トヨタ 新型スープラ vs BMW 新型Z4 どっちが買い!? 徹底比較

話題の兄弟車を徹底比較!

新型スープラはトヨタのスポーツカーで、基本部分をBMW 新型Z4と共通化した兄弟車だ。背景にはトヨタとBMWが2011年に業務提携を結んだことがある。2012年から協業を開始して、新型スープラと新型Z4の商品化に至った。

この2車種ではエンジンやプラットフォームは共通だが、ボディ形状は異なる。新型スープラはクローズドボディのクーペで、Z4は電動で開閉するソフトトップを備えたオープンモデルだ。

それでも新型スープラの基本的な図面を引いたのはBMWであった。具体的な車両開発はBMWが行い、トヨタは企画、実験、セッティングなどで参加している。そこで新型スープラと新型Z4を比較する。

>>新型スープラ&新型Z4の内外装を画像で比較[24枚]

トヨタ 新型スープラ vs BMW 新型Z4|ボディスタイル/サイズ/視界/取りまわし性比較

ボディサイズはほぼ同じだ。全長は4400mm以下に収まり、全幅は両車とも1865mmと幅広い。ホイールベース(前輪と後輪の間隔)が2470mmと短いため、最小回転半径も5.2mで、スポーツカーとしては小回りが利く。

視界はサイドウィンドウの下端が高く、側方と斜め後ろが見にくい。真後ろはソフトトップを閉じた状態でも、新型Z4が若干見やすい。ボディ形状の違いから、新型Z4はドライバーとリアウィンドウの間隔が近く、視界が少し開けるためだ。

なお外観の装飾は新型スープラが目立ち、新型Z4はBMWらしくシンプルに仕上げた。この評価は見た人の印象で異なる。

ちなみに新型スープラのボディ各部に装着されたスリット(隙間)には、黒い樹脂のカバーが装着されるが、いわゆるダミーではない。カバーをはずすと穴が開いていて、ダクトを自分で装着すれば冷却などに使える。2019年6月に開催されたニュルブルクリンク24時間耐久レースの出場車両も、この穴を使って冷却性能を高めていた。

勝者:新型Z4

トヨタ 新型スープラ vs BMW 新型Z4|内装のデザイン/質感/操作性/視認性比較

新型スープラと新型Z4では基本部分が共通だから、インパネの形状も似ている。両車ともに、BMWらしい水平基調のデザインだ。後輪駆動車とあってATレバーが収まるセンターコンソールが高く、ドライバーを囲む感覚が強い。

新型スープラのATレバーの形状は新型Z4とほぼ同じで、方向指示機の操作レバーも、日本車なのに左側に装着した。開発者は「右側へ移すには多額のコストを要するため」と説明したが、これは開発がBMW Z4を主体に進められたことも示している。

メーターの視認性やスイッチの操作性は同程度だが、質感はZ4が少し高く、プレミアムブランドであることを感じる。

勝者:新型Z4

トヨタ 新型スープラ vs BMW 新型Z4|居住性比較

シートの座り心地は両車ともに硬めだが、腰の張り出し方は適度で、長距離ドライブを快適に楽しめる。新型スープラは肩の周辺まで確実に支える印象で、峠道やサーキットの走りに対応したスポーツカーであることを実感させる。

勝者:新型スープラ

トヨタ 新型スープラ vs BMW 新型Z4|乗降性比較

全高は新型スープラのSZ系が1295mm、RZが1290mmで、新型Z4は1305mmだからほぼ同じだ。両車ともに天井と着座位置が低く、乗降時には頭部を下げる。着座位置も低いから、腰の移動量が大きい。スポーツカーの典型的なデザインだ。

勝者:引き分け

トヨタ 新型スープラ vs BMW 新型Z4|荷室比較

スポーツカーだから両車とも荷室は狭いが、新型スープラはボディ後部にリアゲートを備える。開口部の少し狭い新型Z4に比べると、荷物を出し入れしやすい。

勝者:新型スープラ

トヨタ 新型スープラ vs BMW 新型Z4|動力性能&エンジンフィーリング比較

エンジンは、両車ともに直列4気筒 2リッターターボと直列6気筒 3リッターターボを用意した。新型スープラは2リッターターボのSZとSZ-Rでは動力性能が異なり、後者を高めたが、新型Z4のsドライブ20iはSZとほぼ同じだ。

最高出力は両車ともに197馬力で、最大トルクは新型スープラSZが32.7kg-m、新型Z4 sドライブ20iは32.6kg-mになる。自然吸気のノーマルエンジンに換算すると3リッター相当の性能で、実用回転域の駆動力に余裕があるから運転しやすい。

新型スープラ SZ-Rの2リッターターボは、258馬力・40.8kg-mに高まる。ノーマルエンジンなら4リッター並みで、2リッターターボとしては高性能だ。

同様のエンジンを新型Z4は欧州仕様のZ4 sドライブ30iに搭載するが、日本には正規輸入されていない。

新型スープラ RZの直列6気筒 3リッターターボは、5リッター並みの性能を発揮する。新型Z4では最上級のM40iに搭載した。最高出力は340馬力、最大トルクは51kg-mで両車ともに等しい。排気量に3リッターのゆとりがあるから実用回転域の駆動力も高く、高回転域では、直列6気筒らしい活発な吹き上がりを満喫できる。

なお新型スープラのボディは、電動開閉式ソフトトップを備えた新型Z4よりも軽い。新型スープラ RZの車両重量は1520kg、Z4 M40iは1570kgだから50kgの差が生じた。エンジンの回転感覚もスープラが少し鋭く感じる。

