BMWとIDOM(ガリバー)が開始した新車定額・乗り換え放題プラン、そのメリットを徹底解説

車は買うより利用する時代!? 複数の中古車に定額で“NOREL”

もともとクルマは、車両価格の全額を支払って所有する(購入する)のが常識だった。しかし最近は「利用する」考え方が根付いている。クルマをユーザー同士が共有して使うカーシェアリング、クルマを借りるカーリースなどが普及してきた。

新車の販売会社が力を入れる残価設定ローンも、実際の使われ方は所有よりも利用に近い。契約時に3〜5年後の残価(残存価値)を設定して、残価を除いた金額を分割返済するから、契約満了時に車両を返却するユーザーが多い(残価を支払って買い取ったり、再ローンを組むことも可能)。そして改めて、新車で残価設定ローンを契約するわけだ。

このようなニーズの多様化に対応して、株式会社IDOMでは、2016年に月額定額クルマ乗り換えホーダイ「NOREL」(ノレル)のサービスを中古車で開始した。月額料金を支払うと、在庫の中から好きな中古車を選んで乗ることができる。

そして90日間乗ったら、別の車種に変更が可能だ。1年に3回まで乗り換えられる点が興味深い。

月額料金のプランは、5万9800円/7万9800円/9万9800円の3種類で、料金に応じて、借りられるクルマのブランド、ボディサイズ、エンジン排気量、年式などが変わる。9万9800円のプランには、輸入車やLサイズの日本車などがそろう。

予約はネットで行えて、車両の受け取りと返却は、自宅や勤務先に近いIDOMグループ(旧ガリバー)の店舗で行える。

◆どんなサービスが始まる!? 発表会の様子を写真でチェック!

NOREL利用のメリットとは

「NOREL」がユーザーにもたらすメリットを整理すると、大きく分けて3つある。

まずは1年に3回までクルマを自由に乗り換えられることだ。暖かい春はオープンスポーツカー、お盆休みで友人とドライブに出かける夏はミニバン、スキーを楽しむ冬は4WDのSUVという具合に、季節ごとの用途に応じて車種を変えられる。

2つ目のメリットは、スマートフォンなどと同じ月額定額制であること。自動車保険も対人対物賠償:無制限、人身傷害補償:3000万円(車両保険は含まない)に加入しているから、出費がシンプルで分かりやすい。クルマを購入するのに比べると手間も省ける。

3つ目は乗り換えの手続きも簡単なことだ。先に述べたようにネットで予約して、最寄の店舗に出かければ乗り換えられる。

以上のようなメリットの相乗効果で、「NOREL」は発足から約2年間で会員数が約3万人に達しようとしている。

BMWとMINIの新車にNORELで乗れる!

そこで「NOREL」は、新しいサービスを開始することになった。それが人気の高い輸入車、BMWとMINIの新車対応だ。従来は中古車のみだったが、最新型のBMWとMINIを月額定額制で利用できる。

月額料金を支払うと、好みのBMWとMINIを新車の状態で借りられる。5000km、あるいは最大10か月を経過したところで、乗り換えたり契約の終了になる。

納車後5〜9か月を経過した時点で新車に乗り換えると、「ドライブ割」が適用され、次回契約時の定額料金が割引きされる。

逆に納車されて10か月を経過しても走行距離が5000kmに満たない場合、違約金が発生するから、積極的にドライブに出かける方がトクだ。

NORELの料金プラン

BMWとMINIの新車に適用される「NOREL」のプランは以下の通りになる。

■バリュアブル・プラン:月額7万9800円

・対象車種:BMW 2シリーズ、X1(2WD)、MINIの一部対象車

■スペシャル・プラン:月額9万9800円

・対象車種:BMW 2シリーズ、X1、MINIの全車

■プレミアム・プラン:月額15万円

・対象車種:BMW 4シリーズ、5シリーズ、X2、X3、バリュアブル&スペシャルプランの全車

■ラグジュアリー・プラン:月額20万円

・対象車種:BMW X5、X6を含むすべての対象車

月額料金は相応に高いが、5000kmごとにBMWとMINIの新車を乗り換えられるのが魅力だ。BMWやMINIのファンで「全車を満喫したい!」と考えるユーザーにピッタリだろう。

「長期間にわたって使える試乗車」としても活用できる。気になるBMWとMINIを5000kmずつ使えば、自分に最適な1車種を見つけられるから、正確なクルマ選びが行える。レンタカーの「わ」ナンバーにならないことも、オーナーの気分を盛り上げる。

利用中の車をカーシェアとして有効活用!? 気になる今後の展開とは

それから今後の展開にも注目したい。ユーザーの経済的な負担を軽くするために、貸与されているBMWとMINIを使った新しいカーシェアリングも実施するという。

例えば上記プランの利用者が、土曜日と日曜日の週末だけ使う場合、平日はカーシェアリングとして有効活用できる。自分が全額を支払って購入した愛車を他人に貸すのは、心理的に抵抗を感じることも多いだろうが、「NOREL」では自分も所有者ではなく利用者の1人だ。ユーザーの価値観や使い方によっても異なるが、カーシェアリングで出費を抑えたいと考える利用者もいるだろう。

今はクルマの使われ方がさまざまだから、所有や利用の選択肢も多い方が親切だ。「NOREL」の描くカーライフでは、洋服を着替えるように、多種多様のクルマを使いこなせる。クルマ好きに限らず、楽しい時間を過ごせるに違いない。

[text:渡辺 陽一郎 / photo:和田 清志]

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

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