日本人がまだ知らない「チューンドディーゼル」という考え方/ボルボ「D4」ポールスター・パフォーマンス・パッケージ 試乗レポート(3/4)
- 筆者: 今井 優杏
- カメラマン:島村栄二
数値だけでは分からない「ポールスター・パフォーマンス・パッケージ」の実力
しかし、乗ってみればすぐに身体が理解する。
特に先述のようにしばらくD4に乗ってから、この「ポールスター・パフォーマンス・パッケージ」を追加した人なんかは、ハッとするくらいに加速が鋭くなっていることに気づくだろう。
その秘密は、2.000~4.500rpmという中速回転域、つまり実用回転域に重きを置いたチューンをしているから。実際この回転域での改善は+16ps、そして+40Nm。一番使う回転域で、キレのある加速を楽しめるように味付けてあるのだ。
それに、このくらいの出力のアップはまさに「ええ塩梅」。差を実感できるほどにしっかりパワーを引き出してあるのに、出力がありすぎて振り回されるということがない。
出足のスーっとした感じ、坂道でグイグイ坂を駆け上がって行く感じ、高速道路でほんの少しペダルに足を乗せておけば、バンバン踏まなくても速度に乗って行けるかんじなど、クルマがワンランク上がったかのような落ち着いた走行を堪能できるはずだ。
ディーゼルエンジンに、より上質なフィールを
しかも、この「ポールスター・パフォーマンス・パッケージ」、D4エンジンとのマッチングがすこぶるなめらかで上品。
従来のT4 1.6リッターガソリンターボエンジンの「ポールスター・パフォーマンス・パッケージ」は、ややヤンチャすぎるきらいがあった。そもそもT4エンジンのV40自体が、若々しく弾けるような飛び出し感を備え、やや締まったアシでボルボらしからぬじゃじゃ馬感を醸し出していたために、おのずと「ポールスター・パフォーマンス・パッケージ」もその特性を増長させるようなチューンになっていた。
しかし、D4との組み合わせはその過度なヤンチャさが滑らかにいなされ、停止状態からの加速、踏み足していった時のパワーの出方など、どれも至極ジェントルだ。
[チューンの良さは、高い基礎体力があってこそ・・・次ページへ続く]
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