電気自動車は本当に160キロも走れるの?

電気自動車は本当に160キロも走れるの?
日産 リーフ 三菱 i-MiEV 画像ギャラリーはこちら

電気自動車は本当に160キロも走れるの?

電気自動車は航続距離が160キロだそうですが、実際に160キロも走れるんでしょうか。

其の疑問、「MJブロンディ」がお答えいたします!

日産 リーフ三菱 i-MiEV

確かに三菱のiミーブも日産のリーフも、カタログ航続距離160キロとなっています。ただしiミーブは日本の10・15モードでの数値で、リーフはアメリカの「US LA4」というモードでの数値。基準に差があります。おおむねですが、アメリカ基準の方が厳しく、実際の航続距離は、リーフの方が2割ほど長いと言われています。

ではその実際の航続距離はというと、iミーブの場合、一般市街地を走るとして、エアコンOFFで120キロ、エアコン(冷房)ONで100キロ、エアコン(暖房)ONで80キロが目安と三菱は発表しています。リーフはだいたいその2割増と考えてください。ともかく、エアコンは電気自動車の航続距離の大敵です。

ガソリン車の場合、暖房より冷房の方がはるかにガスを食いますが、電気自動車では逆になります。

ガソリン車はもともと熱損失が大きくて、ふだんラジエターなどから熱を大量に捨てています。暖房はその捨てている熱の一部を室内に導入するだけでいいので、ほとんどガスを食いません。一方冷房はコンプレッサーを回す必要があり、動力損失が生じるので、車種や道路状況、気温によりますが5~10%ほど燃費が悪化します。

ところが電気自動車の場合、すべてを電気でやらなければなりません。冷房の構造はガソリン車と同じですが、暖房はエンジンの排熱がないので、電池の電気を使ってヒーターで暖めなければならない。なので、冷房より暖房の方が2倍ほども電池を食うのです。

電気自動車はもともと走行エネルギー効率が非常に優れています。しかし暖房効率はガソリン車よりはるかに悪いので、ヒーターをONにすると、航続距離が3分の2になってしまうのです。冬は厚着をして、なるべくヒーターを入れないようにする必要があるでしょうね。

しかも、実際の走行において、電池残量ゼロまで使い切るのは事実上不可能。出先で航続距離が「残り20キロ」と表示されたら、相当ドキドキしてくるのは想像できますよね?

つまり、実質的な航続距離は、iミーブで80キロ、リーフで100キロというところでしょうか。

電気自動車には、もうひとつ注意すべき点があります。それは、スピードを上げると急激に電池が消耗するということです。ガソリン車の場合、高速道路に乗ると一般道よりも燃費が向上するのが普通ですが、電気自動車では逆です。

空気抵抗は速度の二乗に比例して増加するので、もともと他のエネルギー損失が少ない電気自動車にとっては、極めて大きな“カベ”になります。

そのため、時速70キロを超えると“電費”がガクンと悪化するのです。時速100キロ出すと、時速60キロの時に比べ、航続距離は約3分の2に減ってしまいます。

MJブロンディの「ひとりごと」

電気自動車で高速道路を長距離走るとしましょう。

途中のパーキングで急速充電していくとすると、時速100キロで走るよりも70キロで走った方が、充電時間も含めると早く目的地に到着することになります。

時速70キロでゆっくり巡航しても、100キロ強ごとに約30分充電を行う必要があり、ガソリン車に比べると所要時間は約2倍、という感じです。電気自動車は、現在はまだ一般道専用であると考えなければなりませんね。

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清水 草一
筆者清水 草一

1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。代表作『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高はなぜ渋滞するのか!?』などの著作で交通ジャーナリストとしても活動中。雑誌連載多数。日本文芸家協会会員。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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