ホンダ 新型ステップワゴン vs トヨタ ヴォクシーどっちが買い!?|ハイブリッドミニバンの代表格を徹底比較!(1/3)

ハイブリッドミニバン戦国時代!頂上決戦がここにはじまる

ミニバンは人気の高いカテゴリーだが、今は売れ方が二極化した。全高を1700mm以下に抑えたワゴン風のミニバンは売れず(トヨタウィッシュは販売を終えてプレマシーやラフェスタハイウェイスターも近々終了する)、全高1800mmを超える背の高い車種が売れ筋だ。限られた人気車が激しい販売合戦を展開している。

これら人気の高いミニバンの典型が、トヨタ ヴォクシー/ノア/エスクァイアの3姉妹車と、日産 セレナ、ホンダ ステップワゴン(STEPWGN)だ。各車には共通点が多く、標準ボディは5ナンバーサイズに収まる。エアロパーツを備えたグレードは3ナンバー車だが、市街地や駐車場でも運転しやすい。

全高はどれも1800mmを上まわるから車内が広く、3列目のシートにも快適に座れる。運転のしやすいサイズでありながら居住性も良好だ。後席側にはスライドドアが装着され、開いた時にドアパネルが外側に大きく張り出さないから、狭い駐車場でも乗り降りがしやすい。

現行ヴォクシー&ノアは2014年1月、エスクァイアは同年10月に発売され、先代プリウスと同タイプの1.8リッターエンジンをベースにしたハイブリッドを搭載する。ガソリンの2リッターエンジンも用意した。

ステップワゴンの現行型は2015年4月に発売され、1.5リッターのターボを搭載していたが、2017年9月にマイナーチェンジを受けて上級のステップワゴン スパーダ(STEPWGN SPADA)にハイブリッドを加えた。そこでステップワゴンスパーダハイブリッドG・EXホンダセンシングと、ヴォクシーハイブリッドZSを比較する。売れ筋ミニバンのハイブリッド対決だ。

ステップワゴン vs ヴォクシー|ボディサイズ・運転のしやすさ比較

フロントマスクはどちらも睨みを利かせて迫力を感じさせる。トヨタヴェルファイア&アルファードを筆頭に、今のミニバンの顔立ちはどれも似ている。

ステップワゴンスパーダは、発売時点ではシンプルな雰囲気だったが、売れ行きが低迷して結局は2017年7月にマイナーチェンジを受け、この顔立ちになった。

ボディサイズは両車ほぼ同じ大きさだ。ステップワゴンスパーダはエアロパーツを装着しながらも全幅は5ナンバーサイズに収まるが、全長が4700mmを超えたため3ナンバー車になった。

ボディ側面の形状は、両車ともに水平基調で側方と後方の視界が良い。ステップワゴンスパーダは前側のピラーを細くするなど、斜め前方の視界も向上させた。最小回転半径はステップワゴンスパーダが5.4m、ヴォクシーは5.5mだ。

*勝者:ステップワゴンスパーダ

ホンダ ステップワゴンスパーダとトヨタ ヴォクシーのボディサイズ比較
車種名ステップワゴンスパーダハイブリッドヴォクシーZSハイブリッド

全長

4,760mm

4,710mm

全幅(車幅)

1,695mm

1,735mm

全高(車高)

1,840mm

1,825mm

ホイールベース

2,890mm

2,850mm

乗車定員

7人

7人

ステップワゴン vs ヴォクシー|内装デザイン・質感比較

インパネのデザインは、ホンダ ステップワゴンスパーダの方が個性的だ。デジタルの速度表示を備えたメーターパネルが高い奥まった位置に装着され、手前には収納ボックスが装着されて立体的に見せている。トヨタ ヴォクシーのメーターはアナログタイプでハンドルの奥側に装着されて馴染みやすい。

内装の質感の違いは僅差だが、ヴォクシーの方が上質に感じる。ステップワゴンは、メーターの手前にある収納ボックスの開閉感覚などに洗練させる余地を残す。

*勝者:ヴォクシー

ステップワゴン vs ヴォクシー|後部座席の居住性比較

1列目・2列目シートの居住性は、両車ともに互角だ。駆動用電池を1列目の下に搭載するので、2列目に座った乗員の足が1列目の下側に収まりにくい。この点でも優劣はほとんどない。

そして身長170cmの大人6名が乗車した場合、2列目と3列目シートに座る乗員の膝先空間は握りコブシ2つ分で等しい。両車とも空間効率を最大限度まで追求して、居住空間の広さも同程度になった。

ただし3列目シートの座り心地は異なる。ステップワゴンは2017年7月のマイナーチェンジで、3列目の骨格が腰に当たる違和感を解消したが、それでも座面のボリューム感が足りない。

座面の奥行寸法もヴォクシーに比べて20mm短く、ゆったりした印象が乏しい。ヴォクシーの3列目も2列目ほど快適ではないが、ステップワゴンには勝る。

シートベルトの違いにも注意したい。ヴォクシーの場合、2列目がセパレートタイプだとシートベルトは背もたれから引き出すタイプだ。ピラーから引き出すステップワゴンに比べて、ベルトが体に常にフィットする。

ミニバンの2列目は前後のスライド幅が大きく、特にヴォクシーは810mmのロングスライドを可能にしたから、背もたれから引き出す方式を採用した。この形式は衝突時に膨大な荷重がシートの脚部に加わるため、スライドレールを含めて強度の確保に苦労するが、ヴォクシーはそれを可能にしている。

*勝者:ヴォクシー

ステップワゴン vs ヴォクシー|乗降性比較

ステップワゴンスパーダやヴォクシーのようなフラットフロア構造のミニバンは、床が高くなりやすい。燃料タンクをカバーできる位置まで床を持ち上げることでフラットに仕上げているからだ。

平らな床面形状を採用しながら、この2車種は床を低く抑えたのが特徴。

スライドドア部分の床面地上高は400mmを下まわり、ライバル車のセレナに比べると約70mm低い。乗降用のステップもなく、路面から足が直接床に届く。

加えてステップワゴンは、スライドドアの下側で足を出し入れすると電動スライドドアが自動開閉するハンズフリースライドドアをディーラーオプションで用意しているが、乗降性は同等と考えて良い。

*勝者:引き分け

ステップワゴン vs ヴォクシー|荷室比較

ステップワゴンスパーダは3列目シートを床下に格納するから、スッキリした広い荷室に変更できる。ヴォクシーは左右に跳ね上げるタイプだが、レバー操作だけで自動的に畳まれる。

あえて違いを書くならば、ステップワゴンは、格納したシートを戻す際に少し力が必要な点が気になるくらいだ。身長の低い人が操作すると多少苦労するかもしれない。

ステップワゴンスパーダの荷室は、床面地上高が445mmと低く、ヴォクシーの500mmを少し下まわる。リヤゲートには横開き式のサブドアを組み込み、狭い場所でも開閉できて、3列目の左側を格納しておけば乗員の乗り降りも可能だ。荷室の機能はステップワゴンスパーダの方が優れている。

*勝者:ステップワゴンスパーダ

>>【2ページ目】エンジン・動力性能・燃費・コスパ比較

>>【3ページ目】結論・どっちが買い!?

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

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