アウディ A5&S5 海外試乗レポート(3/3)

  • 筆者: 河村 康彦
  • カメラマン:アウディ・ジャパン株式会社
アウディ A5&S5 海外試乗レポート
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静粛性はこのクラスのクーペでもパーフェクトという印象

エンジン

テストドライブが出来たのは、新たに可変バルブタイミング&リフトシステムを採用した3.2リッターの直噴V型6気筒エンジンを積む『A5 3.2FSIクワトロ』と、オーバー350psをマークする4.2リッターのV型8気筒エンジンを積む『S5』の2台。来年と目される日本導入時のA5は8速シーケンシャルモードを備えたCVT仕様となる見込みだが、今回用意された車両はS5も含め6速MT仕様に限られた。

A5、S5いずれにも共通するスタート時の第一印象は「静粛性に優れているナ」という事だった。S5の場合、それでも255/35サイズの19インチシューズ(ダンロップSPスポーツMAXX)が50km/h付近をピークに発するゴムまりが弾むような空洞共鳴音がやや目立ちがちになったものの、A5の静粛性はこのクラスのクーペでもパーフェクトという印象。ただし、こちらA5のノイズ関係では、アイドリング状態からのスタート時にアクセルペダルを踏み込むと、比較的大きなボリュームでノッキング音が耳に届いた事。テスト車個体ではなく同グレードのテスト車多くがそれを発していたから、このモデルならではの性癖という事になるのだろうか。

A5でも加速の力感に不満は全くないが、MTのフィーリングは“スウィート”とは行かなかった。前述のように高いコンソール上にさらにシフトレバーが生えるのでどうしても脇が開いた操作感になってしまうし、ストロークが長くミートポイントがわかりづらいクラッチの印象も今ひとつ。最も、先に述べたように日本にはCVT仕様で導入されるはずだから、こうしたネガティブ面は問題にはならない事になるはずだが。

走行走行センターコンソール走行イメージ
走行

一方のS5の加速感はさすがに強力。0→100km/h加速5.1秒という俊敏さがそれを物語るが、もちろんクワトロ・システムを採用するのでトラクション能力は万全だ。驚くべきはそのエンジン特性のフレキシブルさで、極端なハナシ3速ギアを事実上の「オールマイティ・ポジション」として使う事さえ出来るほど。何しろ、2速、3速というギア位置であれば、速度が落ちてきてもそのままアイドリング状態のままトコトコとどこまでも走り続けてしまうほど。残念ながらこちらもシフトフィールが前述のA5同様なので、むしろ「ATとの組み合わせの方が好ましいのではないか」とさえ思えるものだった。

ところで、前述のような駆動系レイアウトの変更で「前後重量配分も最適化」と謳うA5/S5だが、ハンドリングのテイストについては率直なところ、特に大きな感激を受ける事はなかった。パワフルなS5の場合、コーナー脱出時のアクセルONの場面では後輪側に60%という過半のバイアスが掛けられたエンジントルク配分により、FR車的な自由度の高いコーナリング・フォームを得やすいという実感を味わう事は出来た。それでも、例えばシャープでダイレクト感溢れるハンドリング感覚といった点では、やはりこうした点では定評あるBMW 3シリーズクーペなどにはかなわない印象だ。

いずれにしても、これまでにはない流麗な4シータークーペというカテゴリーへの参入によって、メルセデスやBMWに対する臨戦度合いを一段と増す事になったのがアウディというブランド。実はこのモデルの美しいエクステリアを手掛けたのが同社の日本人デザイナーであるワダサトシ氏である、というのも、このA5/S5を一層身近なものと感じさせてくれそうなストーリーだ。

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河村 康彦
筆者河村 康彦

1960年東京生まれ。工学院大学機械工学科卒。モーターファン(三栄書房)の編集者を経て、1985年よりフリーランスのモータージャーナリストとして活動を開始し、現在に至る。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、インターナショナル・エンジン・オブ・ザ・イヤー選考委員 などを歴任。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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