トヨタ エスティマハイブリッド 試乗レポート(2012年マイナーチェンジモデル)/渡辺陽一郎(3/3)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:オートックワン編集部
震災でも大活躍した1500Wの電源コンセント
エスティマハイブリッドの居住性にも触れておこう。
フロントシートはサイズが十分に確保されて、バックレストは腰を包む形状。腰を支える部分は硬めの仕上げで、長距離ドライブも快適に行える。
2列目は、試乗車がアエラス レザーパッケージだから、セパレートタイプになる。サイズは十分に確保されるが、座面の前方は少し大きめに持ち上げた。サポート性は良いが、小柄な同乗者は大腿部を押された印象になるので、座り心地に注意したい。
エスティマは全高が1,800mmを下まわるから、頭上の空間を確保すべく、着座位置が少し低めになって座面の前側が持ち上がった。
セパレートタイプの2列目には、クッションを座面の下側からせり上げて、ふくらはぎを支えるオットマンが備わる。
オットマンは水平になるまで大きく持ち上がり、3列目のシートを床下に格納すればバックレストを寝かせることも可能。要はベッドに寝そべるような姿勢が取れる。
注意したいのは、この姿勢ではシートベルトが体を拘束しにくいこと。
エルグランドなどと違ってセパレートタイプの2列目シートベルトはバックレストからせり出し、姿勢を変えてもベルトが体から離れることはない。それでも水平に近い角度で寝そべれば、前面から衝撃を受けた時、同乗者の体が前方にスライドしやすくなる。
駐車して仮眠を取る時にこの姿勢を取るなら構わないが、走行中は控えたい。
オットマンを使っても、かかとは床に付けておく。バックレストも少し後方へ倒す程度にとどめたい。メーカーも開発段階で、オットマンの角度に気を使うべきだ。
フロントシートの中央にはハイブリッド用のニッケル水素電池が収まり、運転席や助手席からリヤシートに移動することはできないが、電池を収めたセンターコンソールの背面には100V/1500Wの電源コンセントが備わる。
1500Wの容量があれば、電子レンジやヘアドライヤーの使用も可能。キャンプなどでも重宝するが、東日本大震災では大活躍した。電力を供給する能力は、ハイブリッド車が持つ大切な付加価値。電気自動車も蓄えた電力を外部に供給することは可能だが、ハイブリッド車であれば、エンジンを回すことで実質的な発電も行える。
エスティマハイブリッドと、ノーマルタイプの2.4リッターエンジンを積んだエスティマ4WDとの価格差は、減税額や装備の違いを加味して実質的に約60万円。
価格差をガソリン代の差額で埋めるには6~7万kmを走る必要があるが、動力性能や電力供給機能の違いを踏まえれば、買い得といえるだろう。
現行エスティマは登場して6年が経つが、特にエスティマハイブリッドは今でも選ぶ価値が高いだろう。
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