【解説】“価格”から最善のグレードを選ぶ!スバル レヴォーグ 新型車解説/渡辺陽一郎(2/2)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:茂呂幸正
レヴォーグには「EyeSight Version3」がスバル車として初装備
当レヴォーグの解説では「価格」を軸に「エンジン」「装備」と3つにフォーカスし、最善のグレード選びや装備を考えてみよう。
エンジンは前述のように水平対向4気筒ターボで、排気量は「1.6リッター」と「2リッター」の2機種から選択できる。駆動方式はすべて「AWD(4WD)」だが、1.6リッターには多板クラッチを用いた「アクティブトルクスプリット式」、2リッターにはセンターデフを用いた「VTD式」が組み合わせられる。
グレード構成は1.6リッターが、
1.6GT(266万7,600円)
1.6GT EyeSight(277万5,600円)
1.6GT-S EyeSight(305万6,400円)
の3グレードだ。
2リッターは、
2.0GT EyeSight(334万8,000円)
2.0GT-S EyeSight(356万4,000円)
の2グレードになる。
グレード名の「EyeSight」の名の通り、1.6GTを除く全グレードには「EyeSight Version3」がスバル車として初めて装備され、自動ブレーキを伴った衝突回避の支援機能と、車間距離を自動制御できるクルーズコントロールが備わる。サイド&カーテンエアバッグ、横滑り防止装置、アルミホイールについては全車に標準装備されている。
そして「1.6GT-S EyeSight」「2.0GT-S EyeSight」の2グレードは、「ビルシュタイン製ショックアブソーバー」「アルミ鍛造性フロントロアアーム」「運転席10ウェイスポーツパワーシート」などがセットされるスポーティグレードだ。
レヴォーグの1.6リッターと2リッター、どちらがお買い得!?
レヴォーグのグレード選びとして初めに、「EyeSight Version3」を装着しない「1.6GT」は除外して良い。
その上で、まずは「1.6リッター」搭載モデルか「2リッター」搭載モデルか、どちらを選ぶかを判断したい。
1.6リッターモデルの動力性能は、最高出力が「170ps(4,800~5,600rpm)」、最大トルクが「25.5kg-m(1,800~4,800rpm)」と、ノーマルエンジンでいえば2.5リッタークラスに相当する。燃費は、アイドリングストップも装着されて「1.6GT」と「1.6GT EyeSight」が「17.4km/L」、「1.6GT-S EyeSight」が「16km/L」になる。
2リッターモデルは、最高出力が「300ps(5,600rpm)/40.8kg-m(2,000~4,800rpm)」と、その動力性能は4リッタークラスに匹敵する。アイドリングストップは装着されず、使用燃料もプレミアムガソリンになって、燃費は「13.2km/L」だ。
「1.6GT-S EyeSight」と「2.0GT-S EyeSight」の差額は50万7,600円で、2リッターにはアイドリングストップが装備されないので、エンジンとAWDシステムの違いに基づく実質的な価格差は53万円くらいになる。この差額は、「エンジン価格差」としては高額だ。
排気量は異なるが、1.6リッターもDIT(直噴ターボ)なのだから適正なエンジン価格差は30万円前後が妥当だろう。
性能的に1.5リッター相当の差があり、排気量の相場は「100cc当たり2万円」となる。VTD式AWDが高コストになることを考慮しても、差額を40万円には抑えたい。
ちなみにフォレスターはノーマルエンジン、ターボともに4WDはアクティブスプリット式で差はないが、2リッターのノーマルエンジンをDITにグレードアップして、価格は装備の違いを補正すると23万円程度しか高まらない。
逆にレガシィは2.0DITを高めに設定し、2.5リッターのノーマルタイプに比べて、VTD式AWDを含めると実質的に62万円くらいは高い。 つまりレヴォーグとレガシィツーリングワゴンの「DIT+VTD」は、スペシャルティなパワーユニットに位置付けられる。
なので買い得なのは1.6リッターだ。
「GT EyeSight」と「GT-S EyeSight」では、どちらを購入するのが良いの!?
では、「1.6GT EyeSight(277万5,600円)」と「1.6GT-S EyeSight(305万6,400円)」ではどちらが最善だろうか。
価格差は28万800円で、「1.6GT-S EyeSight」にはオプション価格が5万円の「オールウェザーパック」、6万円相当の「LEDヘッドランプ」が備わる。さらに「ビルシュタイン製ショックアブソーバー」「鍛造ロアアーム」「17インチフロントディスクブレーキ」「運転席10ウェイパワーシート&助手席8ウェイパワーシート」なども加わるから、28万円の価格差であればバランスが取れているといえるが、GT-Sの装備は人によって好みが分かれるだろう。
つまり、最も買い得なのは「1.6GT EyeSight(277万5,600円)」で、これにLEDヘッドランプなどをオプション装備するのが良い。走行安定性と乗り心地のバランスなどが気に入れば、「1.6GT-S EyeSight」へのグレードアップも考えて欲しい。
一方、2リッターターボならば「2.0GT-S EyeSight(356万4,000円)」を推奨する。2リッターは動力性能がきわめて高く、ビルシュタイン製ショックアブソーバーなどが必須の装備になるからである。
以上、レヴォーグは280~306万円あたりが主力の価格帯で、レガシィツーリングワゴンの2.5リッターモデルとほぼ合致する。 そして走行性能はレヴォーグがスポーティな半面、リアシートの居住性などの実用面ではレガシィツーリングワゴンが勝るところもある。
そのために、レヴォーグが受注を開始してレガシィツーリングワゴンの後継になると分かった時点で、レガシィツーリングワゴンの受注台数も少しずつ増えてきた。現行のレガシィツーリングワゴンは6月頃に新規の受注を打ち切るから、25年の歴史を刻んだ最終モデルを買っておくのも良いだろう。
この後、レガシィB4とアウトバックは次期型に切り替わるが、レガシィツーリングワゴンの国内仕様はもう設定されない。B4とアウトバックはボディが拡大され、全幅も1,800mmを大幅に超える可能性が高い。
となれば、日本のユーザーに向けた「ボクらのレガシィ」は、B4やアウトバックを含めて現行型が最後になりそうだ。
レヴォーグはスバルの国内販売を背負って立つ車種となる。
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