定はたくさんの買取店からの電話が面倒?

    これまでの一括査定は、たくさんの買取店からの電話が面倒でした。MOTA車買取なら、最大20社の査定額をwebで簡単比較。やり取りするのは査定額上位の3社だけ。車の査定が楽に完結する仕組みです。

  • 一括査定は本当に高く売れるの?

    これまでは、買取店に会わないと査定額がわからず、比較がしづらい仕組みでした。MOTA車買取は最短3時間後、最大20社を簡単比較。加えて、買取店は査定額上位3社に選ばれるために競い合うから、どうしても高く売れてしまいます。

【PR】MOTAおすすめコンテンツ

渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

MOTA編集部
監修者MOTA編集部

MOTA編集部は自動車に関する豊富な知識を持つ専門家チーム。ユーザーにとって価値のあるコンテンツ・サービスを提供することをモットーに、新型車の情報や、自動車の購入・売買のノウハウなど、自動車に関する情報を誰にでも分かりやすく解説できるように監修しています。

MOTA編集方針

「車好きのみんなが見ているメルマガ」やSNSもやってます!

新車・中古車を検討の方へ

人気記事ランキング
最新 週間 月間

新着記事

新着 ニュース 新型車 比較 How To
話題の業界トピックス・注目コンテンツ

おすすめの関連記事

マツダ CX-3の最新自動車ニュース/記事

マツダのカタログ情報 マツダ CX-3のカタログ情報 マツダの中古車検索 マツダ CX-3の中古車検索 マツダの記事一覧 マツダ CX-3の記事一覧 マツダのニュース一覧 マツダ CX-3のニュース一覧

コメントを受け付けました

コメントしたことをツイートする

しばらくしたのちに掲載されます。内容によっては掲載されない場合もあります。
もし、投稿したコメントを削除したい場合は、
該当するコメントの右上に通報ボタンがありますので、
通報よりその旨をお伝えください。

閉じる