アジアパシフィック向けに開発された専用タイヤ「ピレリ ドラゴンスポーツ」 試乗レポート(3/3)
- 筆者: 桂 伸一
- カメラマン:PIRELLI
コンフォート系タイヤのような穏やかな特性に驚く
さて日本に帰り、用意された225/45R18サイズをLクラスミニバンの「ホンダ オデッセイ アブソルート」に装着。もともとのOE(標準装着)タイヤは、横方向のたわみやヨレを嫌い、硬い構造で手応え確かな直進性を生む。と同時にステア操作に俊敏な応答を示す・・・スポーティなアブソルートはソコが狙いである。
ピレリ ドラゴン スポーツは、その個性をタイヤの特性で”変身”させた。
冒頭の乗り味の滑らかさに話は戻る。ともかくタイヤと路面との当りが柔らかい。
それはサーキットの縁石を踏んだ時も薄々感じてはいたが、一般公道の凹凸や段差の通過で、丸く包み込むように吸収することで確信した。ロードノイズ、パターンノイズはとくにその音の類を抑え込み、変化が大きい。スポーツというよりコンフォート系タイヤの特性があり、快適性も先に立つ。
直進性の面では、ニュートラルゾーンが広く安定している。ある意味”緩慢”とも言えるが、悪い意味ではない。轍にも左右されず、ステアリングの動きを保持すれば黙って直進するという、優れた特性を持っている。
「DRAGON SPORT」の”スポーツ”な部分とは
では、スポーツの部分はどこに!?
硬く、鋭い応答性だけがスポーツではない、というタイヤの主張だと解釈する。乗り味が滑らかなうえに、操作に対しても自然に応答する。アジアの路面状況、けして”速くはない”クルマの流れに応じたドラゴン スポーツのタイヤ特性は、価格も含めてある意味ジャストミートかも知れない。
「P ZERO」(ピーゼロ)シリーズでもなければ「CINTURATO」(チントゥラート)でもない、アジア・パシフィック専用タイヤが、本国のピレリと同様の設備を持つ中国の最新鋭工場で生産される。ユーザーに嬉しい価格面のワケはここにある。
サイズが合えばお買い得・・・とどこかのディスカウント屋のようではある。が、愛車に履いてもいいな、と思わせるだけの性能を持ち合わせている事は間違いない。
[レポート:桂伸一]
この記事にコメントする