フォード マスタング 試乗レポート/大谷達也(1/3)
- 筆者: 大谷 達也
- カメラマン:フォード・ジャパン・リミテッド
相変わらずの格好良さ
デビュー50周年を迎えて6世代目に生まれ変わったフォード「マスタング」の国際試乗会がアメリカ ロサンゼルス周辺で開かれた。
マスタングより少しだけ“お兄さん”の私がまだ幼かった昭和40年代、日本におけるマスタングはまさに富と高性能の象徴であり、私は路上で見かけるたびに憧れの気持ちを熱くたぎらせていた。
特にルーフからリアエンドに向けて一直線に下降するファストバックボディが与えられた「マッハ1」はいつも光り輝いて見えたもので、これを真似した(といったら怒られるかもしれないが)トヨタ「セリカ リフトバック」は、当時小学生だった私の“欲しいクルマリスト”のNo.1に無条件でランクインした。
今回も試乗会場で何度か歴代のマッハ1を目にしたけれども、およそ40年ぶりに見てもその格好よさは相変わらずで、特に1960年代後半のマッハ1は、ガラは大きくてもプロポーションやディテールの作り込みが実に繊細で、「ひょっとしてイタリアのカロッツェリアが手がけたのでは?」なんて妄想が膨らんでしまうくらい美しい。
絵に描いたようなクーペフォルム
今回登場した6代目 新型マスタングのファストバックモデル(フォードではマスタングの伝統に従い、クーペではなくファストバックと呼ぶ)は、まさにこの当時のマッハ1を再現したデザインになっている。
キャビンの後半部分は潔く一直線に切り取られて絵に描いたようなクーペフォルムに仕立てられているほか、リアタイヤの存在感を強調するリアフェンダー上の張り出しもしっかりと再現されている。
絶対的な寸法はもちろん大きいけれど、いたずらにサイズを誇示することなく引き締まって見えるようにデザインされている点も私好み。特に、パワーバルジを強調せずに薄く仕上げられたボンネット周り、そしてキャビンをチョップドルーフ的にしてコンパクトに見せる造形は文句なしにスタイリッシュである。
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