マツダ 「i-ACTIV AWD」オールラインナップ試乗レポート/渡辺陽一郎(1/3)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:島村栄二
走りのフェティシズム
スカイアクティブ・テクノロジーを導入してからのマツダは、クルマの挙動にこだわった開発を行っている。自動車メーカーだから走りにこだわるのは当たり前だが、今のマツダは神経質というか、走りについては一種のフェティシズムを感じるほどだ。
この「走りのフェチ度数」をあからさまに見せつける報道試乗会が、冬の北海道で行われた。マツダのAWD(4WD)モデルを集め、雪上で試乗させる内容だ。
この試乗会が開催された背景には、マツダのAWDの刷新がある。2013年10月に行われたCX-5の一部改良を皮切りに、電子制御式アクティブトルクコントロールカップリング式4WDを進化させている。この認知度がいまひとつなので、AWDのメカニズムを試す報道試乗会となった。
一般的でポピュラーな方式を神経質に開発
4WDは大切な機能だが、今では常識的なメカニズムになったから、注目が集まりにくい。マツダのAWDも、基本的な機能自体は特に新しくはない。リアデファレンシャルギアの前側に電子制御カップリングを装着。この内部に収められた複数の多板クラッチを電磁式にコントロールして、後輪へ駆動力を配分する。
4WDシステムには、左右輪の回転数を調節するのと同様のセンターデフを、前後輪の間に置いたセンターデフ式もある。このタイプは構造が複雑で、重く、高価格になりやすい。1985年に日本初のフルタイム4WDとして登場した6代目マツダ「ファミリア」を含め、20~30年前にはセンターデフ式4WDも豊富だったが、今はスバルの高性能グレードとオフロードSUVが採用する程度だ。
その一方で電子制御カップリングは、ポピュラーな方式になった。4WDの価格も20万円前後と妥当だ。軽自動車などの低価格車では、機械式のビスカスカップリングが9~13万円の価格アップで用意される。
この一般的な電子制御カップリングを、今のマツダはかなり神経質に、走りのフェティシズムの世界で開発してきた。
「ドライバーの操作に限りなく忠実であること」を突き詰める
こだわったのは「普通に運転できること」だ。一般的な電子制御カップリングは、主たる駆動輪(主に前輪)が少し空転してから、後輪にも駆動力が伝わる。ビスカスカップリングのように「ズルズルズル…」という明確なスリップは生じないが、不可避的に前輪が少し空転する。実用的に不都合はなく、「機能的に仕方ない特性」とされてきた。
ところが今のマツダはこれを許さない。小さな舵角から正確に反応する操舵感、微妙なアクセル操作で速度を正確にコントロールできる駆動系など、「ドライバーの操作に限りなく忠実であること」を突き詰めているからだ。この考え方がAWDの作動にもおよび、不可避的な前輪の「ズルッ」を抑えようとした。ドライバーの操作に忠実ではなく、違和感も生じるからだ。
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