BMW 5シリーズグランツーリズモ 試乗レポート/西川淳(3/3)
- 筆者: 西川 淳
- カメラマン:BMW Japan/オートックワン編集部
心地良い回転フィールをみせる直噴ストレート6
日本仕様としては535i/550iの2グレードが用意されているが、結論から言うと535iで十二分であり、550iは不要とは言わないまでもやや贅沢に過ぎる。
新しい直噴ストレート6は、低回転域でこそやや興ざめな音や回り方だが、そこをシングルターボチャージャーによるトルクの盛り上げで上手く補いつつ、中高回転域では“これぞビーエムの直6”と思わせるほどの、この上なく心地良い回転フィールをみせる。
8速化されたオートマチックとのマッチングも上々で、軽く踏んでの加速では、小刻みにやや前のめりなシフトアップで気分を盛り上げる。もちろん、スムースさも申し分ない。
名前のとおり、グランドツーリング性能も相当に高いレベル。視線が適度に高いため見通しもよく、安心して高速走行を続けることができる。ストレート6のフケを味わいながらの長距離走行も楽しめそうだ。
特に大きなコーナーが連続するような高速道路がいい。曲がっている最中の、あくまでも乗り手の意思を忠実に押し通す手応えがBMWらしい。
こんなカタチをしていても、走りはBMWそのもの、である。7シリーズがベースだから、各種先進プログラムも満載されており、なかでもインテグラル・アクティブ・ステアリングのおかげで、取り回しも意外といい。
最小回転半径は7シリーズと同じ(5.5m)だが、視界の広さと高さで、さらに使い勝手に優れる。
ちなみに550iともなれば、この気持ちよさにガツンとパンチの効いたトルクフィールが加わる。400psオーバーで、速さの伸びはほとんどスポーツカー級だ。これはこれで捨て難い魅力ではある。
新しいストレート6の出来映えも悪くないし、カタチからは想像できないステアリングワークの楽しさなど、運転すれば正真正銘のBMWだった。
もう一つ、このクルマの売りのひとつである後席にも座ってドライブしたが、あっというまに眠りこんでしまった。5シリーズグランツーリズモは、ショーファーカーの新しいカタチである。
※ 一部、海外仕様の広報画像も含まれております。
この記事にコメントする