首都高値上げで渋滞は本当に解消されたのか!? 果たして永続的な値上げの可能性は!?

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選手や競技自体への感動や評価は別にして、開催の可否も含めて、様々な面で、問題や準備不足などが露呈したのが今回の東京オリンピック。

その分、批判も多かったが、そのひとつが首都高の通行料金、1000円上乗せだろう。2021年7月19日(月)から2021年8月9日(月)までの東京オリンピック2020大会における首都高料金の値上げは自動車ユーザーにとって大きな影響を与えた出来事だった。

そして2021年8月24日(火)から2021年9月4日(日)までパラリンピック開催期間中も同様に首都高が値上げされる。

第一弾となったオリンピック期間中の渋滞率などデータに触れながら実情を解説する。またにわかにウワサされている今後恒常的な値上げの可能性はあるのだろうか。

目次[開く][閉じる]
  1. 1000円上乗せしてでもスイスイ走りたい! というニーズはあった
  2. 首都高は17日間すべてで約7〜9割減少! 一般道でも減少傾向
  3. 今後1000円上乗せは定着してしまうのか? 条件によっては可能性もある
  4. 高額になれば通行量が減少する? 2022年4月に値上げが予定

1000円上乗せしてでもスイスイ走りたい! というニーズはあった

料金上乗せの目的としては明解で、首都高は選手や大会関係者の移動に使用するため、料金を高くすれば一般の通行量は減って、大会関係の運営がスムーズにいくだろうというわけである。いわゆるロードプライシングというやつだ。

これに対して、批判が多く噴出したわけだが、それを大別すると「商用車でなくても平日の首都高は仕事で使うことも多く、1000円上乗せは負担増」「単純に1000円を上乗せするのはちゃんと考えてのことか?」「無観客で行われるのだから、それほど混まないのでは?」「交通量に影響の少ない二輪車も1000円上乗せするな」といったところだろう。

どれも同意できるもので、代わりに「深夜0時から4時までは5割引」という施策も実施されたが、やる気のなさがにじみ出たもので、バーター施策にもなっていなかった。

気になるのは、実際に交通量はどうだったかということ。大会期間中に首都高を使用してみたが、劇的に減っている印象はなく、普通にスムーズに流れている程度であったし、朝夕には渋滞も一部で発生していた。

全体的な感想としては「ガラガラではなかった」といったところ。1000円を出してスイスイ走りたい層もある程度いたように思う。まさにプレミアム走行券といったところである。

首都高は17日間すべてで約7〜9割減少! 一般道でも減少傾向

通行量データとして数値ではどう出ているか?

2021年8月27日(金)時点では詳細な数値は出ていないものの、オリンピックが閉会した翌日には警視庁が速報値を発表していて、「渋滞の距離と時間を掛けた『渋滞長時間』は、新型コロナが流行する前の2019年7月と8月で、それぞれの平日、土・日・祝日の1日平均と、期間中の各日を比較した結果、首都高では17日間すべてで減少。減少率は68~96%」となっている。

実感以上の減少率には驚いたが、一般道でも減っていて東京23区内では、17日間中11日間で減少し、減少率は2~48%。

とくに開会式直後の7月24~25日の2日間は40%台だった。一部報道などでは大混雑が話題になったが、これは、前触れなく首都高の入口が閉鎖されたり、関係車両が通行するために規制が入ったためであろう。

全体としては大きな混乱は発生しなかったし、新型コロナ、1000円上乗せ、オリンピックによる混乱回避などがさまざまな背景にあって、交通量が減ったのは確かだ。

今後1000円上乗せは定着してしまうのか? 条件によっては可能性もある

ここでさらに思うのが、これが前例になるかどうかということ。ロードプライシングというのは、今までも行われてきたが、単純にどんな条件でも1000円プラスというのはほとんど例がない。

現在、首都高では距離別を導入しているので、本来なら各料金を1.5倍などにするのが本筋のように思う。

一律1000円上乗せというのは、長距離を走れば走るほど1000円プラスの負担感は薄れていく。運用する側としては、単純に1000円プラスにしておけば、面倒な設定や計算も不要ということだろう。

実際今回、渋滞などへの影響が少ないであろう二輪も同様の上乗せされてしまった理由は、システム変更が大変とも発表されていた。

運用上のことで言えば、土・日・祝日を単純に1000円上乗せするというのは楽にできるはず。

利用者側としては、今までの度重なる値上げで、感覚が麻痺してきているのもあるし、休日特別料金1000円上乗せは環境のためなどと言われれば、なんとなく受け入れてしまうような気もする。

高額になれば通行量が減少する? 2022年4月に値上げが予定

一方1000円上乗せされるなら出かけるのをやめる、という人もいるだろうから、通行量はやはり減るかもしれない。

以前、東京湾アクアラインの関係者が「最初の4000円だったときのほうがもうかった」的なことを言っていたのが印象的だ。

4000円の頃の通行量は1日あたり約1万台で、800円となった現在では約4.4万台となっている。単純計算でも豊作貧乏的な感じだし、「通行量が増えると路面が傷んだりして、保守代もかさむ」というからなおさらだ。

この点は、今回のような首都高料金上乗せで通行量を絞ることによる、運営側からするメリットだとも言える。来年2022年4月には、首都高の値上げが控えている。

東京圏におけるクルマの流れを適正化するのが目的とされているが、上限料金が1320円から1950円に値上げになる(距離単価は変わらず)。

利用者としては、理由はどうであれまた値上げか、というのは正直なところ。

何度も言うが、値上げに対して鈍感になってきているのは事実だけに、交通量適正化や環境問題などを理由に、恒常的に1000円上乗せ施策が導入されなければいいが。

【筆者:近藤暁史】

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近藤 暁史
筆者近藤 暁史

男だてらに学習院大学文学部国文学科卒。ファッション誌の編集から一気に転身して、自動車専門誌の編集部へ。独立後は国内外の各媒体で編集・執筆。雑ネタを中心に、旧車、メカ、メンテナンス&レストアなどを得意とする。また、貼って効くなど、業界唯一のオカルトグッズ評論家としても活躍する。愛車は19歳のときに買ったFIAT500(ルパンのやつ)、2代目プントを6台乗り継ぐ(すべて色違い)、フィアット馬鹿一代。さらにバイクは現在稼働が4台。ひっそりとYouTube「こんどう自動車部」も進行中なので、こっそり見てみてください。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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