【比較】スバル 新型WRX S4 vs VW ゴルフGTI どっちが買い!?徹底比較/渡辺陽一郎(2/2)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
新型WRX S4 vs ゴルフGTI -動力性能・ドライビング対決-
エンジンは新型WRX S4が水平対向4気筒の2リッターターボで、最高出力は300ps(5,600rpm)、最大トルクは40.8kg-m(2,000~4,800rpm)。
対するゴルフGTIは直列4気筒の2リッターターボで、220ps(4,500~6,200rpm)/35.7kg-m(1,500~4,400rpm)。
車両重量は、新型WRX S4が4WDの採用によって1,540kgと重く、ゴルフGTIは1,390kgに収まるが、加速力が優れているのは新型WRX S4だ。
幅広い回転域で4リッター並の動力性能が発揮され、従来型レガシィが搭載した同型エンジンに比べてターボのクセを抑えており運転がしやすい。
ただし、運転する楽しさとなると「互角」だろう。ゴルフGTIのエンジンは、新型WRX S4に比べて高回転域の吹き上がりが機敏に感じられ、ATもDSGで有段式の6速だからだ。
新型WRX S4は、4WDの採用も生かして走行安定性を重視した。
後輪の接地性を最優先させた上で、車両がハンドルの操舵角に対して正確に向きを変え、内側に向けやすい。適度な軽快感も伴い、走行安定性と機敏性のバランスは日本車のナンバーワンといってもオーバーではない。この特徴を明確に感じ取れるのは、ビルシュタイン製のショックアブソーバーを備えた「WRX S4 2.0GT-Sアイサイト」だ。
一方、ゴルフGTIはベーシックなゴルフに比べるとハンドルの切れがかなり鋭い。新型WRX S4は、従来のスバル車のバランスの取れたセッティングを発展させた印象だが、ゴルフGTIではベース車とは異なり「ドライバーを楽しませよう」という意図を強く感じる。後輪の接地性が下がることはないが、操舵感はダイレクトで良く曲がる。
新型WRX S4 vs ゴルフGTI -燃費・装備・価格対決-
JC08モード燃費は、新型WRX S4が「13.2km/L」、ゴルフGTIは「15.9km/L」。ゴルフGTIは前輪駆動の2WDでボディが軽く、なおかつアイドリングストップも装着されるので燃費性能が優れている。
安全装備については、両車とも衝突回避の支援機能を備える。新型WRX S4はカメラ方式のアイサイトバージョン3、ゴルフGTIはミリ波レーダーを使ったプリクラッシュブレーキシステムだ。並走する側方車両との接触を防止する機能は、今のところ両車とも設定していない。
快適装備は、新型WRX S4には運転席と助手席の電動調節機能や18インチアルミホイールが標準装着され、ゴルフGTIにはCDオーディオが備わる。
車両価格は新型WRX S4の2.0GT-Sアイサイトが「356万4,000円」、ゴルフGTIが「383万3,000円」だ。
新型WRX S4の動力性能が勝り、なおかつセンターデフを使ったVTD式AWD(4WD)を搭載することも考えると、走行性能を含めた機能と価格のバランスでは「WRX S4が買い得」と判断できる。
一方、「運転して面白い、楽しいと感じるのはどちらか」と問われればゴルフGTIだ。ベース車のゴルフなどに見られるVWの堅実なクルマ造りとは指向性が異なり、少し無理をしているというか演出の仕方がハナに付くところはある。
その意味では新型WRX S4が自然だが、演出が過剰でもバランスを崩さずスポーティ感覚を満喫できるのはゴルフの“懐の深さ”だろう。
個人的にはどうだろうか。今の仕事で使うことも考えると、理屈の上では「WRX S4」が適している。だが、クルマ好きの感情が「ゴルフGTIにしようぜ!」とワメいている。
本稿を書いていたら、本当にどちらかを買いたい気分になってきました。
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