ジープ 新型ラングラー最上位モデルの実力を雪上で試す!(2/4)

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“フルタイム4WD”の出来映えを北海道の特設コースで試す

今回走ることができたのは、北海道の千歳市を中心とした100kmほどの一般道、そして新千歳モーターランドの中に設けられた特設コースだった。スタッドレス・タイヤを履いた2WDでも注意深く行けば問題なく走れる路面もあったが、中には4WDでなければ絶対に無理な箇所もあった。

となれば4WDシステムの出来映えが気になるわけだが、新型ラングラーはまずここに大きな改良が加えられている。先代までは悪路での走破性、そして一般道での走らせやすさと省燃費性をも両立させるために切り替え式のパートタイム4WDを採用していたが、それがフルタイム4WDとなったのだ。

“セレクトラック・アクティブ・オンデマンド・フルタイム4WD”と名付けられたこのシステムは、副変速機で“4H AUTO”をチョイスしておけば状況や環境に合った最適な駆動力を前後に自動的に配分してくれるものだが、必要とあれば従来同様のパートタイム4WDとして機能させることもできる。普段はオンデマンド4WDとしてクルマ任せにしてイージーに、悪路では4WDに固定してガッチリ強力に、とシチュエーションによって使い分けることができるわけだ。

各モードを知っておくだけでも楽しさが変わる“4WD”

僕は一般路に出ると、このシステムをあれこれ切り替えながら走ってみた。舗装の上にシャーベットがのった路面、圧雪路にところどころ凍結した部分があるハイブリッドな路面、圧雪路の上に新雪が積もった路面、20cmほどの深さの新雪……。

種類は様々だったが、最終的には4H AUTOに入れっぱなしになった。わざわざ切り替えなくとも、新型ラングラーは常識的な速度で走っている範囲内では一度たりとも姿勢を崩すことなく、当たり前のように安定しきったまま走ってくれるということが分かったからだ。

様々なモードがある「副変速機」それぞれの役割とは

せっかくの機会なので、副変速機で選ぶことができる5つのモードについて簡単に触れておこう。

もちろんこれらを暗記してなくてもちゃんと走ってくれるわけだけど、知っておいた方がより楽しめるし、楽しんでこそ優れた4WDを選んで手に入れる意義があるってものだとは思う。

2H

前輪側には駆動力を送らず、100%後輪のみに絞るモード。駆動ロスがないから燃費の面でも有効、クルマの動きも僅かながら軽快になる。乾いた路面の街乗りに最適。

4H AUTO

通常はほぼ後輪駆動で、前輪は僅かに駆動が送られるスタンバイ状態。後輪が滑ると瞬時に最大50%の駆動が前輪に伝わって4WDとして機能する。日常的にはここに入れっぱなしでいい、というモード。

4H PART TIME

前輪と後輪の駆動は50対50に固定。片側のタイヤが滑ったときには電子制御ブレーキデフとしてESC(電子制御スタビリティコントロール)が作動し、左右輪の駆動を調整する。滑りやすい路面用。

N

駆動を全面的に切断。牽引時のためのモード。

4L

駆動が前後50対50に固定され、電子制御ブレーキデフとしてESCが作動、ギア比が2.72へと低められる。シビアな悪路をじっくり確実に進むとき、足をすくわれたときの脱出などのときに有効なモード。

>>ジムカーナにも使われる2つの特設コースでの試乗体験も[次ページへ続く]

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嶋田 智之
筆者嶋田 智之

本人いわく「ヤミ鍋系」のエンスー自動車雑誌、『Tipo』の編集長を長く務め、スーパーカー専門誌『ROSSO』の総編集長を担当した後、フリーランスとして独立。2011年からクルマとヒトに照準を絞った「モノ書き兼エディター」として活動中。自動車イベントではトークのゲストとして声が掛かることも多い。世界各国のスポーツカーやヒストリックカー、新旧スーパーカー、世界に数台の歴史的な名車や1000PSオーバーのチューニングカーなどを筆頭に、ステアリングを握ったクルマの種類は業界でもトップクラス。過去の経歴から速いクルマばかりを好むと見られがちだが、その実はステアリングと4つのタイヤさえあるならどんなクルマでも楽しめてしまう自動車博愛主義者でもある。1964年生まれ。記事一覧を見る

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