従ってスポーツカーらしさを競えば新型スープラが勝り、上質感なら新型Z4だ。燃費性能は同程度になる。

勝者:引き分け

トヨタ 新型スープラ vs BMW 新型Z4|走行安定性比較

新型スープラと新型Z4は、ホイールベースを前述の2470mmに抑えて、車両の向きを機敏に変えやすい。この特徴を明確に味わえるのは新型スープラだ。

特に新型スープラ SZ-RとRZには、アクティブディファレンシャルが装着され、LSD(リミテッドスリップデフ)の差動制限を電子制御で行う。カーブを曲がる時には駆動力の伝達効率を高め、アクセルを閉じて曲がったり直進する時でも安定性を向上させる。

この機能は、新型Z4ではMスポーツディファレンシャルと呼ばれ、直列6気筒 3リッターターボを搭載するM40iのみに搭載される。

また新型スープラ SZ-RとRZは、アクティブディファレンシャルと併せて、電子制御でショックアブソーバーの減衰力を変化させるAVSも装着した。短いホイールベースで機敏に曲がり、なおかつ後輪の接地性も満足できる。

これらの上級グレードに比べると、電子制御機能を備えない新型スープラ SZは、カーブでアクセルペダルを戻す操作を強いられた時などに後輪の接地性が下がりやすい。SZのタイヤが17インチで、SZ-Rの18インチ、RZの19インチに比べてグリップ力が下がることも影響した。

しかし大きな挙動変化ではないから、不安をあまり感じない。アクセル操作で挙動を積極的に変えられる独特の楽しさも併せ持つ。

SZ-Rは直列4気筒ターボならではの軽快感が特徴だ。ボディの前側がRZに比べて約70kg軽く、車両の向きを変えやすい。RZは少し落ち着いた印象になる。

一方、新型Z4はオープンボディでもあるから、新型スープラほど操舵感を機敏な設定にしていない。それでもスポーツカーだから、一般的な感覚でいえば良く曲がってスポーティだが、新型スープラに比べると車両の動きを穏やかに仕上げた。

勝者:新型スープラ

トヨタ 新型スープラ vs BMW 新型Z4|乗り心地比較

新型スープラ SZは、ランフラットタイヤの装着で、乗り心地と安定性が良くない影響を受けた。そこで17インチのタイヤサイズを変えずに、ノーマルタイヤに交換すれば良いだろう。少し粗い乗り心地が快適になり、カーブを曲がる時には挙動変化に粘りが生じるから、運転の楽しさも高まる。タイヤの交換で、電子制御をあまり使わないSZの自然な運転感覚が際立つ。

SZ-Rは粗さはないが少し硬い。RZは19インチタイヤを装着するが、車両重量の増加もあって、挙動変化が落ち着いた印象になる。

対する新型Z4はオープンボディとあって、路面が荒れた場所だとフロントウインドーのマド枠が少し震えるが、乗り心地の不満は抑えた。

勝者:新型Z4

トヨタ 新型スープラ vs BMW 新型Z4|グレード構成と価格の割安度比較

新型スープラと新型Z4の価格を動力性能に合わせて比べると、まず新型スープラ SZ(490万円)と新型Z4 sドライブ20iスタンダード(566万円)の組み合わせがある。

動力性能は同程度で、バックモニターやアクティブクルーズコントロールは、新型Z4 sドライブ20iスタンダードには装着されない。その代わり新型Z4には、電動開閉式ソフトトップと横転時に乗員を保護する安全装備が採用される。

上級グレードは、直列6気筒 3リッターターボを搭載する新型スープラRZ(690万円)と、新型Z4 M40i(835万円)の比較だ。

性能は同等だが、新型Z4 M40iでは内外装の装飾類も少し増える。

価格は新型Z4が全般的に高いが、新型スープラにはない電動開閉式ソフトトップを備えるから、実質的には差額があまり生じない。特に2リッターターボの新型Z4 sドライブ20iスポーツ(615万円)は、新型スープラ SZ-R(590万円)に近い値付けで、機能や装備の割に価格が求めやすい。

またBMWのブランド力に強い魅力を感じる場合は、新型Z4がむしろ買い得に思えることもあるだろう。

勝者:新型スープラ

トヨタ 新型スープラ vs BMW 新型Z4|総合評価/どっちが買い!?

スポーツカーは実用性や価格の割安度よりも、趣味性で選ばれる。従って基本部分が共通でも、一概には比べにくい。

特にこの2車種はルーフの形状が異なる。オープンボディの新型Z4は、爽快な運転感覚を味わえて、閉めた状態でも外観には独特の情緒が漂う。人気のない雨の晩など、ソフトトップを閉めた姿も渋くてカッコイイ。こういった車両の特性に合わせて、新型Z4は操舵に対する反応を少し穏やかに仕上げた。

一方、クローズドボディの新型スープラは、ボディ剛性が高くて軽いことが特徴だ。走りは新型Z4よりも機敏で、典型的なスポーツカーに造り込んだ。走りの良さを重視してスポーツカーを選ぶ一般的な観点では、価格の割安感まで含めて新型スープラが魅力的だろう。

しかし新型Z4にはオープンカーの情緒があり、内外装も上品だ。スポーティな走りだけを追求せず、移動を幅広く楽しむ場合は、新型Z4の総合評価が高まる。

勝者:新型スープラ

[筆者:渡辺 陽一郎]

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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